金曜日。練習終了後のこと。
翌日が全体での練習最終日になる事を伝えました。学校に全体が集まって練習するのはしない、と。学外においても集まってやる事はしない。こういうご時世ですから。高校生が家の中に3週間閉じこもるというのは絶対的に不可能だと思っています。この辺りの事も翌日に詳しく話をしようと考えていました。
練習に関して選手達も不安に思っている部分があります。当然です。学校が休業になる。登校して部活動をやるというのはどう考えても不可能です。自分達でやるしかないかなと。特に電車で通っている者に関しては極力電車に乗せたくないなという気がしています。都市部と違って「満員電車」になる事はありません。濃厚接触というほどの関わりはないでしょう。それでも...ですね。
いきなりの「休校要請」でした。もちろん「命」の問題に関しては最優先されるべきです。自分だけではなく他者に感染させるというのはあってはいけない。だからこそ集団で何かをするというのは許されることではないかなと。どこかに集まって何かをするというのも批判の対象になるでしょう。本人達にもマイナスになる。だからこそ「集まっての練習は認めない」という話をしていました。
この事は「現場」にとっては大きな事だと思います。目の前でまた一生懸命に練習をしてきた選手達の姿を見ています。それが「3週間家から一歩も出るな」というのは無理な話です。ショッピングモールに行ったり友達と遊ぶ事に関してはやるべきではないなと考えています。が、個人で何かをすることまで制限されるのか。
私の性格的には集まって練習をさせたいというのがあります。しかし、ここは絶対にやらないようにしようと。川内優輝選手がTwitterで「練習がしたくて『自主的に集まってる』と主張しても『部活動をしていた』と学校に苦情の電話がいくのでしょうか、、、」という呟きをしているというのがネットニュースになっていました。まさにその部分だと思います。複数人でやる事はリスクが伴います。それにより身体を動かすことさえ出来なくなる。「部活動」という範疇ではなく「クラブチーム」なら何も言われないのかもしれないですね。周りから見れば同じでも。
万が一その場に私がいるようなことがあればアンチkanekoにとってはバッシングする絶好のチャンスになるのでしょう。選手のことを考えるとそれだけは絶対に避けなければいけない。
例えば「練習ができない」となった時にそれぞれがどのように感じるのかだと思います。よく雨が降って練習ができなくなった時に「雨だから部活がない!」と喜んでいる生徒がいます。放課後になると「あー、部活行きたくないな」と口にする。「だったらやらなければ良い」と思います。こういうものは「他者から強制されるもの」ではない。やりたくないことを無理やりやらされるのは不幸です。この事も常々選手には話しています。
うちは全員が「練習をしたい」と強く思っているとは思いません。が、大半のものは「やりたい」と思っています。他者との濃厚接触がない状態で身体を動かす事が「絶対悪」だとは思いません。ショッピングモールやフードコートにいる方が明らかに危険です。広い所で1人で練習することが「絶対悪」で買い物をして歩いたりカラオケに行く事は「良い事」なのか。もちろんどちらも「悪」だと言われるのかも知れませんが。
多分私がこうやってblogに書く事で賛否両論になるの思います。立場が違えばそれぞれ考えることが違う。人によっては「家から一歩も出る事は許されない」と考えるでしょうし。そんな事を3週間もできるはずがない。「危機的な状況なのだから当たり前だ」という意見もあるでしょう。本当に高校生が一歩も出ずに過ごせるか。遊びまわっているのとは全く意味が違う。単独で行動して他者との接触がないのであれば「自らの意志」で身体を動かす事は「悪」だとは思いません。価値観がおかしいと言われればそうかも知れませんが。
現場で「全力で取り組む選手の姿」を見てきている指導者はかなりの葛藤があります。この子達のために何かしてあげたいという部分。が、現状では我々にできる事は本当に限られている。指導する事はできないし、選手同士が集まって練習するのも止めていかなければいけない。「選手達の意識」や「考え方」が大きく影響します。
練習道具を各自で持って帰って近隣で練習をするようにさせたい。そういう話をしていました。「道具持って帰っていいんですか?!」と欲しかった玩具をもらったように目を輝かせている者が何人もいました。何もない状態で練習するのは難しいと思います。そうであれば自分達ができる限りの事をしたいと願う。「やらされている」のではない。
「シャフトも持って帰って良い」という話をしました。「電車でですか?!(笑)」と言っていました。まーさすがに恥ずかしいでしょうね。「家で何かやる時にシャフトあると幅が広がるよね」と言うと「じゃー持って帰ります!!」との返答。
かなりシュールな状況になると思ったので他の選手に写真を撮るように伝える(笑)高校生がシャフトを持って家に帰る姿というのはかなり非現実的です。その後、改札口をシャフトを持って小走りに抜けていく姿はさらにシュール。
途中で中学時代の同級生に会って冷ややかな目で見られたということでした。まーここまできたらもう本人達は関係ないと思います。本当にやりたいと思う事であれば恥も外聞もない。
こうやってblogに書く。批判される材料を提供しているのかもしれません。それでもあえて書きます。うちだけではなく世の中には「練習をしたい」と強く望んでいる選手が沢山います。その子たちに対して「批判する」ことは簡単です。が、この子達の「熱い想い」を大切にしてあげたいなと思います。もちろん、周りに迷惑をかけて集団でやるというのは避けるべきです。が、個人的に身体を動かす、練習をする事を「悪」だと批判するのは違うかなと。
だからこそ「個人でやる」ようにしなければいけないかなと。3m以内に人がいるわけではない状態で1人でやることが「絶対悪」ではない。共感してもらえる人もいる反面、「許さない」と言われる人もいるでしょう。本当に難しい部分だとは思いますが。
正解はわかりません。批判覚悟であえて書きます。雉も鳴かずば撃たれまい。毎回のことですが自ら叩かれる、批判される材料を提供しているのかもしれないですね。が、同じ事を考えている人はいる。そう思っています。
また書きます。