村上春樹・文 安西水丸・絵「ふわふわ」を読んで
照る日曇る日 第1913回
既に何かと定評のある黄金コンビによる絵本ずら。
巻頭、「世界中の猫の中で、年老いた大きな雌猫がいちばん好きだ」と断言する村上選手の詔に沿って、安西選手が縷々説明的なイラストをつけているのだが、なぜかどこまで行っても、あまり面白くない。
それは、必ずしも村上選手がまつがったことをいうておるからではなく、あれこれいろんな言葉を付け加えても、要するに「年寄り雌猫大好き宣言」を大きくはみ出すような噺は皆無であり、「上に文章、下にイラスト」というレイアウトが、意外に平板で詰まらない、という事情もあるのだろうが、安西選手の挿絵も、意外なほどに生彩を欠き、よほどの猫好き、黄金コンビ好き以外は、あまり楽しめない結果に終わったのは残念至極でありましたあ。
巨人さえ 負ければその日は ご機嫌さ たとえ世界が 崩壊しても 蝶人