皆さん、こんにちは。
「稼げる!プロコン育成塾」事務局の三好康司です。
今日は焼酎のお話を。
2014年酒造年度(2014年7月~2015年6月)において、芋焼酎の生産量で長年首位を保ってきた鹿児島県が初めて宮崎県に抜かれたそうです。両県の2014年酒造年度の出荷量は次の通りです。
宮崎県 10万3131キロリットル (前年比6.5%増)
鹿児島県 9万3040キロリットル (前年比7.1%減)
宮崎県の焼酎出荷量の2/3を占めるのは、1998年から「黒霧島」を販売する霧島酒造(宮崎県都城市)、焼酎メーカーの売上高ランキングで3年連続首位です。芋の種類が違う「赤霧島」「茜霧島」なども販売し、ますます攻勢をかけています。
霧島酒造好調の要因は何でしょうか。少し調べてみると「獺祭」で有名になった旭酒造(山口県岩国市)とよく似た戦略をとっています。
1)戦略立案
通常、地元で地位を確立した上で、販売エリアを外に拡大しつつ勝てる商品の開発を進めることが多いですが、霧島酒造はリスク覚悟で、先に県外市場で勝てる戦略商品「黒霧島」の開発に集中しました。山口県でシェア4位であった旭酒造が「獺祭」を武器に県外に活路を見いだしたのと同じです。
2)商品開発
「黒霧島」は「芋焼酎だから芋臭くなければいけない」との固定観念を捨て、芋の香りを抑えて上品な味わいの焼酎に仕上げたそうです。酒は酔えればいいというものでなく、酒米の磨き、純米大吟醸にこだわり、美味しい酒を追求している旭酒造と似ています。
3)原料手配
霧島酒造では「冷凍芋」を活用することで、前代未聞の通年での芋焼酎生産を可能にしています。また、原料の芋を安定的に確保する目的で農家の囲い込みも行っています。日本酒の通年製造を行い、酒米である山田錦の生産農家を囲い込む旭酒造と同じです。
尚、霧島酒造は「黒霧島」ブランドでまず博多を攻略した後、次は同サイズの都市である広島と仙台を攻めて、大消費地である首都圏と関西の開拓は後回しにしています。リスクを最小限に抑え、慎重に市場を開拓していったのですね。
ということで、寒い冬には芋焼酎のお湯割りを。