あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第54回

2018-02-03 11:07:39 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.283


恒例のウイーンフィルの元旦コンサートをみる。今年はムーテイだったが、あんまり外から手を加えず「無為にして化す」ような演奏で通していた。こういうう音楽には本当は指揮者など要らないと思う。それにしてもウイーンフィルの劣化が甚だしいのに驚く。1/3

謎というのは、ぎりぎりまでパードレたちに好意を示してきた秀吉が、一夜にして彼らに対して激昂し、追放を言い渡した急変ぶりである。むろんいろいろな解釈が行われてきたが、謎は依然として解けない。渡辺京二著「バテレンの世紀」 1/4

ジャーナリストの敵は、社会通念です。byカール・バーンスタイン(元ワシントンポスト記者)。1/5

去年の暮れからベルリン・フィルの「デジタルコンサートホール」を1週間無料サービスで聴いているが、なかなかよろしい。元日に聴いたウイーン・フィルとは、すでに音楽的力量でかなりの差がついているのではないだろうか。1/6

自主運営のベルリン・フィルは、彼ら自身が好きな客演指揮者を招聘するが、その選択肢はかなり偏っている。通算14回のバレンボイムとティーレマン、12回のハイテインク、11回のメータ、9回のヤンソンスなどはまず順当というてもよいだろう。1/7

しかしベルリン・フィルへの客演数が、ソヒエフと小澤の6回はともかく、13回のネルソンス、11回のドダメル、9回のブロムシュテットとなると、いかがなものか。ヤンソンスすら6回、シャイイーは4回、御大ムーティはたった1回だぞ。1/8

ベルリンフィルが、当確間違いなしと思われた競争相手を蹴落として、クラウデイオ・アバドやサイモン・ラトルを選んだ時にも驚いたが、2、3回しか呼ばれたことのない、殆ど無名のキリル・ペトレンコを次期音楽監督に選んだのは、晴天の霹靂だった。1/9

ペトレンコは、ベルリンフィルへのたった3回の登檀でオケ全員に「彼ともっともっと音楽をやりたい」という気持ちにさせてしまった。そのことは2009年に初めて客演した時のエルガーの「交響曲第2番」、2回目の12年のスクリャービンの「法悦の詩」を視聴するとよく分かる。聴衆のみならず、60名の演奏家を震撼させているのである。1/10

2015年6月に次期音楽監督に任命されてから、キリル・ペトレンコが3回目に振ったのはモザールの35番とチャイコフスキーの悲愴。モザールはどこかクライバー、チャイコはどこかムラビンスキーに似ていたが、ともかく全身全霊を込めた凄い名演に圧倒された。1/11

その後ペトレンコは、手兵バイエルン州立歌劇場と来日して聴かせたワーグナーでその真価を見せつけたわけだが、こんなにも、それこそ一期一会の全力投球で音楽を手作りする指揮者は、クライバー以来初めてというても過言ではない。ベルリンフィルの慧眼恐るべし。1/12

「僕にとっては文章がすべてです。結局のところ最後は文章に帰着します。文章が変われば、新しくなれば、あるいは進化していけば、たとえ同じことを何度繰り返し書こうが、それは新しい物語になります。文章さえ変わり続けていけば、作家は何も恐れることはない」。村上春樹1/13

「肥溜めのように汚い国」とは、ハイチなどのアフリカ諸国ではなく、人間として最低の良識や慎みすら弁えることなく破廉恥な人種・国家差別発言を繰り返す大統領が君臨する、猿より愚かな国の謂いである。1/14

ほれみろ。キセノサトまた負けたろう。だから言うたではないか。君にはもう横綱の資格はない、と。1/15

テレビのキャスターときたら、ご苦労なことだ。来る日も来る日も、結局はどうでもいい、あるいはどうしようもない問題について、ああだこうだ、と口角泡を飛ばして、もっともらしく喋りまくっているが、その阿呆らしさと虚しさに気付かないのだろうか。1/16

「広辞苑第7版」が、LGBTのTの説明を抜かしていたので、改訂版にて修正するかも、だって。そりゃそうだろうなあ。全部回収して刷り直したら、弱小資本の岩波なんて即倒産だもんなあ。しかし辞書編集の仕事は恐ろしい。命を縮めるね。1/17

江戸時代の日本は、世界有数の銀を産出していたから、これを原資として、ポルトガル・スペイン、オランダ、イギリス、1639年のポルトガル追放令の後も、オランダ船が中国から齎す生糸・絹製品を、いくらでも買い付けることができた。1/18

家康、秀忠の時代まで、人々は上下の別なく華美な超高級の絹織物を争って買い求め、身につけていたのである。しかし寛永16年1639年、三代将軍家光が発した奢侈禁止令は、国際貿易と国内経済に大打撃を与えた。1/19

「僕は単に賢いだけじゃなくて、精神的に安定している天才なんだ」などと、口角泡を飛ばして語る人物の傍に、よくも居られるもんだ。1/20

うちはとにもかくにもしかたなく長男にかかりきりなのでとり残された次男がどうしようもなくこうのとりたちずづさむことなきように。1/21

西部邁氏自死の衝撃。いまどきおのれの思想が世に容れられない孤絶のために、冬の河に身を投じる人がいるのだろうか。1/22

地震と大雪は、忘れた頃にやってくる。どんどん降り積むしらゆきを見ていると、忘れていた大切なことを思い出しそうになるが、やっぱり思いだせずにどこかへ行ってしまう。1/23

なんとかいう有名な歌手が、不倫して廃業したそうだが、私はその人物の音楽を聞いたことがない。しかし有名無名に限らず、不倫したければどんどんやって、仕合わせになったり、その反対になればいいのだと思う。人世ってそういうもんだ。1/24

思想に命を賭ける人間もいれば、思想なぞ豚にでも喰われろと思っている人間、そしてそのいずれでもない人間がいる。1/25

お先真っ暗な相撲界に、どっこい栃ノ心がいた。これからもこういう力士が次々に土俵に躍り出てくるだろうから、もう駄目横綱やら限界大関などは全滅しても、いっこうに構わないずら。1/26

鼻って、見れば見るほど醜い器官だ。偉そうに顔の中央にそびえて、どんな美人やイケメンの場合にも、著しく顔全体の美観を損なっているが、かといって無いと間が抜ける。じつに不可思議な存在だ。1/27

われわれの眼前から、トランプと安倍蚤糞が消えてなくなれば、この暗鬱な気分も少しは晴れると思うのだが。1/28

伏兵、栃ノ心の奇跡の平幕優勝の感想を聞かれた解説の北の富士が、「こっちまでうれしくなっちまったよ」と言いながらもらい泣きするので、それを聞きながらこっちまでもらい泣きしてしまったよ。1/29

伏兵、栃ノ心の奇跡の平幕優勝で湧きかえる国技館。されど、その大鉄傘に巣食う腐敗と堕落の全容は、安倍蚤糞夫婦のそれと同様、依然として解明されないままだ。1/30

川村みずえさんから「「短くも美しくも燃え」という映画の主題歌のこの曲なに?」と訊かれたとき、すぐに「ああこれはモザールのピアノ協奏曲21番の第2楽章だよ」と答えられなかった悔しさを、半世紀過ぎた今も覚えている。1/31


 ぼろぼろの古家に住んでいるオッサンがリュウとした身なりで毎朝出てくる 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする