照る日曇る日 第1914回
近所の滑川には昔から天然ウナギが棲んでいたので、見つけた順にウナタロウ、ウナジロウ、ウナサブロウ、ウナコ、ウナシロウ、ウナゴロウ、ウナロクロウと命名して歌に詠んだり、詩を書いたり、童話に登場させたりして感情移入し続けてきたが、地元の阿呆莫迦連中が罠を仕掛けて捕まえてはカバヤキにしてしまったので、今では夜、懐かしのあの淀みに行っても彼らの姿は描けも形も見えなくなってしまったので、仕方なく偶々図書館で見つけた本書を読んで、自分を慰めている。
ウナギの生態を明らかにしながら、沢山の写真が掲載されていて楽しく、勉強にもなる本だが、左に天然自然の屈曲と美麗な景観を湛えた「ウナギのいる川」、右側にコンクリートの壁でがっちり固めた水路のような「ウナギのいない川」を並べた見開きを一瞥した私は、昔々民主党が政権を奪取したときのスローガン、「コンクリートから人へ」を思い出し、あれは決して間違いではなかったことを今更ながら痛感させられていた。
ウナギのいる川は、人間がいる生きた川なのであり、ウナギのいない川は、人間がいない死んだ川なのである。
「このヒルガオとても可愛いね」と奥村さん 八十七を共に祝わん 蝶人