kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

不正スタートについて思う

2011-08-29 | 陸上競技
注目を浴びていたテグ世界選手権の男子100m決勝、あっけない形で終わってしまった。世界中の期待を背負ってのボルトのレース。誰もが「勝って当たり前」だと思っていたことでしょう。本人もきっと・・・。が、今大会から導入されたフライングによる1発失格の対象となりボルトが失格。思わず「わぁ・・・」という言葉が漏れてしまった。ある意味平等ではあるがこの舞台に立つまでにどれだけの努力と想いでやって来たかを考えるとやりきれない部分がある。

数年前、「意図的にフライングをして他の選手にプレッシャーを掛ける」選手が多かったため、1回目は仕方ないが2回目のフライングは誰が行っても失格というルールに変更された。結局これでも意図的にフライングする選手はいるので大して変わらないように思われるが、走る選手にとっては大きな違いがある。フライング1回で失格になるとやはりかなりナーバスになる。高校生の大会でフライング1回でインターハイ路線の大会を失格になると思うとちょっと厳しすぎる感じがある。力を発揮する前に終わってしまうのだから、やり場のない感情が残ってしまう。国際大会であれば今後の人生がかかっているといっても過言ではないからかなりの精神的なダメージだろう。

以前、県内でも特定の学校の選手が意図的だと思われるようなフライングを繰り返していて、指導者の間で話題になったことがある。強い選手が更に他の者にプレッシャーを掛けるというのが見え見えであった。教育的な問題である。普段からそういう手法を用いることがないように細かく指導をしていけば絶対にそういうことは起きないはずである。「勝てばいい」というのではない。特に高校生なので「正々堂々」という意識は持たないといけないと思う。ルール上は問題ないがやはり気持ちの良い物ではない。そこがコントロールできないから結局は1発失格にしようという話が出るのだが・・・。

もっと大きな問題は「放映時間の問題」。最初のルールでは「1人が2回フライングしたら失格」というものであっった。この形でレースをすると決められた放送時間内にメインとなる種目が行われなくなる。どうしてもスポンサーの関係でテレビ放送が中心となる。これは他のスポーツも同様。バスケットボールは休息時間にCMを入れる関係でクォーター制になり1試合が4ピリオドに分けられた。合間合間にCMができるのでこちらの方がスポンサーが集まりやすいから。このような「企業の理論」で多くのスポーツのルールが変えられている。選手の「想い」は置き去りにされてである。本当にこれで良いのか?大きな疑問を持つが我々のレベルではどうにもならない。大きな流れにのまれている・・・。

今回のボルトのフライング、世界中の陸上ファンが大きな落胆をしただろう。しかし、それはどうにもならないのである。今回のことが陸上界に「本当に大切なもの」を投げかけるものになればいいと思う。高校でも近いうちに不正スタートの1発失格が導入される。この時に自分の所の選手が失格になったらと思う・・・。意図的かどうかの判断は誰もできない。仕方のないことです。しかし、大きなダメージが残る結果になったことは間違いありません。

「感動」を与えることができる舞台でパフォーマンスを発揮する前に終わってしまう。本当に大切なもの、皆が見たがっているものを示せない。本当に意味がないことです。やりきれないですね。
コメント
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