照る日曇る日 第1964回
ふざけた下らないタイトルに怒りを覚えて一度は投げ出した対談本だったが、我慢して最後まで読んでみて本当に良かった。
所謂クラシック音楽の歴史とその興亡を生き生きと描き出して読者を飽かせることのないじつに内容豊かな対談である。
4つの楽章の交響曲が、性的な揺れ動きと関連していること、その性的運動を持続させながら、ひたすら愛のエクスタシーにまで高めた、ワーグナーの「楽劇」の物凄さを論じた211ページあたりは面白かったし、ストラヴィンスキーやショスタコなどロシア/ソ連の音楽が、人間を西欧的なヒューマンなものとしては描かず、「ただの木偶」として描いていることの怖さ、を指摘する276ページなどは、もっと面白かったずら。
今は亡き「レコード芸術」なども、この2人のクラシック音楽自滅寸前のお楽しみを自虐的に語る世紀末&世界の終り的対談などを連載していれば、まだ暫くは自滅せずに続いていたのではないだろうか。
auとかauショップのお知らせだけがジャカスカ入る阿呆莫迦ケータイ 蝶人