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リートの経営分析(第2回)

2012-02-17 22:49:35 | 11期生のブログリレー

 今晩は、才村です。

 

 「推奨銘柄に投資したのに損してしまった」と言われても、私は補填できるほどお金持ちではありませんので、今回から会社名をイニシャルにしました。なお、数値は、各社決算説明資料からの引用または私の計算値です。

 今回は安全性、成長性、有望投資先を取り上げました。

 

 まず、安全性です。自己資本比率  LTV  DSCR 信用格付け

M社(11年9月期) 48.9%  46.1%  7.7  AA(JCR)

N社(11年6月期) 51.4%  46.5%  6.5  AA(R&I)等

K社(11年10月期) 54.6%  40.3%  6.2  A(JCR)

(注)LTV(Loan To Value、総資産有利子負債比率)

   =(借入金+投資法人債)/総資産

  DSCR(Debt Service Coverage Ratio、借入金償還余裕率)

  =NOI(償却前事業利益)/元利返済額

 

⇒K社は自己資本比率が高く、LTVが低くて、数値上は安全性が最良です。信用格付けは、M社とN社が業界上位にあり、K社は業界中位以下です。借入金支払い能力は各社十分余力があります。数年後に予想される金利上昇と機動的な資産購入のための借入余地を考慮すると、LTVの低い方が優位にあります。

 

次に成長性です。5年前(2006年)と比較しました。

         総資産成長率  営業収益成長率  純利益成長率

M社(11年9月期) 1.89倍    1.60倍    1.23倍

N社(11年6月期) 1.30倍    1.16倍    0.89倍

K社(11年10月期) 1.72倍    3.53倍    1.44倍

 

⇒各社とも総資産の成長に比較し、純利益の成長が追い付いていません。特に、N社は業界第1位の資産規模ながら、純利益が5年前に比べて減少しています。東京駅周辺にあるような巨大新築ビルが大量開業して東京のオフィス供給量全体が需要に比べて過剰気味であることによる賃料低下が原因です。気が早いかもしれませんが、オフィス賃貸業はガソリン販売業と同じように斜陽産業になってしまうのでしょうか。

 

 最後は有望投資先の検討です。ただし、投資口価格の変動が大きいので、有利な投資タイミングは底値の時です。

          経常利益率 営業外費用率 含み損益 PBR 分配金利回り

M社(11年9月期) 51.8% 11.4%  -2.2% 1.1倍 5.7%

N社(11年6月期) 31.9% 10.5%  +5.4% 0.9倍 4.2%

K社(11年10月期) 33.6% 15.4%  -9.4% 0.5倍 7.5%

 

⇒投資家:金融機関への概略配分比率(経常利益から投資家に分配金が払われ、営業外費用が金融機関に払う借入金・社債の利息を表しているが、M社は4.5:1、N社は3:1、K社は2:1であり、投資家にとってM社が最も有利です簿価に比べて時価が低く資産劣化が進んでいると実態の資産価値が低くなりますので、含み損益も要着目項目です。不動産投資で重視されるNAV(時価純資産)倍率が公表されていないので、代わりにお馴染みのPBRを比較すると、N社、K社は割安であることが分かります。最後に分配金利回りを見ると、N社がリスクの低さで市場から評価されています。(両データの出典:東証・証券会社ホームページ2月17日付)

コメント (1)
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