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不測事態対応と人を大切にする経営

2024-09-08 12:00:00 | 塾長からのメッセージ

こんにちは、塾長の山﨑です

先週の土日、「人を大切にする経営学会」主催の第11回全国大会に参加しました。今日のブログのテーマ「不測事態対応と人を大切にする経営」はその大会のテーマとして掲げられたものです。

「人を大切にする経営学会」は元法政大学大学院教授の坂本光司氏が全国約6000社を調査され、長期に渡りゆるぎない経営を続けている会社に共通した特徴として、「人を大切にする経営」に取り組んでいることが明らかとなり、11年前に立ち上げられたものです。

その研究から、「日本でいちばん大切にしたい会社」が出版され現在第8巻まで続くベストセラーとなっています。また、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞が創設され、今年で第14回となる「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞受賞企業28社が、全国大会でその取組を報告され、自社の「人を大切にする経営」についての基本的姿勢や取り組み等について、2会場に分かれてプレゼンテーション行なわれました。

2会場とはいうものの、今年はZoom配信で行われました。本来は、会場は法政大学市ヶ谷キャンパスの予定でしたが、台風10号の影響で、会員の安全最優先ということで、完全オンラインでの開催となったものです。まさに今年のテーマ「不測事態対応と人を大切にする経営」そのものになったわけです。

しかし、その対応は素晴らしく、8月31日(土)および9月1日(日)の開催にあたり、開催方式の変更のメールが届いたのが8月28日、わずか3日前でした。大会事務局では台風の動向を見極め、ギリギリでの判断を下し、会長以下総動員で開催方式の変更に当たられたものと思われます。日頃からの準備、訓練が相当なされていることがうかがえます。

大会で発表された28社の内容はどれも感動的な素晴らしいものばかりでした。特に特別講演された第14回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で内閣総理大臣賞を受賞された、株式会社富士メガネのCEOである金井昭雄氏の講演は、ドラマを見ているような感動を覚えました。

1942年樺太(現サハリン)の富士眼鏡商会で生まれた金井氏は終戦の混乱の中、母親とともに着の身着のままで日本に逃げ帰り、国の受け入れ態勢もできておらず、当時国籍のない難民状態だったそうです。それでも帰国の数か月後には、復員した父の武雄氏が札幌で「富士眼鏡店」を開店。現在全国で65店を展開する株式会社富士メガネに発展してきました。

金井昭雄氏は早稲田大学卒業後、米国に留学され目の国家資格「オプトメトリー」(検眼医資格)を取得し、世界で活躍されるようになります。特に樺太から逃げ帰ったときの難民状態の原体験が深く心に刻まれ、1983年からのタイのインドシナ難民キャンプでの難民への検眼、眼鏡作成・寄贈活動に結び付いています。その精神は「利他の心」です。その後、UNHCR(国連難民高等弁務官)の全面支援を得て、難民救済活動が世界に広がり、これまでに難民に寄贈された眼鏡は延べ18万人に及ぶとことです。

大会での講演はどれも感動的なお話しばかりですが、もう一つ、感動的な発表を上げると、2日目の分科会で発表された、こと京都株式会社の「こども食堂と防災経営~能登被災地支援活動~」です。

私の地元、京都の会社であり、かつ私自身2月からかかわっている能登支援のお話しなので、とても関心を持って聞きました。当社は京野菜の九条葱の生産事業者です。九条葱は関東の白い部分を食べる葱と違い、長い青い部分を食べる美味しい葱で、長く育ちますが、茎にあたる白い部分が短いため、台風など自然災害で倒れやすく、育てるのが難しい葱です。

そこで人を大切にする経営を永続的に実現するために災害に強い経営「防災経営」を指向するようになりました。1か所では災害時に全滅もありうるので、現在4つの分散した産地・工場を持ち、190人の従業員を擁する経営を営んでいます。4つの拠点では年2回の防災訓練に加え、従業員への防災士資格取得の促進、地震災害を想定した炊き出し訓練、そして地域のこども食堂支援に取り組んでいます。

そうした取り組みの中で、今年1月1日、能登の巨大地震が発生しました。当社では直ちに地元社会福祉協議会を通じて、炊き出し支援が可能であることを伝え、地元からの支援要請がありました。日頃の訓練を生かして、社内で炊き出し部隊を募り、1月~5月まで6次に渡る災害派遣活動を行ない、七尾、輪島、穴水、金沢(二次避難者)への炊き出しを実施し、のべ1,050食を提供しています。

同じ時期に、業務は違えど、同郷の事業者が能登地震災害支援で現地入りされていたことに、共感とともに感動を覚えました。

他にもご紹介したいお話しばかりで、尽きることがありませんが、皆さんもぜひこの「人を大切にする経営学会」の全国大会に参加してみませんか。来年も同時期に恐らく慶応義塾大学で開催される予定と聞いています。学会のホームページはこちらです。https://www.htk-gakkai.org/

また、東京都中小企業診断士協会では、この「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞受賞企業から学ぶ「人を大切にする経営研究会」も活動しています。ぜひ一度覗いてみてください。https://t-smeca.net/schedule_of_study_groups/

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (山﨑 肇)
2024-09-09 22:00:13
永岡さん、コメントありがとうございます。
人を大切にする経営を実践されている経営者は、経営の目的はなにかと問われると、利益、会社の継続、などの言葉ではなく「社員を守り、幸せにすること」と答えられます。人がいちばん大事な財産なのですね。
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Unknown (山﨑 肇)
2024-09-09 21:53:01
柴田さん、コメントありがとうございます。
最近は災害報道でもまず「命を守る行動をとってください、」とアナウンスしますよね。人を大切にする経営の原点でしょうね。
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Unknown (山﨑 肇)
2024-09-09 21:49:01
森谷さん、コメントありがとうございます。
研究会では毎回、人を大切にする経営を実践されている経営者のお話に感動しますよね。Zoomだけでなくリアルでもぜひご参加ください。講演後のメンバーとの交流も有意義ですよ。
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Unknown (山﨑 肇)
2024-09-09 20:58:52
今村さん、コメントありがとうございます。
早速、Webページも調べていただきありがとうございます。人を大切にする経営は、まさに世界に通用するあり方なのですね。これからも研究会でも共に学んでいきましょう。
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Unknown (山﨑 肇)
2024-09-09 20:51:54
山口さん、コメントありがとうございます。
BCPはトップの本気度と日ごろの訓練がものを言います。本気で人を大切にする学会の在り方が表れていたと思います。
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Unknown (永岡伸一)
2024-09-09 20:38:43
震災などの危機管理しかり、事業承継しかり。未来に対して備えることは大切ですが、資源は有限です。優先順位を「人」にしていることが、よい会社の条件なのだと感じています。
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Unknown (柴田純一)
2024-09-09 12:48:28
会社で危機管理も管掌しています。
人を大切にする、ことが災害に強い経営を指向することに結びつく。一見遠く感じますが、しっかりと繋がっていることに気付かされました。気づきをありがとうございました。
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Unknown (森谷進吉)
2024-09-09 07:32:56
私も「人を大切にする経営研究会」に所属し、毎月zoom会議で参加をさせていただいています。毎回人を大切にする経営をされている企業の経営者の方のお話を伺う事ができ、大変刺激を受けています。
人を大切にできる会社は、社内外を問わず、利他の精神に溢れ、実践できていると感じました。
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Unknown (今村信哉)
2024-09-08 21:39:12
「人を大切にする経営」は、地域社会も超え、国境をも超えるんですね。感動しました。両社のWebサイト等も拝見しましたが、社員の皆様が活き活きと働かれている印象を受けました。引き続き、「人を大切にする経営研究会」で学びを深めていきたいと思います。
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Unknown (山口賢哉)
2024-09-08 20:54:17
不測の事態への対応力、すばらしいですね。BCP策定においても、事前にどこまでのリスクを想定して対応策をまとめ訓練しておくか、難しいところかと思います。いざ不測の事態が起きた際は、最後は現場にいる人の判断力で差がつくのではと思います。日頃から人財を大切にし、自律的な行動をとれるような教育や訓練をしておくことが大事と思いました。
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