蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第405回
○祖父の米寿を祝う孫のスピーチ
*1おじいちゃん、おめでとうございます。
頭のてっぺんから足のつま先まで、どこにも異常なく、お元気で今日のよき日を迎えられたことを、こころからうれしく思います。*2
そちらに座っていらっしゃる晃伯父さんの説によりますと、僕のうちには若いお父さんと年取ったお父さんの2人のお父さんがいたんだそうです。偶々父母が下駄屋の商売をやっていたのでなかなか休みが取れず、その代わりにおじいちゃんが僕をいろんなところへ連れて行ってくれたんですね。
近いところでは、歩いて10分くらいのところにある上林川。とても水が澄んできれいな川です。おじいちゃんは、ここで僕に鮎の友釣りや、ウナギ捕りの仕掛けや、水泳を教えてくれました。
遠いところでは、寺社仏閣巡りです。山陰線の蒸気機関車に揺られて、金閣、銀閣、清水寺など京都の古いお寺によく連れて行ってくれました。
僕が現在日本史の先生になったのも、おそらくおじいちゃんの感化によるものだと思います。老いてなおますます元気な「大きいほうのお父さん」。これからも、未熟な孫どもをしっかりお導きください。
○アドバイス
*1お年寄りは耳が遠いので、できるだけ大きな声でゆっくりと話すように努める。このケースでは主人公の連れ合いがすでに死去しているので触れなかったが、生存の場合はお祝いとねぎらいの言葉をかけることを忘れないように。
*2同席の知人を引き合いに出すと、親しみがわき、話のリアリティと臨場感が出る。
元旦と2日にカワセミの青を見る今年はなにか良きことあるや 蝶人