皆さん、こんにちは。24期生の山口です。
前回、私は、以下の3つをコンセプトにして、1年間ブログを書いて行きますと述べさせて頂きました。
・診断士として、やりたい領域のネタであること
・何らか知識向上につながりそうなもの
・実践に活かせそうなもの
2回目の今回は、2つ目の「何らか知識向上につながりそうなもの」を意識して書かせて頂こうと思います。
以前、会社のある研修で、トヨタ生産方式の本を読む機会がありました。読まれた方もいるかもしれませんが、トヨタ生産方式の生みの親:大野耐一氏が書かれた「トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして―」という本です。1978年5月 第1刷発行の本で、40年以上読み継がれている名著です。研修の際は、貸出で読みましたが、先日、読み返そうと思い購入したところ、なんと2024年4月 第119刷発行の本が届きました。現在も増刷されているようです。
トヨタ生産方式といえば、ジャストインタイムと自働化が大きな軸ですね。この本にはさまざまなエッセンスが含まれており、トヨタ生産方式がどのようにして生まれ、どのような想いで、どのように発展してきたかが、よくわかる本です。製造業に興味のある方は読まれてみても良いのではと思います。
さて、このトヨタ生産方式を発展させていくために生み出されたツールの1つに「物と情報の流れ図」というものがあります。今回のブログでは、この「物と情報の流れ図」を取り上げたいと思います。
「物と情報の流れ図」は、「物情(ものじょう)」とよく略されて言われます。この「物情」は、取引先から部品が工場に納入され、工場の中で、部品ストアから組立ラインの各工程に搬送され、組付けられ、完成品となり、完成品ストアに入り、その後、注文に引き当てられ出荷される一連の物の流れとその物が流れるためのトリガーとなる情報がどこからどのようなタイミングで伝達されているかを見える化したものです。この「物情」により、どこにムダや停滞、仕掛り在庫が存在するかが一目でわかるようになり、何を改善すればよいかが明確になるというものです。
私も研修で、実際に描いてみたことがありますが、奥が深いです。描こうと思えば、それなりに描けるのですが、目的は、コストダウンや生産性向上、仕掛り削減などの改善です。この目的に叶うレベルの「物情」が必要です。そのためには、まず、物の流れの全体像を把握する必要があります。その上で、実際に現物、例えば部品が、どの納品口に納入され、そのあと何をトリガーにして部品ストアに搬送され、何をもとにどこに置かれ、何時間 or 何日ストアで滞留し、その後、何をトリガーに組立ラインへ搬送され、工程では何分or何時間滞留していて、工程間の仕掛りはどのくらいあって、最終完成までどのくらいのリードタイムが掛かっているのか、1つずつ調べて「物情」に落とし込んでいく必要があります。
また、組立ラインのレイアウト変更や、工程変更があった場合、物情も修正が必要になります。
個人的な感想としては、使いこなすには難易度は高いと感じました。一方、全体の流れが大きく変わっていなければ、問題点や改善ポイントも大きく変わることもあまりありません。得てして、これら問題点・改善ポイントは、真因を絶たないと解決しないことが多いため、「物情」を一度作成して真因を特定し、そこを潰しにかかるためには非常に有効と感じました。
先日、「物と情報の流れ図」をキーワードにネットで検索したら、トヨタイムズのwebページに、この「物情」を活用して、自動車のメーターのソフトウエア開発プロセスの改善を図ったという記事がありました。製造現場で使われている物情を、開発プロセスで活用していることになるほどと思いました。見えないプロセスを見える化することで、問題点を明確にし改善を図って行く、いろいろな場面で活用できるのだなと再認識させられました。
この気づきも、稼プロ!のブログリレーのおかげだなと思いました。今後も、色々な気づきを蓄積していきたいと思います。
製造業における製造プロセスの分析でも、物情の流れ図を描くことで問題点の把握を行っているのですね。
絵や図を書くことで、複雑な事でも誰にでも見える化することの重要さを改めて感じました。