事務局(23期生)の永岡です。JAXAシンポジウム2024という催しに参加しました。宇宙開発の最前線について専門家の方々に語ってもらうイベントです。抽選募集に運良く当選しました。現役のJAXAメンバーはもちろん、宇宙飛行士の古川聡さんやアーティストの三浦大知さん(人工衛星「だいち」シリーズの応援アドバイザー)が登壇されていました。
JAXAの宇宙開発戦略や宇宙ステーションでの生活、人工衛星だいち4号から地球の話。内容は盛り沢山でした。ビジネスの視点で興味を引いたテーマが2つありました。宇宙戦略基金と空飛ぶ車です。
まず宇宙戦略基金です。宇宙開発競争は米露欧日に加え中国、インドなど様々な国に広がり競争が激化しています。市場規模も急拡大し、官主導から官民連携へシフトしています。この環境に対応するために、政府は総額1兆円の基金をJAXA内に作りました。JAXAは資源配分機関としての役割を持ちます。まず民間事業者が「輸送」「衛星等」「探査等」の3つのテーマから技術開発テーマを設定します。基金が審査し、採用されたテーマについて資金を配分、アドバイザーとしてプロジェクトを支援します。下請けからパートナーに民間の位置づけを変えてゆく狙いがあります。例として出されていたのは自動車会社とのコラボレーションです。JAXAはロケットの作り方は分かる。しかし安価に効率よく製造するノウハウは自動車会社が強い。両者を融合させて新しい製造方法を作るといったものでした。参画する民間企業次第で中小企業にもチャンスが広がるかもしれないと思いました。
2つ目は空飛ぶクルマです。JAXAの正式名称は「宇宙航空研究開発機構」。航空研究も行っています。空飛ぶクルマは大阪万博で注目されてきていますね。今回のテーマは運航させる環境作りでした。空飛ぶクルマがたくさん飛ぶと、空が渋滞します。空には道路がありません。もし渋滞がおきると空中でヘリコプターのようにホバリングするしかありません。最終的には燃料不足で落下します。空飛ぶ車を停止させない運行環境を作ることが大事です。JAXAが連想していたのは渡り鳥の雁の群れでした。V編隊を組む雁の群れのように、位置と距離を調和させて運行させることが目標だそうです。写真は会場に掲示されていた空飛ぶクルマの交通イメージ図。中央でコンチェルトちゃんが指揮棒を振って、空飛ぶクルマをオーケストラのようにコントロールしてます。クルマの製造以外に、データの共有や運用など、様々な分野に波及してゆきそうです。登壇者の方が、空飛ぶクルマを「ソラクル」と呼んでいたのがプロっぽかったですね。
固い内容もありましたが、宇宙での無重力一人野球、打ち上がるH3ロケット前で行ったライブなど、夢のある楽しいイベントでした。成長の種がどこにあるかわからない宇宙航空業界、今後も注目したいと思います。