あまでうす日記

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鎌倉国宝館で特別展「ひな人形」を見物する

2018-02-21 13:18:32 | Weblog


蝶人物見遊山記 第273回&鎌倉ちょっと不思議な物語第398回&蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.284



「おとめが受け継ぐたからもの」なんちゅう惹句が付けられていますが、それこそ年年歳歳この時期になると開催されているお雛様の展覧会です。お雛様はいまでも大量に生産され陳列販売されていますが、それらはいくら高価な高級品でもここに展示されている河内家や田村家に先祖代々伝わった享和雛の悠揚迫らぬ典雅の前には到底足元にも及びません。だいたいが男女を左右逆に並べているし。

しかしもし展示会場の照明を蠟燭の明かりだけにして、江戸時代の当時の夜の暗さの中でこれらののっぺりした面長のお雛様を眺めたら、かなり怖いのではないかなあ。でも風情があるのではないかなあ。

そんなことを思いながら会場を出て八幡様に向かっていると、太鼓橋のたもとの杉の樹に当地の動植物を皆殺しにしているタイワンリスが恐れげもなくうろついているのに、何も知らない観光客が夢中でカメラを向けて嬌声をあげていました。

環境と生態系を破壊してやまないこの外来凶悪獣は、最近当局もようやく重い腰を上げて捕獲を開始したようですが、あまりも遅すぎる。もし内外の観光客がいなければ少年時代から豪速球のサウスポーで鳴らした私が、至近距離から石ころを投げつけてぶち殺してやるところですが、おっといけねえ、ここは殺生禁断の神域でやんした。

しかしほんらい駆除すべき害獣どもが徐々に追い詰められてサンクチュアリーとしての寺社仏閣に逃げ込んだら、聖職者たちはどのように対応するのかしらん、などと思いつつ御神籤をひいたら珍しく吉でした。

鶴岡八幡宮のてっぺんで御神籤をひくとかなりの確率で凶や大凶が出るのですが、ショックを受けた民草が階段を降りて左の御神籤所でひきなおすと必ず吉やら大吉が出るのですが、これは人間の微妙な心理を悪用した八幡宮の阿漕な営業方針ではないでしょうか。
なお本展は来る3月4日まで開催中。


   兜太氏に1句選んで欲しかった金子兜太死す98で 蝶人

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