椎名誠著「失踪願望。コロナふらふら格闘編」を読んで
照る日曇る日 第1915回
私とほぼ同い年の著者は、私と同じ頃にコロナに罹ったようだが、その「感染記」を読んでみると、その症状は酷かった私よりもっと酷かったようだ。
意識不明で病院で救急車に担ぎ込まれたところをみると、シーナ選手は危く死にかけており、よくも助かったものだ。
世界中の政権、とりわけ日本政府が、新型コロナの恐るべき被害を覆い隠し、もはや今次のパンデミックが終焉したかのような幻想を振り撒いているが、おっとどっこい、コロナは生きて、次なるメルクマールめがけて、秘かに毒牙を磨いているのだ。
シーナも今回は、賢明なる愛妻イチエさんの懸命の介護で、九死に一生を得たけれど、迫りくる「第9波」の来襲を、うまく避けられるだろうか?
いや避けられないだろう。でも大丈夫、マイフレンド。
その時キミは、長い間の念願の「失踪願望」を、見事に達成できるのだから。
おっと本書の感想を忘れるところじゃったが、挿入された写真と山田太一についての記述が殊の外素晴らしい。シーナが「なぜ寅さんをシネマスコープで撮るのか?」と訊ねたら、この日本一の名監督は、「これだと近景、遠景、その中間の3人の人物を、ワンカットで捉える事が出来るんです」と答えたという。
オバハンが2人いちゃいちゃ話していたら撃ち殺されるぜニッポン・チャチャチャ 蝶人