闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1282
「総括」とは己の所業を振り返って客観的に再評価して次に生かす営為だとす思うが、ここで繰り返される「総括」とは、単なる自己否定、他者への批判のための批判、あるいは他者抹殺の理由づけ、としてのみ発動されている。
連合赤軍のリーダーにのし上がった森は、己の犯した日和見という弱みを自他の眼から隠匿し、相対化するために、他者の弱みを無理やり引き摺り出して摘発することに狂奔したために、組織のエネルギーは限りなく内攻し、いつまでたっても敵権力との対決に向かうことはない。
自己の純化、革命化、共産主義人間化が同志の破壊と自己滅却に向かう道程はこれまでもあったし、これからも繰り返されるに違いないが、人間の弱さや女性性、ふぁっちょんや飲食をはじめとする衣食住遊休知美の無条件の楽しさが、「革命の敵」と捕らえられている限り、人間革命も社会革命も永久に成就しないだろう。さはさりながら、これはいわゆるひとつの全国民必見の映画ずら。
粛々と帝国暗部を穿ちゆくぶらぶら人のゆらゆら革命 蝶人