蝶人物見遊山記第339回7&鎌倉ちょっと不思議な物語第425回
今道子という写真家の名前は聞いたことはあるが、実物をまとめてみたのは初めてなので、非常に驚きました。
ともかく普通の被写体を普通に撮るんじゃない。ウルメイワシのような魚とか鳥とか鹿や山羊のような動物とか昆虫とか植物とか人形とかを「演劇的な静物」として組み合わせて空間に配置してから、おもむろにモノクロを基調にした大型カメラでバシっと撮る。
物凄く残酷であったり、物凄く悲劇的であったり,物凄く美しいインスタレーションを周到に製作したうえで、それを静止画として撮る。
それはインスタレーションとしても縁日の前代未聞の人工的な見世物としてもギャラが取れるような、美術的な価値があるような代物なのだが、インスタレーションのためのインスタレーションではなく、あくまでも彼女の写真のための前段階セットとしてのインスタレーションなのです。
世の中広しといえども、こんな特異な鎌倉育ちの超絶的写真家が現存しているとは知らなんだ。会期は今月末30日までですが、コロナ禍のせいもあってガラガラなので「写真展なんかどうもなあ」、とお考えの方は是非!
今道子 吐き気がするほど残酷で この世ならざる 美を秘めた写真 蝶人