照る日曇る日 第1953回
スズメと同様身近ながら、けっこう謎の多い鳥について、科学的、体系的、全面観察的に愛情を持って書き込んだ素敵な読み物です。本書によれば散髪屋と美容院に巣をつくることが多いそうだが、なぜだろう?我が家にも来て欲しいともう半世紀以上待機しているのだが、玄関先の電線にはよく停まってジエジエと囀っているくせに、一度も造巣したことはないのである。
ところでいつもいく逗子ハイランドのセイユーの隣の商店街には、毎年ツバメが巣を作り、来客を長年にわたって大いに楽しませてくれている。
ツバメ活動の中心人物は八百屋の若いおかみさん。彼女が率先して隣の薬局、食堂、パン屋にも働きかけて巣箱と糞受け、それに蛇やカラスの防御対策まで施しているのである。
商店ぜんぶの巣を合わせると8か所になるが、彼女はそのすべてに巣くうツバメたちの動静を子細に観察し、親ツバメには名前をつけて名前で呼び、子供や孫が出来るとミカンを放り出してバンザイしたりしている!
子どもたちが巣立つと、彼女はすかさず「○月○日ツバメは5羽無事に巣立ちました?ありがとうございました!」というビラを巣の下に張り出すので、我々は口々に良かったねえとツバメと彼女の努力を称え合うのである。
巣だった子ツバメは巣の近くの樹などで秋まで過ごし、ある日一斉に南洋方面に向かって長く危険な旅に旅立つが、本書によれば本土帰還率はわずか3%くらいだそうで、この八百屋の母ツバメのように数年に亘って同じ巣に帰国し、子供はもちろん孫まで儲けている例は殆ど奇跡というても過言ではないだろう。
飛びます飛びますという二郎さんが好きだったひょっとしてほんとに飛ぶんじゃないかと思って見つめてた 蝶人