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飲食店のための美食学

2012-02-27 20:21:31 | 11期生のブログリレー
ブログをご覧の皆様こんにちは。
中小企業診断士の金子敦彦です。

先日、某大学のガストロノミ(美食学)という講義でサポート講師として登壇いたしました。
メイン講師をされている先生はフレンチレストランの評論等で著名な先生であり、また、ホテルやレストラン経営に携われたご経験をお持ちのことから経営学などでも教鞭を執られている、多彩な分野でご活躍されている方です。
今回は、近年私が行っているワインと食への取り組みに対して先生に評価をいただき、登壇の機会をいただくこととなりました。

美食学という言葉は聞きなれない方も多いのではないかと思いますが、講義の内容は、食の歴史や各国の現状、食材と調理法、飲物、レストラン、食のマナーなどです。全体的に、食を愉しむために必要な知識を得るための学問と考えていただいて良いと思います。
私はこの講義で主に、レストランを探して、予約から会計を行うまでの流れの部分を担当させていただきました。

講義は食を愉しむ側の目線で行いましたが、このブログでは食を提供する(飲食店)側の視点で美食学について考えてみたいと思います。飲食店の方々にも参考になる内容と思いますので、受講生の方々の生の声をいくつかご紹介させていただきます。

・レストランで料理や飲み物の値段を聞いていいのか
・コートを脱がせたりしてくれるサービスを受けていいのか
・レストランにどのような服装で行けばいいのか

これらの疑問は「レストランは食事を楽しむためにあり、食事をする側には食事を愉しむ権利がある」ということと「レストランに来ている他の客にも同じように食事を愉しむ権利がある」という二点を知ることで解決します。他人の権利を侵害しないよう配慮しながら自分の権利を行使すれば良いということです。

しかし、この回答を聞いた方は、次のような疑問をお持ちになるのではないでしょうか?

「他人が食事を楽しむ権利を侵害しないってどういうこと?」

これは、マナーを守るということに言い換えられます。他人が不快に思わないようマナーを守って食事をする必要があるということです。
ガストロノミの講義では、フランス料理におけるマナーを明確化しています。よって、上記の二点を知ることでフレンチレストランで食事を愉しむためのほとんどの疑問が解決することになります。

ただ、このマナーというものが難しいもので、それぞれの国や文化などによっていろいろなマナーがあります。上記のような疑問は、飲食店ごとのマナーの違いから、該当するお店ではマナー違反なのかもしれないと思って出た疑問なのではないでしょうか。
しかし、果たして日本の飲食店の中に「頼むから料理の値段なんて聞いてくれるなよ」と思っている飲食店がどれくらいあるでしょう?

問題は値段を聞くことはマナー違反ではないのに、値段を聞くことを躊躇している人がいるという現実です。
これによって、客側としては、食べたいものを食べることができない、値段が気になって食事を十分に楽しむことができないという問題が起こります。また、店側としては、値段が不明だったための機会損失がおきる、お客様にに十分に食事を楽しんでもらえないという望まない結果が起こるでしょう。
このような問題のさらに厄介なところは、そもそも顧客が店舗側に確認をとれないために起きている問題のため、顕在化する可能性が非常に低いことです。マナーがわからないために起きる他の問題にも同じことが言えます。

これらの問題の解決方法はいろいろ考えられますが、どのような手段をとった場合にも、飲食店側の食事を愉しんでもらいたいという思いを顧客に伝えることではないでしょうか。店舗全体が一丸となり思いをお客様に伝えることができれば、その店舗のマナーの中でお客様に食を愉しんでもらうことが可能だと思います。
飲食店で食を愉しみたい人が、食を愉しんでもらいたいという飲食店を訪れて、食を愉しむ。当たり前のことを実現するためには、お客様が食を愉しむための空間をお客様と一緒に作ることが必要です。
コメント (1)
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