あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

山本タミエ画集「タミ絵」を眺めて

2023-09-24 11:21:01 | Weblog

 

照る日曇る日 第1965回

 

ふれあい鎌倉ホスピタルの隣の「山本餃子」で、ニンニクの入らない本格的な餃子を供されている山本理央さんから頂いた画集を、ときどき眺めています。

 

じつは「山本餃子」には知り合いの写真家シドモトさんの案内で一度しか行ったことがなかったのですが、その時お店の壁にかかっていた3幅の絵がとても面白くて、写真を撮らせてもらったことがありました。それが理央さんの祖母のタミエさんの絵だったのです。

 

彼女の父方の祖母、タミエさんは1912年、四国の小豆島に生まれ、髪結の仕事を経て同響の山本善次さんと結婚。5人の子供に恵まれ大阪、神戸、京都、東京、横浜などで暮したが、夫の死後の1990年、脳梗塞に襲われて左半身がマヒしてしまった。

 

ところが、その数年後の80歳を過ぎた頃、孫の岡村晃さんのすすめで絵を描きはじめた絵が、無類に自由で素晴らしいのです。

 

恐らくは故郷の小豆島で子どもの頃に慣れ親しんだ遊び仲間や草や花や木や小鳥やネズミや犬や猿や馬や牛や蛇たちはもちろんですが、ついでになぜか恵比寿、大黒天、福禄寿などんの七福神もワハハ本舗のように登場してきて、ポップでシュールで、明るく、楽しくて、だけどどこかちょっっぴり寂しくて、さながらこの世の果てのような極楽夢のような世界だあな。

 

生まれると同時に母を亡くしたタミエさんの悲しみが伝わってくるような1枚も印象的ですが、わたしは「天高く 白かて 赤かて みんなかて」と書かれた運動会の絵が能天気に懐かしくて好きですわ。

 

   教頭がみだらなことをしたというみだらの中身はどこにも書かれず 蝶人

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