事務局の佐々木です。こんにちは。皆さんはSNSを多用していますか?オーストラリア政府は16歳未満のSNS利用を禁止する法案を提出するそうです。SNSが子供に悪影響を与えることはよく取り上げられますね。大人でもSNSで他人のキラキラした様子を見ると、自己肯定感が下がってメンタル不調に陥るという話をよく聞きます。私も一時期、SNSの見過ぎは時間の無駄ではないか?と思って控えていたことがあります。
しかし最近、SNSの効用について新たな理解を得ました。タイトルにある「弱いつながりの強さ」です。現在読んでいる入山章栄さんの『世界標準の経営理論』に書かれていました。端的に要約すると以下のとおりです。
・弱いつながりはネットワークが拡張的で非常に広い(強いつながりはネットワークが閉鎖的)
・弱いつながりでは情報が伝播・拡散しやすい(強いつながりは限られた範囲で共有)
・弱いつながりのネットワークでは、未知の情報に触れやすく、イノベーションのヒントになる(強いつながりは同質性が強いので未知の気づきを得にくい)
弱いつながりとはどういうつながりかについて、入山さんは次のように述べています。
「一般に『接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多い、心理的に近い、血縁関係にある』などのつながりを『強い』と考えていただければよい。その逆が『弱い』つながりである。」
イノベーションは「既存の知」と別の「既存の知」の組み合わせから生まれると言われています。弱いつながりが生む無限のネットワークの中にいると、新たな既存の知に触れやすくなり、イノベーションのヒントを得やすいということです。実際、本書で紹介されている学術的な研究によると、弱いつながりを通じてイノベーションが生まれたケースが非常に多いようです。
弱いつながりの代表例がSNSです。イノベーションには程遠いですが、私も知り合いがシェアした他人の投稿を参考に本を読んだりセミナーに参加したりして、仕事のプロセス変革のヒントを得ることが多々あります。数百人と繋がっている診断士の方々も、このような弱いつながりの効用を活用されているのかもしれません。実は本書も仕事でつながった他社の方に薦められて読みました。その方に紹介された新たな方と、会社を跨いだ新たな取り組みも始めようとしています。まさに弱いつながりの強さを実感している真っ最中です。
入山さんはイノベーションを実現するためには、弱いつながりでヒントを得て、強いつながりで実践に結びつけると述べています。
「日本ではつながりを積極的に増やそうとする人はチャラいと思われる風潮がある。既存の知と別の既存の知を繋ぐのは、弱いつながりを多く持つチャラ男とチャラ娘。そしてそこからビジネスに発展させるためには、社内で強いつながりを持つ根回しオヤジ。弱いつながりと強いつながりの組み合わせがイノベーションを実現する。つまりチャラ男・チャラ娘と根回しオヤジの組み合わせだ。」※本書の入山さんの説明を私が要約
非常にわかりやすいですね。これは診断士としてイノベーションの実現をサポートする際のヒントになると思いました。