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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

文鳥・夢十夜

2015-12-15 17:31:09 | 読んだ本
夏目漱石 昭和51年発行・平成14年改版 新潮文庫版
なんだか「夢十夜」が読みたくなって、この秋に文庫本を買った。
むかし初めて読んだのは、家にあった「日本の文学」シリーズの漱石の巻か、それとも児童向け版の「草枕」かなにかに収められていたか、今となっては忘れてしまったが、いずれにせよ小学生のころだったろう。
漱石の小説はけっこう高尚で、日本語も難しくて辞書なくしてはホントは読めないんだが、こういう短くて怪談みたいなのは子どもにも比較的とっつきやすくて面白く感じたんだろう。
当時から印象がめちゃめちゃ強烈だったのは、
>こんな夢を見た。六つになる子供を負ってる。慥に自分の子である。只不思議な事には何時の間にか眼が潰れて、青坊主になっている。
で始まる「第三夜」である。
>「もう少し行くと解る。――丁度こんな晩だったな」
だなんていう展開が恐ろしい。
で、もちろん、それも読みたかったんだけど、今回やっぱ久しぶりに読みたかったのは「第六夜」。
これは高校生んときに国語の教科書に出てきて、これはコレコレこういう意味なんだと解説されて、ホーそうかぁ!と感心した記憶が強い。
>運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。
で始まる話。
運慶は見物人がいようがおかまいなしで仕事を続ける。設計図なんか見ないし、手を止めて考えることもない、ものすごいスピードで鑿と槌でもって物の見事に仁王の顔を彫って作っていく。
それを見て、感心する「自分」のもらした言葉に見物人のひとりが、
>「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出す様なものだから決して間違う筈はない」と云った。
それ聞いて、なら自分でやってみようと、ウチ帰って積んである薪を次々と彫ってみたが、木のなかに埋まっているものはなく、
>遂に明治の木には到底仁王は埋っていないものだと悟った。
という話。夢の話という体裁をとった、実に見事な現代文明批判論みたいなもの、だと説明されて、そういわれるとそうとしか解釈のしようがない気がしたもんだ。
ほかにもいくつか小品が収められているけど、「文鳥」なんて改めて読むと感心した。
弟子の鈴木三重吉に文鳥をもらって飼うという話なんだけど、観察の細かさとそれを表現した文章が華麗で、ひさしぶりに日本語読んで感激した。
>文鳥は膨らんだ首を二三度竪横に向け直した。やがて一団の白い体がぽいと留り木の上を抜け出した。と思うと奇麗な足の爪が半分程餌壺の縁から後で出た。小指を掛けてもすぐ引っ繰り返りそうな餌壺は釣鐘の様に静かである。さすがに文鳥は軽いものだ。何だか淡雪の精の様な気がした。
とか、それに続く箇所の、
>(略)又嘴を粟の真中に落す。又微な音がする。その音が面白い。静かに聴いていると、丸くて細やかで、しかも非常に速かである。菫程な小さい人が、黄金の槌で瑪瑙の碁石でもつづけ様に敲いている様な気がする。
だなんて、なかなか書けないよぉー。文豪に言うことぢゃないけど、うまい。
あと、漱石の生涯に関して、大量の吐血をした修善寺の大患という出来事については、私は「『坊っちゃん』の時代」第五部の「不機嫌亭漱石」でしか知らなかったんだけど、今回「思い出す事など」を初めて読んで、ああこのことかとようやくおさまりがついた。
収録作は以下のとおり。
「文鳥」
「夢十夜」
「永日小品」
「思い出す事など」
「ケーベル先生」
「変な音」
「手紙」

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いっしょけんめ乗った次の日は、きっと腰が痛い

2015-12-14 17:36:31 | 馬が好き
乗馬にいく。
年内の練習も、今日入れて2回か3回、だから何をどうするということもないが。

本日の馬は、ゴルパンこと、ゴールドパンサー。
6月の試合で無謀な突っ込み方して障害ぶっこわしちゃった記憶しかないけど、練習では三度目になるかな。
忘れてるんで過去日記検索、ふむふむ、動いてって抑えるとこでこそ乗り込んでいって、ね。それが難しいんだ、それが。
ぢゃあ、馬装して、馬場へ。先週同様、柵が置かれてないけど、練習のときだけササッとつくるので、そのなかで部班。
ウォーミングアップの常歩で、ポンと脚つかったら前に出てもらうように繰り返す。勢いが落ちたら、すぐポンと脚、勝手にズンズン動いてくれること目指す、この馬ならやってくれるはず。
先頭でもよかったんだけど、前の馬に追いつかないように抑えることもやってみたいから、さりげなく二番手につける。(ラクしようとしてるだけぢゃないんだよ。)
速歩スタート、軽速歩中心に。オウオウ、すごい弾むようなステップだ、ドッタンバッタンと馬の背にお尻つかないように、前へ前へ軽く乗ってくことイメージする。
フワンフワンとした動きが楽しいので、それを止めてしまわないように意識する。ムダに脚で馬をギュウギュウ挟んだりしないように。ヘタに手をガチャガチャやってブレーキかけないように。
輪乗り、そして正反撞。すわるの大変、いっしょに動けたときはとても気持ちいい。

馬が外向いちゃうのをジワッと直す。外のコンタクトをまずしっかりと、そしてときどき開き手綱。
馬を力で屈服させるんぢゃないよ、丸くなるきっかけをつくって、いうこときいたらすぐかえして、その場にいることがラクな状態にするだけ。
しかし、馬が微妙に傾いちゃうの直せないなあ。倒れそうになる反対側についつい力入れてアブミ踏んだりしちゃうんだけど、よくない、真っ直ぐ座んないと。
んぢゃ、駈歩。スッと出るんだけど、そのあと伸ばしていくのが思うようにいかない。いちど背中の推進スイッチを押してしまいジタバタしたら、ハネそうになったので、反省、ジッと座って脚。
あとは動いてく馬と同調すること、ジャマしてはいけない。あせって人の身体がグラグラ動くと、馬の肩に乗っちゃう形になるのか、馬が前進しにくそう、そうなると跳ねるかもしれないので、馬を前において乗るようにしたい。
蹄跡に出ると、いい勢いの駈歩で、先頭の馬に追いつきそうになるので、暴走恐れて人の腰が浮いたりしないように、逆に座って脚で馬を挟む。人間が硬くなって動きが止まると馬を制御できなくて危ないんで、脚の各関節を開閉してフワンフワンした動きのまま抑えるイメージ。
前回乗ったときより詰めた動きをケンカできないでできたかなと思ってたんだけど、逆に輪乗りのなかで伸ばそうとしたときに反応いまいち、前の馬に追いつくどころか距離開けられちゃった。どうにも難しいね、この馬、出すにしても抑えるにしてもちょうどいい頃合いが私にはつかめないよ。
最後に速歩から常歩にしたときに、馬の動きの活発さが失われちゃって、再スタートができない感触だったんで、脚ボンボンやって動かす。勝手に休めされちゃった感じ、コンタクトを失ってシフトダウンしたからだろうね。

はい、乗り替わり。次に乗るひとは、乗ったことないかもと言ってたので、「動かなかったとしたら人がジャマしてる証拠」と、えっらそうにアドバイスしておく。
(※12月22日付記 これ、アドバイスというより、ただプレッシャーかけてるだけのような気がする。)
見てるときに一鞍目いっしょに乗ったメンバーから、ゴールドパンサーは重くなかったかと問われたので、そこも「重いとしたら、それは人がジャマしてるから」と答える。
でも、いちどハネたでしょ、と言われたので「そう、あそこはジャマをしたから」と正直に白状する。
うーん、それにしても他人が乗ってるのを見てると、いい馬だ、ゴルパン。

終わったら手入れ、そんなに汗かいたりしてない、楽勝だったか?ゴルパン?
リンゴやったら喜んで食う、なんかカワイイんだよね、この馬。
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CD-RIDER

2015-12-10 07:43:52 | 荻野目ちゃん
荻野目洋子 昭和63年 ビクター
さて、きょうは、私のアイドル荻野目洋子さんのお誕生日である。
さ、ぢゃ、朝から荻野目ちゃん聴いて、テンションあげていきますか。
(もともと無責任で年齢相応の落ち着きがない人間なんだけど、荻野目ちゃんとか聴くとすぐ当時の精神年齢に戻ることができてしまう、私。)
なんでもいいんだけど、きょうのところはスイッチ入れるのに「ジャングル・ダンス」が良さそうなので、「CD-RIDER」にしよう。
ほかの曲も、
神秘すぎるよ 星座も同じアクエリアス
とか、
Night Spy Your Heart 点滅する "WARNING!"Caution 嫌いよあなた
とか、なんかんときに口をついて出てきちゃうフレーズがあるラインナップで、いいよねえ。
1.DEAR~コバルトの彼方へ~
2.パームトゥリー・キャンドル
3.SUPERSTITION
4.ジャングル・ダンス(Version II)
5.ペルシャン・ローズ
6.朝の街
7.Eye Spy The Night
8.スターダスト・ドリーム(Version II)
9.アフター5はパラダイス
10.ストレンジャーtonight(Version II)
11.素敵にFADE AWAY
12.銀色のペーパームーン
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村上龍全エッセイ1987-1991

2015-12-09 21:03:52 | 読んだ本
村上龍 1991年 講談社文庫
冷静に考えると、なんで持ってるのかよくわかんないんだけど、文庫版のエッセイ集の第三弾。
もちろん小説も書いてるんだけど、あいかわらず、いろんなとこ飛びまわってて、自ら「遊び人」と称することだけのことはある。
これより前の時期には、テニスの試合の観戦とかで忙しそうだったんだけど、この時代にはF1サーキットをほぼ全戦ついてまわって世界中行ってる、すごいエネルギーだ。
>テレビではわからないことに首を突っ込むこと、テレビしか知らないやつに「ザマーミロ」と言うこと、男の子だったらそれを目指すべきである。(p.154「鈴鹿F1GP観戦記」)
と言ってます、うーむ。
自身そうやって現地に突入するのを常にしてることから、
>「美」と「快楽」はガイドブックには載っていない。(p.240「美と快楽」)
と断言する境地に至っている。まー、うらやましい。
あと、ほかに、気にいったとこをあげてみると、意外とインドなんかにも行ってんだけど、
>最高度に洗練されたタンドリ・チキンの味に匹敵するのは、パリ、「ツール・ダルジャン」の鴨、ローマ、「トゥリオ」のパスタ、N・Y、「福臨門海鮮酒家」のフカヒレ、京都、「大市」のすっぽんなど、本当に数えるほどしかないのではないか。(p.98「生と死の社交場―インド」)
だなんて、いちいち比較対象するものが凝ってたりするのがいい。
ただ、遊びまわってる贅沢な気分を書いてるだけぢゃなくて、
>嫌いなのは、動物の擬人化、です。(略)
>ストーリーを欲しがるのは人間だけで、動物は、そんなもの必要ないし、あったら生きていけません。(略)
>動物の擬人化は、想像力の欠如も生みだします。(p.305「TEN YEARS AFTER」)
みたいなことビシッと言うとこが好きなんだけどね。
どうでもいいけど、
>「ニューヨークで二ヵ月ばかり遊んできて、短篇小説を書いてくれ。」というゴージャスな仕事の依頼があって、出かけたのである。
って、最初の海外旅行に行ったと言ってるけど、村上春樹の『職業としての小説家』では、
>「世界中、どこでも好きなところに行って、いくらでも経費を使って、好きなように紀行文を書いてください」みたいな依頼もありました。
なのに、
>(略)(丁重にお断りしましたが)
とあるのを、こないだ読んだばかりだったので、ずいぶんスタンスに違いがあるなー、とは思ったもんです。
(たぶん同時期の話と思われる、バブリーだなあ。)


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バタバタの先頭で大迷惑だったかも

2015-12-07 18:13:11 | 馬が好き
乗馬に行く。
風が吹いて体感温度低いから暖かいカッコしろとか天気予報が大きなお世話、13度くらいの予想だし練習は屋内だしで、いつもとあまり変わらないカッコで行く。(手入れのときだけ一枚羽織る。)

きょうの馬は、マイネルレコルト、こないだも乗ったなあ、なかなかうまく動かせない、本来は弾むようなイイ動きをする馬なんだけど。
二鞍目のひとがマルタン付けたことないとかいうんで、ああしてこうしてとか横から口を出すだけで、たいがい馬装をやってもらっちゃう。
どうでもいいけど、冬毛が長い。さわると指が埋まりそうなくらいでモフモフしてる。
馬場に入ってみると、なんと障害とか柵とかがキレーっに何もない。きのうまで競技会やってたからかな。

なんも頼るものないと不安かというとそんなことなくて、むしろ思い切り馬場を斜めに走らせてみたいなとか野望を抱くんだが、まずは端のほうで常歩で歩く。
ポンと脚、スイっと前に出たらあと何もしない、勢い衰えたらまたポン。
そうこうしてるうちに、セフティコーンで部班会場ができたので、列になって歩く。
(最初セフティコーンをスラロームしてしょうもなく遊んでたのは私だけ。)

常歩を元気よくということで、先頭だから後ろのことおかまいなしに歩かせる。
後ろにはポニーチームもいるんで、あんまり飛ばすとストライドの違いもあってかわいそうなんだけど、馬が自分からズンズン動くことを理想としているので、ペースは気にしないで、やりたいことやる、わがままな先頭。
ときどき先頭より左へとか右へとか、ほんとに動いてないと蹄跡から曲がろうとしたとき止まっちゃう、方向転換する前に脚つかってアクセルふかす。
そのうち速歩へ、軽速歩中心で。いい反撞してるんで、人間が上でグラグラしちゃう。
なるべく軽~く乗っていくイメージで、ドッタンバッタンしないようにと思うんだが、動かそうとか何とか考えるとそうもいかない。
斜めに手前を替え、斜線上歩度を伸ばせ、あらら伸びない、何も変わってない。
反省したんで、次のときは短蹄跡のうちに脚ドンと使って、回転を強くしてから斜線に入る。あんまりきれいにストライド伸びてるとは思えないが、勢いだけはまあまあある。
歩度を伸ばしたりしてると、コンタクトが弱くなり手綱が長くなる、あと5センチ短く持てと言われる。
姿勢にしても、肩に力が入ってるし、ヒザも上がってるので、力抜いて脚の重さでアブミ踏めてない。
馬が前に出てくれてるかと思うと、アタマ上がってて何か乗りにくい。強引に手を使ってウケてるようなカッコさせようとすると、前に出る勢いなくなる。悪循環。
手を使って馬こっちきてくれたらかえすようにって思うんだけど、そのたびに手綱が長くなってっちゃう。悪循環。
んぢゃ、輪乗り。蹄跡に最接近するとこ3か所にはコーン置いて接点をつくる、馬場の真ん中の一辺にはコーン二つ置かれてその間を通ること、ということで円を描くこと徹底される。
輪乗りの手前を替えるときも、半分の大きさの円を描いて真ん中を通って反対側に行くように。
そしたら、駈歩。あー、速歩まではそこそこかと思ってたのに、駈歩の踏込が全然なっちゃいない。
動かそうとジタバタしたり、内に入らないようにガチャガチャやってると、ヒザがあがってくる、馬の動きと一致しなくなってくる、バタバタ。
右手前では馬の顔が外向いて内に倒れてくるのを直すのに苦労する、左手前では思うように駈歩が伸びず何だか四節みたいな足運びになって苦労する。
もう後ろの隊列の距離とかバラバラにさせちゃうのもおかまいなしに、出してみたり抑えてみたり勝手にやるんだが、どうにもやっぱ前に出る勢いが引き出せない。

そんなことやってるうちに、終了。まあせっせと動くところは動いてくれたので、よっくホメて、乗り替わり。
二鞍目を見てると、やっぱ脚つかっても反応できてないときは、上で人がジャマしてるんだろうなってことはわかった。それが証拠に、タテガミつかんで脚つかうとスッと動いて馬がいいカッコになる。
上でグラグラしたり手綱引いたりしなけりゃ、馬は自然と本来のいい動きをするんだよね。それがむずかしいんだけど。

練習終わったら、さっさと手入れして、なるべく早く馬房に戻してやる。それからリンゴ、あらら、一口しか食べないよ。食わないなら、がんばってたアパオとペローにやっちゃうよ。
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