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更級日記と日本永代蔵

2025-02-26 12:00:00 | 24期のブログリレー

 こんにちは、24期の成嶋です。23期の南さんが大河ドラマファンで大河ドラマについてブログに書いていましたが、私も大河ドラマを見ることが大好きです。もうライフワークと言ってもよいです。その年の大河ドラマの出来不出来が、1年間の私のテンションに影響します。昨年の「光る君へ」も面白く、それに影響を受けて最近「更級日記」の現代語訳を読みました。なぜ「源氏物語」でなく「更級日記」なのかというと、「源氏物語」は昔読んだことがあり、「更級日記」の作者、菅原孝標女が「光る君へ」にスポットで登場していたためです。ちなみに菅原孝標女を演じていた女優は、朝ドラ「ブギウギ」の最後の回の方に出演していた吉柳咲良さんが初々しく演じていました。私、朝ドラも大好きなのです。

 「更級日記」は筆者の少女時代から老年までの思い出をつづったものです。その中で菅原孝標女は、源氏物語が大好きで大好きで「源氏物語」愛をテンション高く訴えています。彼女は暗記するほど源氏物語を何度も何度も読み込み、興奮したりウットリしたりして、自分も光源氏のような貴公子(イケてるメンズ)と出会いロマンチックな恋をすることを期待します。現代風に言うと、夢見がちな少女漫画オタクといったところでしょうか。しかし、実際の彼女の人生は運命的な貴公子(イケてるメンズ略してイケメン)との出会いや艶っぽい話はまったくなく、日記の終盤は平凡な日常、というより全体的に寂し気な生活が描かれています。面白いのは、生活のために結婚した夫についてほぼ日記に書かれておらず、まったく興味がなさそうなこと、女友達との女子会でとりとめもないことを話して楽しそうだったり、子育てもひと段落した後、女友達との旅行を楽しんだりしていることが書かれていることです。私の母親と同じようなところもあり、何だか今も平安時代も変わらないなぁと笑ってしまいました。昔と比べると科学技術が発展して便利で快適な生活ができるようになっていますが、日常の生活において、人の考えることや感じること、何に対して幸せや楽しみを感じるかはあまり昔と変わらないのではないかと考えさせられます。そして日記の最後には、「若いころに物語に熱中して夢見がちにならず、もっと堅実で地に足のついた生き方をすればよかった」と嘆いて後悔しています。いやいや、生まれてきて熱中できる「源氏物語」に出会い、それを読みふけって鼻血が出るようなドキドキする瞬間があったあなたの人生は、決してつまらないものではなかったはずですよと声をかけたくなりました。

 今年の大河ドラマは「べらぼう」です。江戸時代に生きた蔦谷重三郎が主人公です。今年の大河ドラマも面白く、今年も1年間、私はテンションを高めに維持することができそうです。蔦谷重三郎は、書籍や浮世絵の今でいうプロデューサーです。今年の大河ドラマは、起業家のビジネスドラマとしても楽しめるように思えます。そのような「べらぼうめ」を観ていてふと思ったのは、江戸時代にもビジネス本はあったのだろうか、あるなら読んでみたいということでした。そこで調べてみたら、「世渡り万の知恵袋-江戸のビジネス書が教える仕事の基本-」(田中優子署、集英社ビジネス書)という本を発見しました。田中優子氏は、法政大学の元総長で江戸文化研究者、TBSの情報番組サンデーモーニングのコメンテーターで活躍されている方です。そして、この本は、井原西鶴の「日本永代蔵」「世間胸算用」等から選び出した物語の現代語訳と田中氏の解説が書かれたものです。現在、この本を読んでいるところですが、現代のビジネス書と比べると、具体的かつ詳細なノウハウ、アクション事項は明確には書かれておらず、仕事をする上での一般的な心構えが書かれている印象です。その代わり、実在したであろう人物の言動が生き生きと物語風に書かれていたり、西鶴の風刺が効いていたりと現代のビジネス書と比べて、読み物としてとても面白いです。

 「日本永代蔵」から選ばれた話の中に、金持ちになるための秘訣が書かれたものがありました。その秘訣として、金持ちになるために守ることと、金持ちになるために避けることが書かれています。まず金持ちになるために守ることは次の通りです。%は力を入れる、気を付ける割合といったところでしょうか。

・仕事に励むこと:40%
・朝の早起き:10%
・夜なべ:16%
・倹約、無駄遣いしないこと:20%
・健康でいること:14%

 「朝の早起き」は、早起きして活動を開始し頭の冴えているうちに仕事や勉強をすることだと思います。また、田中氏によると「夜なべ」とは、仕事後の夜の時間に情報収集、家族との時間、勉強のために使いなさいということだそうです。現代のビジネス書でも、朝活や自己投資、自己啓発が推奨されているので、人が成功するための秘訣は現代も江戸時代もあまり変わらないのではないかと思います。ここから過去や歴史から学ぶことに意味があるということを再認識できました。

 次に金持ちになるために避けることは、主に次の通りです。避けなければならないことは、具体的かつ詳細にたくさん書かれていたので、私にとって耳の痛いものをピックアップしました。特に2つ目と3つ目がなぜか、こたえました。

・美食、衣服に不必要にお金をかけること
・町人のくせに居合抜きや剣術、兵法を遊びとすること
・食事のたびに酒を飲み、頻繁に喫煙し、目的なしに京都のような繁華な都会に遊びに出ること
・花見、舟遊び、日中からの入浴を日常とすること
・毬、楊弓、香道、俳諧などの遊び、趣味に夢中になること
・新田開発や鉱山の請負に手を出すこと

 つまり、むやみやたらとお金や時間を使わずに倹約し、それを仕事や自己啓発のために使いなさい、分別をもって自己抑制しなさい、ということだと思います。その他、「遊郭に近づいて女色に溺れること」を避けることとして述べられていましたが、別の章では、遊郭を高く評価しているところもありました。そこでは、遊郭の女郎の優れている点が述べられ、例えば人の機微に敏感であり、粋で気高く、話が要領をえていて面白く、美的センスがあると書かれていました。当時の遊郭は、文化の発信地、社交場のような役割も持っていたそうで、非日常を経験することができる場所でもあったようです。そして、それは「分別の外」にあるとのこと、つまり「例外」だと言い切っているところも面白いです。避けるべきところなのか、例外なのか、どっちなんだ?とツッコミたくなります。主張に一貫性がないところも読んでいて面白いです。

 今回は「更級日記」と「日本永代蔵」の現代語訳について読んだ感想を主に書きましたが、今の昔も、人間の考えること、感じること、気持ちは普遍なところもあり、古典や歴史を学ぶことの意味や有益さを自分なりに再認識できました。有益さ以上に、読んでいて理屈抜きに面白いです。日本の古典は現代語訳もたくさん出ているので、お勧めします。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (今村信哉)
2025-02-26 12:30:21
大河ドラマからの古典からの金持ちになるTipsと、流れるような展開。おもしろく拝読しました。日本永代蔵、私も耳が痛いところが多く、、読んでみたくなりました。
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Unknown (柴田純一)
2025-02-26 19:11:32
昔の人はいいこと言いますね。私も趣味が多くてお金持ちにはなれそうにありませんが、昔福島県に住んでいた時に「会津磐梯山」という民謡を小学校で習い、次の歌詞は心に刻まれてます。
「小原庄助さん、何で身上つぶした、 朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上つぶした…もっともだ」
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Unknown (永岡伸一)
2025-02-26 20:04:41
耳の痛い話しは、どの時代においても共通していますね。わかっているけどやめられませんが…。
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Unknown (山口賢哉)
2025-02-26 21:34:49
仕事をする上での一般的な心構え、成功するための秘訣は、今も昔も大きく変わらないのですね。歴史は続いていて文化は継承されているのだなと思いました。
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刀を措いて (太田一宏)
2025-02-26 23:36:35
戦乱ではない時代が2年続けて描かれるのは、過去例がないかも。
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