kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

目標設定

2021-12-05 | 陸上競技
前の記事の流れの中で。

木曜日の夜に資料を作成しました。口頭で話をしても頭に入らない、記憶に残らないというのがあるので。具体的に何をしないといけないのかを伝えるためには視覚的に見ていくことが必要になります。黒板を使ったりすると分かりやすいかなというのもあるのですが。時間の関係で別室に移動してやりたいところですが屋外で。

時間をもらいました。練習する時間を削る事になります。本当は練習をした方がいいのかもしれません。しかし、その前の段階で「目標をどう設定するか」というのはすごく大切だと思います。毎日の練習の中でどのような目的意識を持っているか。目標に向けてその日その日なにを積み上げていくのか。与えられたことをやればいいという感覚では、どれだけ技術的なことを細かくやっても繋がっていかないと思います。

まず最初に「目標とは」という話から。前日にもらった画像を利用させてもらいながら話をしました。「魔法の黒板」という話で。具体的に「どの時期」に「どれくらいの数値なのか」というのが示されています。最終目標に対して常に逆算してやっている。いきなり大きな目標を狙うのではなく、その前にやっておかないといけないことやクリアしておかなければいけない技術課題があります。単純に「目標」を決めたらそれで達成できるわけではありません。実際に目標を達成した人達がやっていること。ここは見逃してはいけないと思います。

「強くなりたい」という気持ちがあったとしてもその方法論を知らないという部分はあります。何度も話していますが「練習をやったら強くなる」という訳ではない。そこには具体的な方法があると思っています。取り組みの姿勢という枠組みではなく「考え方」です。ここが分からないとうまくいかない。

前の記事にも書いた内容を指摘しました。47秒台を出す。12秒00を出す。これは立派な目標だと思います。が、本当にその目標に向けてできるのか。実際問題、「オリンピックに出る」ということを目標に掲げたのとなんら変わりはありません。今の力を考えてその目標が達成できる可能性は0に近い。それは目標でもなんでもない。その目標達成をするために「具体的に何をするか」がイメージできないからです。

これも話をしましたが「IHに出場する」というのは全く意味のない「目標」です。掲げているだけだから。そのために具体的になにをするのかが見えてこない。「10秒75を出してIHに出場する」という具体的な数値を示しながら考えるとまた話が変わってきます。実際に中国大会の決勝で10秒75を出せばIH出場の可能性があります。単純に「数値目標」を示すのではなく「意味のある数値」でなければいけないと思います。ある選手が県総体で12秒5、中国大会で12秒3を出してIHに出場すると書いていました。これは具体的に段階を追って示された目標です。今の力からすれば可能性が出てくるでしょう。実際12秒3ではIHには届きませんから考えなければいけないですが。やはり「具体的で測定可能な目標」でなければいけないと思います。

2つ目は「達成期限が決まっていること」が大切になります。本当に狙う大会から「逆算」をして「どの時期にどれくらいのレベルに達しているか」を期間を分けて考えていく必要があります。試合前になっていきなり「あれ?強くなってる?」みたいなことはありません。これまで見てきた中で本当に強くなっていく選手は12月や1月にその片鱗があります。あー、これは間違いなく強くなるなというのが練習の走りの中で出てきます。期間分けをしっかりしてそれぞれの時期に何ができるようになっておく必要があるかを自分自身で決めてやっていかなければいけません。具体的な目標が達成できない選手はその段階でイメージが持てなくなります。うまくいきません。

そこで具体的にどのような目標の設定をするかも話しました。今回の目標設定の紙を見ると「IHで優勝する」と書いている選手がいました。可能性はあると思っています。が、「170を一発で跳んで優勝」と書かれています。これは「170で優勝する」というイメージになります。残念ながら170では優勝できません。私は今回の話をするために一応過去の結果を調べながら目標設定の参考を示しました。「IHで178を跳んで優勝」が実際に必要な記録です。または「IHで175を一発で越えて3位入賞」が本当に必要な目標です。170では優勝できません。間違った目標設定になるとそこを目指してやる事になるので勝てません。

女子のマイルは4分切りしてIHに出場と書いていました。残念ながらその記録ではIHには行けません。本当は走る4人がそれぞれどれくらいのラップで走れるのか、走らないといけないのかを考えた上での目標でなければいけない。それぞれが責任を果たすためにもノルマが必要です。本当にIHを目指すのであれば「3分55秒を切って中国大会で3位」というのが実際に必要な目標でしょう。単純に「目標」を掲げたらそれでいいという話ではない。より具体的にどこまでやらないといけないのかを考える。高過ぎる目標では「なにをやったら良いのか」はイメージできません。

話をしましたが「高い目標を掲げる」というのは「高い目標を設定しておけば良いだろう」というのもあると思います。低い目標を設定しても大したことがないと思われるので。それよりは達成できないけど高い目標を掲げておく方が良いなという部分がある。が、本当に必要な目標設定は「達成できる可能性が50%」だと言われています。13秒6で走る選手が12秒0を出すと言っても何をすれば良いのか見えてきません。

ここで大切なのが「現実を理解する」という部分。高すぎる目標では「今の自分の理解」ができません。今の自分自身の力が分かっていなければなにをすれば良いのか見えてこないからです。高すぎる目標設定をしている間は自分自身の課題は見えてきません。最大限の努力をして達成できるかどうかのギリギリの目標。それにチャレンジすること。このは大きいと思います。ギリギリな目標を設定した時、「達成できなかったら」という不安もあるでしょう。それができなかったらカッコ悪い。本当はそこは関係ない。自分自身の限界にチャレンジするための目標設定でなければいけないと思います。

それに加えて「必要なこと」を具体的に書き出していく必要があります。三段跳で14m20を出してIH。そうであればなにが必要か。最低限立五段で14m50は必要になるでしょう。それをいきなり春に出すのではなく12月には13m50、1月に14mというように期間を分けて少しずつ数値目標をクリアしていく必要があると思います。それにより自分のやるべきことが正しいかの確認にもなります。さらにそれを達成するためには50mバウンディングを何歩でいかなければいけないかも考えていく必要があります。そのためには潰れないように最低限でもスクワットの重さが何キロ必要になるのか。ハイハードルジャンプがどれくらいできるようになっておく必要があるのか。目標に対して必要な要素が明確になってきます。

目標を決めること。ここに関してはかなり大切だと思っています。が、単純に目標を決めれば良い訳ではない。そこには意味のある目標を設定していく必要があるのです。だから目標について話をしたかったのです。

ここから孫子の兵法を利用した目標設定の話をしていきました。これはまた別に書きたいなと思います。長くなりますね。すみません(笑)
コメント
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