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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

人達

2024-05-30 19:41:24 | マンガ
とり・みき 1995年 ぶんか社
これは今年3月の古本まつりで見つけて買った単行本。
見かけたことなかったものなので、なんとなく古いものかなと思ってたんだけど、巻末の著作リストみると、私の好きな「DAI-HONYA」が1993年なんで、それよりも新しいものだった、知らんかった。
なかみは、「1人目 介錯人」とか「2人目 巨人」とか「3人目 煙突掃除人」とかタイトルつけての連作的なものなんだが、連載してたのを集めた短篇集だろうと思ってたんだけど、各話が長いのだと8ページあるときもあるかと思えば、1ページだけのものもあるんで、ふしぎな構成。
期待にたがわず、けっこうおもしろいものだったんだけど、例によってとり・みき作品の何がおもしろいのかとか、どんな話なのかとかを説明するのはむずかしい。
マンションの隣室に越してきた人がどんなひとかわからなかったんだけど、騒音に悩まされてたりしたら、なんと隣にいるのはムー帝国人で日本に宣戦布告をしていた、っていう「12人目 隣人」とか。
かわいい女子高生の美里は、多くの男子からアタックされても誰ともつきあったことがない、それは親がきびしいからとかぢゃなく、実は彼女にはシッポがあるからだっていう「18人目 有尾人」とか。
おもしろいと私ゃおもうんだけど、それのなにがおもしろいのかといわれても、ちょっと説明できない、こういうの好きだとしか言いようがない。
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イイ大人

2024-03-28 19:20:06 | マンガ
泉昌之 1988年 河出書房新社カワデ・パーソナル・コミックス
これは去年9月の古本まつりで見つけて、つい買っちゃったもの。
なんでかっていうと、おなじ作者の『ダンドリくん』のなかで主人公ダンドリくんが、
>これ 前にも河出書房新社の「イイ大人」 って本の中でボク言ってんだよね
って宣伝しながら言ってるコマがあって、妙にタイトルが記憶に残ってたんで、おおコレがそうかって思ったもんだから。
ちなみに、ダンドリくんが単行本の舞台を変えてまで何を同じこと言ってるかっていうと、朝の駅で
>自動券売機で順番が来てから小銭を出す人 小銭を入れ始めてから目的地までの料金を調べる奴!! ダンドリがなってなーい!!
ってことなんだが、いまになってみればそういう光景、もうあんまり見ることないよねえ、いまだったらどうなんだろ、自動改札に入ってくとこで残高不足と機械に指摘される奴、とかになるのかなあ。
というわけで、この短編集読んでみれば、なかになんと「ダンドリくん」があった、読んだことなかったものなんで驚いた、初出は「スーパー写真塾」となってて年月日は書いてなかったが、もしかしたらこれがオリジナルで、「アクション」で初登場ぢゃなかったのか。
ほかには「一見の客」は、『食の軍師』でもおなじみのキャラクター本郷播が登場して、初めて入った店が酒も肴もとてもよくて、いい店を見つけたとひとり悦に入るんだが、やがて意外な展開が待ち受けているという、泉昌之によくある、らしい一篇だし。
「宴会の日」は、会社の仕事おわりのあとの部署10人くらいでの宴会なんだが、どの席にすわって周りのメンツどういうのがいいかとか作戦考えるんだがうまくいかない、って「最後の晩餐」なんかに似たテイストの話。
おなじことばっかりやってるなあと思うが、そこが安定感のあるおもしろさではある。
コンテンツは以下のとおり。
一見の客
宴会の日
ダンドリくん
豪快さんH
紐育の恐怖
狂った肛門
泉晴紀と久住昌之の「門外不世出写真一挙公開」
食物人間
ヤマダ怒りの朝
生活劇画OBASAN
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宗像教授世界篇

2024-01-04 18:55:44 | マンガ

星野之宣 2023年 小学館ビッグコミックスペシャル
去年11月くらいだったろうか、街の書店のコミック売場でこれを見つけて驚いた、新シリーズ出てたのって。
正確にいうと、今回読んだこの第1集ぢゃなくて、最新刊の第2集が、発売になったばかりらしく、店頭にあったんだが。
こりゃ買ってみるかと、近くで第1集を探したんだけど無いんだよね、これだから近ごろの本屋はダメさと思いつつ、買わずに帰った。
で、年末ころになってネットで、ようやくこの第1集だけを買ったさ、年明け早々に読んだ。
新刊見つけたときから、実際読むまでの約一か月のブランク、なにをしていたかというと、過去シリーズを読み返してた、『宗像教授伝奇考』文庫版7冊、『宗像教授異考録』単行本15冊(笑)
「異考録」の最終第15巻の日付をみると2011年なんで、なんと12年経ってのシリーズ再開か、そりゃ驚かされる。
前シリーズの最後では、主人公の宗像教授はイギリスに客員教授として招かれてって、それでしばしお別れってことだったんだけど。
今回はそこから日本に帰ってきて、ってことで、ちゃんとつながってる、描いてなかったけど前のころにあった話とかってんぢゃなくて、登場人物はちゃんとトシをとってる。
トルコのギョベクリ・テペ遺跡から発見された巨石遺構の謎から始まって、ヨーロッパにもアジアにもおんなじような遺跡や伝説があるのはなんでだ、日本にもおんなじようなものがあったり日本にだけはそういうのがなかったりってのはなんでだ、みたいなことを大胆な仮説たてて考察してくさまは、あいかわらずおもしろい、っていうか前よりスケールアップしてておもしろいかも。
そんな説は荒唐無稽だとか批判されると、
>誰も踏み込まなかった道を わしは単騎で 進むことにしたのだ。
>転倒しようが迷おうが、 ドン・キホーテと嗤われようがな…
>あとから来る者は せいぜい 安心できる道を 検索して選ぶがいい。(p.177)
とか堂々と答えます。
その背景には、人生の残り少ない時間を意識して、その時間を自分の研究のためだけに使うんだと決意して、
>自分の心の赴くところ 一人で生き、最後は一人で死ぬ。
>迷うつもりはない。(p.74)
って宣言したことがあります。んー、マンガの登場人物もトシとると覚悟とかできてくるんですねえ。
どうでもいいけど、前の「伝奇考」シリーズでは雑誌での紀行文干支シリーズの企画に執筆するってネタがあって編集者と取材旅行してたりしたんだけど、本シリーズでもなにやら執筆の依頼がくるのはいいが、その「月刊ビッグヒストリー」の編集長の芹沢って女性が右目に眼帯してる、これってゴジラの芹沢博士(平田昭彦演)じゃん、何故、って、ちと驚いた。
第1集のコンテンツは以下のとおり。早く第2集を読まねば。
第1話 獣の神殿
第2話 狼の星座
第3話 熊の王座
第4話 斑(まだら)の馬
第5話 鹿男(シャーマン)・前編

しかし、よく考えたら、以前のシリーズ全般について、
もっとちゃんとした感想みたいなものをまとめとかなきゃいけないなあ。

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恋はいつもアマンドピンク

2023-11-03 18:07:33 | マンガ

赤星たみこ 1987年 双葉社アクションコミックス
これは今年5月ころだったかワゴン販売的フェアで見つけた古本。
赤星たみこは私が「アクション」読み始めたころは、『恋の街東京』を連載してて、これはタイトルは知ってたんだけど、読んだことなかったんで、ついつい買ってみた。
まあタイトルから想像されるとおり、女性の恋愛事情マンガです、初出はジャストコミック(光文社)1985年2月~12月号だって、「アクション」ぢゃないんだ。
読んでみれば、やっぱ80年代ぽいなぁって感じはするんだけど、ぢゃあどういうのなら2020年代ぽいんだとかいわれても私には答えられないが。
本書に収録されてるのは3つのストーリー。
「PART 1 恋の街TOKYO」では、都内ホテルのパーティ会場でコンパニオンのバイトしてる女子大生が、男友だち二人を天秤にかけるというか手玉にとって、それでいて実は妻子ある中年とつきあってたりする。
>既婚中年(おじさん)とつきあう メリットつったら ハイテクと 経済力だけでしょ
とか、
>あたしたちって 若さと“女子大生”ってゆー 肩書が“売り”じゃない?
>商品価値の あるうちに 楽しんで おかなくちゃ
>ね?(p.67)
とかってセリフが彼女からは出てきます、いーですねえ、この割り切り方というか潔さというか。
「PART 2 をとめの祈り」では、古いタイプのハンサムのカタイ男子学生が、ややコンプレックスの強いマジメな女子大生に紹介される、お互いに紹介の縁とりもってくれた友人のほうに最初はひかれるんだが、なんだかんだで結ばれる。
「PART 3 哀愁のページ」は、25歳独身の高校教師やってる女性が主人公、彼氏はいるんだけどいまいち自分に本気なのかわからない、かつての教え子の予備校生を浮気相手にしちゃおうかと考えてると、現役女子高生がその男子にちょっかい出してくるんでイラっとしたりする。
>女の シアワセ願望が どれほど強いか 男なんてだれも わかってないのよ!
>わたしは わたしを愛して くれてる人と 愛し合いたいのよっ(p.215)
って独白するような恋愛観の持ち主なんだが、最初のストーリーに出てきた女子大生が実はかつての教え子で、その教え子からは
>性欲を認めるのが ハズカシイから それに 愛とゆーコロモをつけてみたり するのよねー 女って
>わたし そんなニセモノの愛を信じるくらいなら 純粋性欲を 信じちゃうわ(p.230)
なんて教えられちゃう、おもしろいっすね、こういうの。
「あたし 目に見えるものしか 信用しないの」って女子と、「どーして愛は目に見えないのかしら」って女子の考え方がぶつかってるさま描かれてるのがいいっす。

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見晴らしガ丘にて

2023-08-24 19:19:00 | マンガ

近藤ようこ 昭和60年 実業之日本社
このマンガはずっと気にして探してたんだが、ことし5月だったか古書フェアで見つけたんで買った。
たしか文庫本も出てるはずなんで、そっちでいいはずのつもりだったが、これ見つけたらオリジナル単行本だろと思うと、欲しくなってしまった。
近藤ようこさんはいくつか読んだんだけど、これが気になってたのはたしか『怪奇まんが道 奇想天外篇』を読んでたら出てきたからのはず。
ところが、なんせ気づけば5年も前のことなんで、自分でも何が気になったのか忘れてたくらいだから、今そっちを見直してみた。
そしたら、売れないころの著者のところへある日突然「週刊漫画サンデー」編集部から電話かかってきて、畑中純の推薦あって描いてくれ、と頼まれて昭和59(1984)年から初の連載として描いたと。
そしたら、新聞の書評欄で糸井重里が「向田邦子さんが漫画を描いたら近藤ようこさんのマンガのようになるだろう」って推薦してくれたと。
面識のない著名人に応援されたっていうし、初連載には著者のギュッと詰まった何かがあるだろうし、みたいなとこの興味から読んでみようと思ったんではないかと思い出した。
長編なのかと思ったら短編集でした、だいたい舞台が見晴らしガ丘ってとこらしいけど各話に直接のつながりはなし。
(なお、タイトルの見晴らしガ丘の「ガ」の字はほんとは小さい字(「ヶ」のように)なんだけど、パソコンの変換で出ない。)
見晴らしガ丘ってのは東京近郊の私鉄沿線みたいで、そこで生活してる庶民を描いた話、昭和59年なんでね、当時の団地とかアパートとかって感じですね住んでるとこが。
主人公はたいがい女性で、主婦のときもあるし未婚の若いひとのときもある。
子どもできたんで結婚はしたけど、なんか人生先が見えちゃってるななんて思ってる主婦の、隣人は親子ほど年の離れた若い女子大生と再婚してるんだけど、ある日そこに前の奥さんが訪ねてきて親権がとか養育費がとかって話でゴタゴタしてるのが耳に入ってきちゃって、去り際に廊下で「あなた、おしあわせ?」とか言われるのが妙に突き刺さっちゃった話とか、日常のなかのちょっとしたドラマみたいな。(「となりの芝生」)
一読したなかで私が気に入ったのは巻頭作の「初恋」かな、骨折した妻の見舞いに病院に通う老人が、同じ病室のもうひとりの入院患者の名前が初恋の女性と同じということに気づき、大正時代の青春を思い出したりすんだけど、最後までカーテンの向こうの同室の患者の顔を見る機会はなかった、妻は無事退院っつー感じの話、劇的再会を果たしちゃったりしないとこがかえっていいような気がする。
収録作は以下のとおり。
初恋
GAL’S LIFE
ママ…DORAEMON
かわいいひと
HAPPY BIRTHDAY
となりの芝生
プレゼント
なつめ屋主人
ご相談
耳飾り


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