あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

関川夏央著「人間晩年図鑑2000-03」を読んで

2022-01-16 09:03:32 | Weblog

照る日曇る日第1697回

 

山田風太郎の「人間臨終図鑑」に触発されたらしいこのシリーズは、物故した世界中の様々な人物に寄り添ってその生涯と最期について縦横無人に語るという面白い企画である。

 

本巻では、2000年に亡くなった仙波龍英、梶山清六、青江三奈、吉田清治、大貫久男、01年に死んだ並木路子、田山幸憲、山田風太郎、モハメド・アタ、古今亭志ん朝、張学良、左幸子、02年のビリー・ワイルダー、トール・ヘイエルダール、柳家小さん、矢田澄子、ナンシー関、岡田正康、03年の尹学準、安原顕、天本英世、加藤大治郎、チャールズ・ブロンソン、ネルソン吉村大志郎を扱っているが、なかんずく「スーパーエデイター」で自称天才の安原顕の巻が面白かった。

 

売れない時代の村上春樹をあれだけ応援しながら、ある日突然手のひらを返し、あまつさえ彼の手書き原稿を神保町で売り払っていたとはいったいどういう料簡の男だったんだろう。

 

   お弥勒の眠りを覚ます津波警報3連続でその後寝られず 蝶人

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堀内誠一×谷川俊太郎著「音楽の肖像」を読んで

2022-01-15 15:00:07 | Weblog
 
照る日曇る日第1696回
 
 
最初の見開きには堀内選手の華やかなイラストとエッセイ、次の見開きには谷川選手のポムが続くという構成で、モザール以下大勢のクラシックの作曲家を紹介していく絵本と詩集を合体させたような楽しい本です。
 
それにしても堀内選手の人世は短かったんだなあ。たった54歳で早世しているんだもの。
でも晩年まで家族一緒におふらんすで楽しく暮らして良かったのではないかしら。
 
一方の谷川選手のポエムは技巧の限りを尽くした老獪なものである。
 
 メジロあり。夫婦揃って我に言う。「仲良きことは佳きことなり」と 蝶人
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「ユリイカ」2021年8月号「台湾映画の現在」を読んで

2022-01-14 09:39:17 | Weblog

照る日曇る日第1695回

 

最近政治的に脚光を浴びている台湾だが、かつてのブームが終わった最近の様子を覗いてみようとパラパラページを繰っていたら「台湾映画と出会うために」という田村志津枝さんへのインタビュー記事が載っていて大変懐かしかった。インタビュアーは温又柔さんだが、かなり年代の離れたこの作家は田村選手を畏敬していて、台湾とドイツの新しい映画の波を本邦にはじめて紹介した「先達」から、すべてを学び取ろうとする姿勢が感じ取られて、たいへん好感が持てた。

 

私が田村選手と最後に会ったのは、今は亡き福田克彦君の三里塚を舞台にした映画作りを支援するする談合の時だから、もう半世紀近い昔のことになるが、この記事での発言は相変わらず若々しく論旨明快で、なによりも記憶の衰えが感じられないのに驚いた次第である。

 

 オミクロンがどうじゃこうじゃと騒いでいるが気にかかるのはビルマと香港 蝶人

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西暦2022年睦月蝶人映画劇場その2

2022-01-13 10:33:20 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2730~41

 

1)梶田征則監督の「ミラーを拭く男」

いい年こいた緒方拳が、交通事故に遭ったあと、なにを血迷ったのか、全国津々浦々を巡って交通標識の鏡を磨き始め、それをマスコミが取り上げたからだんだん有名になるという愚にもつかない御話。おらっちも交通事故に遭ったが、カーブミラーなんか磨く気にならなかったぞ。2004年の製作で珍しく栗原小巻が出ている。

 

2)「ランボー1、2、3」

スタローン主演の乱暴シリーズずら。第1作は森林渓谷の大捕りものに力が入っていて見応えがある。2作ではカワイコちゃんが死んでしまって可哀想。3は今問題のアフガンを舞台に米国海兵隊の先輩を救出するべくムジャーヒディンの協力を得て「ソ連軍」と闘うランボーを描くがその漫画的なアナクロを楽しむしかないずら。

 

3)堤幸彦監督の「明日の記憶」

2006年製作の渡辺謙の初主演作品。若年性アルツハイマー症と戦う人を知っているので、冷静には鑑賞できなかったずら。


4)矢口史靖監督の「ハッピーフライト」

鳥被害で元来た空港まで必死に引き返すという2008年のヒコーキ映画。空港やヒコーキの内幕を覗けるとしてもあまり面白くない。それにしても未熟な新人副操縦士に任せすぎて機を危機に陥らせた正操縦士の罪は大きい。

 

5)李相日監督の「悪人」

悪人役の妻夫木聡は黙っていると存在感があるが科白を喋るとド素人でしらける。深津絵里はいい役者になった。吉田修一原作の2010年の邦画。

 

6)バリー・ジェンキンス監督の「ムーンライト」

黒人同性愛者の半生を描くが、あの虫も殺せない大人しかった少年がアトランタで大変身してヤクの買人になったのか?演出の荒っぽさが目立つ

 

7)フィリップ・ノイス監督の「ボーン・コレクター」

脊髄付随で寝た切りの捜査官ディーゼル・ワシントンが新人警官のアンジェリーナ・ジョリーと組んで大活躍うる1999年の米画。しかし植物人間になる前に安楽死させてくれと親友に頼む主人公の気持ちはよく分かる。

 

8)ブラッドリー・クーパー監督の「アリー/スター誕生」

意外にもレデイ・ガガが好演、ブラッドリー・クーパーとのコンビもぴったりで盛り上げる2018年の3度目の映画化。

 

9)篠原哲雄監督の「山桜」

藤沢周平の短編を2008年に映画化したがヒロインの田中麗奈の演技力がイマイチだなあ。

 

10)アンドリュー・ニコル監督の「ロード・オブ・ウオー」

ニコラス・ケイジが敵味方のどの国にも武器を売る「死の商人」に扮して居直る205年のハリウッド映画だが、どうも後味が悪いわな。

 

 またしても猖獗を極めるコロナ禍にずずいとしゃしゃり出る緑のタヌキ 蝶人

 

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関川夏央著「人間晩年図鑑2000-03」を読んで

2022-01-12 09:45:50 | Weblog

照る日曇る日第1694回

 

 

山田風太郎の「人間臨終図鑑」に触発されたらしいこのシリーズは、物故した世界中の様々な人物に寄り添ってその生涯と最期について縦横無人に語るという面白い企画である。

 

本巻では、2000年に亡くなった仙波龍英、梶山清六、青江三奈、吉田清治、大貫久男、01年に死んだ並木路子、田山幸憲、山田風太郎、モハメド・アタ、古今亭志ん朝、張学良、左幸子、02年のビリー・ワイルダー、トール・ヘイエルダール、柳家小さん、矢田澄子、ナンシー関、岡田正康、03年の尹学準、安原顕、天本英世、加藤大治郎、チャールズ・ブロンソン、ネルソン吉村大志郎を扱っているが、なかんずく「スーパーエデイター」で自称天才の安原顕の巻が面白かった。

 

売れない時代の村上春樹をあれだけ応援しながら、ある日突然手のひらを返し、あまつさえ彼の手書き原稿を神保町で売り払っていたとはいったいどういう料簡の男だったんだろう。

 

 「30年後には日本はこうなる」という議論だが私は死んでる 蝶人

 

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家族の肖像~親子の対話その75

2022-01-11 09:37:39 | Weblog

ある晴れた日に第668回

 

ベロ出しちゃ、ダメでしょう?

大丈夫よ。誰に言われたの?

マルヤマさんだお。

 

「後にしろ!」って、言われちゃったんですお。

誰に?

お父さんに。

 

コウ君、ヒトのいうことを聞かないんでしょう?

聞きませんお。

それなら、お母さんも、コウ君のいうこと聞かないわよ。

いいですお。

ほんとにいいの?

いやですお。

 

私は、オオツカ先生です。

こんにちは、オオツカ先生。

 

湘南台、地下鉄あるでしょ?

あるよ。

 

「頭使えよ。助けてやんないよ」って言われたよ。

いつ?

昔。

 

お母さん、大町から行ってください。

まだトトトの信号が怖いの?

少し怖いんですお。

そうなんだ。

 

特別扱いしちゃ、ダメでしょう?

そうだね。

特別扱いしたの?

しないよ。

 

お父さん、お財布探してください。

分かりましたあ。

 

コウ君、ほら、お財布見つかったよ。

良かったです。

 

病院は、手術とかでしょう?

そうよ。

 

コウ君て、むかしイエズス会、行ったことある?

あるよ。ぼく、イエズス会好きだよ。

そうなんだ。

 

コウ君、いまどこ?

江ノ島ですお。

 

   毒心を持つ職員に当たったら利用者にとり施設は地獄 蝶人

 

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.97」

2022-01-10 09:10:02 | Weblog

蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第406回

 

 

○父親の白寿を祝う長男のスピーチ

お父さん、めでたく白寿を迎えられたこと、本当に本当にうれしく思います。

と申しますのも、*1お母さんの話によると、お父さんは昔から体が弱く、「病気のデパート」といわれていたそうです。

 

ざっと数えても、結核や糖尿病や胃ガンや心筋梗塞の発作、あと交通事故が2回と蜂に刺されて入院というのもありました。赤紙がきて戦争に行った時はもっとひどくて、乗った軍艦が撃沈され、重油がヘドロのように漂うフィリピンの海上を3日間漂流した末に救助されて九死に一生を得たとか。*2

 

ともかく生きているのが不思議なようなお方が、なんと1世紀近くも生存されたということは、もうそれだけでも人間国宝というか、すごいことであると思います。

 

さらに、もっとすごいのは、うちはお父さんだけじゃなくて今年93歳のお母さんも共に健在であるということ。*2

 

わがままなお父さんを陰でじっと支えつづけたお母さんにも、ご苦労さま、おめでとう、の言葉を贈りたいと思います。

 

お父さん、どうかこれからもお体には充分気をつけてお元気でお過ごしください。

 

○アドバイス

 *1家族や親族全員が集まるイベントでは、縁の下の力持ちである配偶者とも喜びをわかち合う精神を大切にしたい。

 *2話者が長寿者の場合は、会場の雰囲気が沈みこまないように、明るく楽しいしゃべり方をすること。また白寿の場合は、全員で協力してスピーチはできるだけ短く切り上げたい。

 

   一瞬にしてひとはなぜ人を愛し一瞬にして人を憎むか 蝶人

 

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家族の肖像~親子の対話 その74

2022-01-09 10:10:13 | Weblog

ある晴れた日に第667回

 

お父さん、薬の英語は?

メディシンだよ。

 

お父さん、鎌倉の信号、怖いんですお。

そうか、怖いんだ。困ったね。

 

お母さん、新逗子駅、葉山逗子に変わったよね?

そうね、変わったわね。

 

逗子の信号もツツツツって鳴りますお。

え、そうなの?鎌倉だけじゃないの?

ツツツツツって鳴りますお。

おんなじ音なの?

そうですお。

 

お母さん、えこひいきって、なに?

その人だけ特別に可愛がることよ。

 

お母さん、ひょうきんて、なに?

オレたちひょうきん族よ。

 

様々って?

色々よ。

 

コウ君、その恰好おかしいわよ。

リコちゃんに嫌われる?

嫌われるわよ。

そうお。

 

コウ君、今日はどこ行くの?

セイユー行きますお。

他は?

セイユーだけですお。

 

お父さん、コウ君が一番好き!

ありがとうございました。

 

お父さん、欠席の英語は?

アブセントだよ。

 

コウ君、今日は父の日だよ。お父さんに、なんていうの?

ありがとう。

コウ君、ありがとう。

 

お母さん、薬剤師て、なに?

病気の人のお薬を考えてあげるひとよ。

エイ子さん、薬剤師さん?

そうだよ。

石原さとみとおんなじ?

そうね。テレビのね。

 

お父さんに「後から片づけなさい」っていわれたお。

コウ君、あれは偽のお父さんだったから、忘れていいよ。

 

お父さん、大丈夫ですか?

大丈夫だよ。

 

   紅白の境界線を跨ぎつつひばりを歌う氷川きよし 蝶人

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ジョージ・セル指揮ワーナー録音集(1934―1970)14CDを聴いて

2022-01-08 13:28:59 | Weblog

音楽千夜一夜第489回

 

セルの録音の大半は旧コロンビア盤であるが、このワーナー盤に収められているのは旧EMIなどその他のレーベルに録れた14枚のCDである。

 

ギレリス独奏によるベートーヴェンの協奏曲全集や、シュワルツコップ独唱によるR.シュトラウスの「4つの最後の歌」などは既に定評のある名演であるが、1930年代のフーベルマン独奏に拠るベートーヴェンの協奏曲、シュナーベルとのブラームスのピアノ教祖曲も素晴らしい。

 

年寄りの私はますます保守的かつ権威主義的になってきたので、今どきの若い世代の演奏よりも、往年のこうした名演奏に惹かれるのである。

 

  オミクロンで外出規制が出る前に民草こぞりて鎌倉に来る 蝶人

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ジェイン・オースティン著・新井潤美・宮丸裕二訳「マンスフィールド・パーク(下)」を読んで

2022-01-07 11:48:11 | Weblog

照る日曇る日第1693回

 

若くて、美人で、感受性が豊かで、教養があって、謙虚で、何事につけても地味で控えめで、そこに彼女がいるだけで一隅がぽっと温かくなるようなヒロイン、ファニーは、読者のみならず大勢の独身男性の心をとらえる。

 

下巻では問題児のクローフォド兄妹が登場して、ファニーを生き地獄の苦しみに陥れるが、幸か不幸かバートラム一家の2人の娘の不倫や駆け落ちが彼女を救い、いかにもオースティンらしい小春日和のハッピーエンドが、読者の不安を優しく鎮めるのである。

 

なおこの作品ではシェイクスピアもどきの劇中劇つうか小説内芝居の試みがなされていて興味深いのだが、本書ではその下敷きになっている戯曲「恋人たちの誓い」が付録についていて、これまたとても面白いのである。

 

  5年前は町内総出で雪掻きしたが今朝はだあれも出てこなかった 蝶人

 

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西暦2022年睦月蝶人映画劇場

2022-01-06 10:43:07 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2720~29

 

1)マーク・サンドリッチ監督の「コンチネンタル」

1934年のアステア&ロジャース初コンビ作品。拙劣極まるシナリオだが後半の「夜も昼も」「コンチネンタル」の歌と踊りは大迫力。これらの振り付けは本邦のアホ馬鹿Gの踊りと次元が違って、アナーキーなことろがある。

 

2)今井正監督の「青い山脈」

1949年製作の2時間47分の長い映画だが今でも面白く見られ、ラストの龍崎一郎の原節子へのラブコールのところでは泣ける。血塗れの暗い過去を持つ「君が代」に替えて新しい国歌を「青い山脈」にせよというのがおらっちの年来の主張なのである。

 

3)西川克己監督の「青い山脈」

吉永小百合、芦川いずみ、二谷英明による1963年版は今井作品よりスマートな仕上がり。両作に三島雅雄が出演して渋い味を出しているが、左卜全、浜田光夫もいい。

 

4)ウォルフガング・ペーターゼン監督の「アウトブレイク」

1995年の悪疾パンデミック映画で昨今のコロナ騒動を念頭に置きながら鑑賞するのも乙なものなり。いさし振りにダスティン・ホフマンを見た。

 

5)ルキノ・ヴィスコンティ監督の「家族の肖像」

1974年製作でバート・ランカスターの老教授の静謐を妖艶なシルバーナ・マンガーノやヘルムート・バーガーらが乱すが、それも悪くないという風に終わるいかにも70年代風の映画。

 

6)マルジャン・サトラピ監督の「チキンとプラム」

イラン人女性の漫画の原作を自らの手で映画化。「あるバイオリン弾き、最後の夢」なる副題付きの2011年のファンタジーでほんとの夢見心地にしてくれる。ゴリシフテ・ファラハニが美しい。

 

7)ミカエエル・ハフストローム監督の「シャンハイ」

日米開戦前夜の上海を舞台に繰り広げられる米国スパイ、日帝、中国パルチザンの暗闘を描く2010年の米中合作映画。渡辺謙が一番いい役者に見える。

 

8)トム・ティクヴァ監督の「ザ・バンク」

登場人物の全員が疲弊し切った表情なのが印象的な2009年の作品。最後グッゲンハイム美術館で物凄い銃撃戦が展開されるので驚いたがセットだった。

 

9)阪本順治監督の「大鹿村騒動記」

2011年の原田芳雄の遺作。大鹿歌舞伎を大道具に、大楠道代、岸部一徳、三国連太郎親子などを上手に使ったコメデイなり。

 

10)ジョージ・シートン監督の「三十四丁目の奇蹟」

1947年のいかにもアメリカな奇跡の物語。むかしNYでメーシー百貨店の感謝祭パレードに遭遇したことがあるが、11月後半とはいえ真冬のように寒い朝で、この映画のように首になったサンタ役が酒を飲むのも無理からぬことだと思った。

 

   ぶっちゃけて素人同然の専門家がテレビでとくとくコロナを語る 蝶人

 

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.96」

2022-01-05 11:34:10 | Weblog

 

蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第405回

 

 

○祖父の米寿を祝う孫のスピーチ

 

*1おじいちゃん、おめでとうございます。

 

頭のてっぺんから足のつま先まで、どこにも異常なく、お元気で今日のよき日を迎えられたことを、こころからうれしく思います。*2

 

そちらに座っていらっしゃる晃伯父さんの説によりますと、僕のうちには若いお父さんと年取ったお父さんの2人のお父さんがいたんだそうです。偶々父母が下駄屋の商売をやっていたのでなかなか休みが取れず、その代わりにおじいちゃんが僕をいろんなところへ連れて行ってくれたんですね。

 

近いところでは、歩いて10分くらいのところにある上林川。とても水が澄んできれいな川です。おじいちゃんは、ここで僕に鮎の友釣りや、ウナギ捕りの仕掛けや、水泳を教えてくれました。

 

遠いところでは、寺社仏閣巡りです。山陰線の蒸気機関車に揺られて、金閣、銀閣、清水寺など京都の古いお寺によく連れて行ってくれました。

 

僕が現在日本史の先生になったのも、おそらくおじいちゃんの感化によるものだと思います。老いてなおますます元気な「大きいほうのお父さん」。これからも、未熟な孫どもをしっかりお導きください。

 

○アドバイス

 

*1お年寄りは耳が遠いので、できるだけ大きな声でゆっくりと話すように努める。このケースでは主人公の連れ合いがすでに死去しているので触れなかったが、生存の場合はお祝いとねぎらいの言葉をかけることを忘れないように。

 

*2同席の知人を引き合いに出すと、親しみがわき、話のリアリティと臨場感が出る。

 

  元旦と2日にカワセミの青を見る今年はなにか良きことあるや 蝶人

 

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すべての言葉は通り過ぎてゆく第99回

2022-01-04 10:16:49 | Weblog

 

西暦2021年師走蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第405回

 

 

枝野がつくった立憲民主党を、元国民党の泉が乗っ取る。それこそ庇を貸して母屋を取られたようなものだね。12/1

 

中村吉右衛門が77歳で亡くなるや否や、すかさず「徹子の部屋」が追悼。新旧の在庫が豊富だね。12/2

 

児玉竜一という人の吉右衛門の偉大な功績を讃える追悼文を読む。「演じる自分を見つめているもう一人の自分がいた」という指摘は秀逸だが、吉右衛門の「声音そのものが観客を酔わせた」というのは疑問。彼の喉奥でぶつぶつ内向する声音は、いつも殆ど聴きとれなかった。12/3

 

家出した愛猫を探し出すために、写真入りのビラを持った母と息子が、町内のあちこちを尋ねて協力を求めている。ふだんあまり近所づきあいをしない人たちなので、これがきっかけで新しい人間関係が生まれるかもしれない。12/4

 

逗子文化プラザで開催された「らせんの映像祭2021」は久しぶりに楽しかった。念願の鈴木野々歩さんと村岡由梨さん、眠さん、花さん、仲本拡史さんにもお目にかかることが出来て、おらっち超嬉しかったずら。12/5

 

暫くしてから振り返ると、「ああ、あの頃が一番平和で幸せないっときだった」、と思うに違いない。12/6

 

生涯で遭遇した名人歯医者は二人だけ。一人は原宿の木下歯科、もう一人は横須賀の岸本歯科。2人とも名人なんだけど、前者は他人の歯として上手に治すが、後者は自分の歯のように大事に治す。12/7

 

今から半世紀以上も昔の大昔、私の祖父は琵琶湖ホテルで行われた聖書贈呈式の挨拶の途中、「主イエス・キリストは」と言ったところで脳出血に襲われ、そのまま不帰の人となったのであるが、なかなかカッコイイ死に方ではないか。12/8

私が「大芸術」と呼ぶものは、ただ単に、ひとりの人間のあらゆる能力がそこで用いられることを要求する芸術、その作品を理解するために、もうひとりの人間のあらゆる能力が求められ、関心を向けなければならないような芸術のことである。P.ヴァレリー「ドガダンスデッサン」塚本昌則訳 12/9

 

あれやこれやの国家が、我こそは「民主命」だと自慢ゴッコしはじめたが、本来「民主」とは、民衆が主体であることだ。国権の内部においても「民草第一主義」が担保されている国って、どこかにあるのだろうか。12/10

 

民主主義がまだ生きている国もあれば、完全に死滅している国もあり、その中間に位置する国は多いが、理想的な民主主義国家は、まだ地上では誕生したことはない。かつてナチ政権が登場したのは、理想に近いとされたワイマール憲法治下の独逸でだった。12/11

 

昔「くうねるあそぶ」という日産電通陽水のCⅯがあったが、なかなか「遊ぶ」なんてことはできない。基本的には「くうねるくるしむ」のがこの世のありようで、本当に稀にゲイジュツヤやらマージャンやら異性などで遊ぶ瞬間があったらメッヶものということ。12/12

 

ブロムシュテット&N響の録画でみる。この演奏のどこがベートーヴェンであり、「運命」なのか。音楽家はいたずらに歳をとればいいというものではない。大喜びで拍手している連中の気が知れない。12/13

                                              

久し振りの大病院。MRIなんて、行けばその日に撮ってくれると思っていたのだが、甘かったずら。12/14

 

昨日は地獄、今日は天国。やはり陽の恵みは大いなるかな。12/15

 

もはや日本人は、日米安保体制を離脱した国の姿かたちさえ想像できないほど、衰弱、あるいは耄碌してしまったようだ。12/16

 

我が家の洗濯機を修理に来た職人が、日大の会長の不祥事を「昔なら切腹したもんですよ」と罵っていたが、その後も森友赤木財務相文書書き換え、国土交通省データ書き換えで本来なら腹を切るべき役人や政治家共がのうのうと生き長らえている。12/17

 

洗面所の水道を捻ったら怒涛のように水が出てきて止まらないので驚いて妻を呼んだら、しばらくして直った。時々蝶番が外れてこうなってしまうそうだが、おらっちには絶対に無理な作業だ。本当は自分の仕事だと思うのだがあ。12/18

 

立憲民主党の枝野落魄以来、ある言説や人物や組織を一刀両断に論難したり、全面的に否定するのを嫌う世の中になったそうだが、だからというて、論難や斬り捨て御免の一言居士が自粛するのも、いかがなものか。12/19

 

寛容が最上の知恵と知りつつも、その知性が暴力によって冒されると、人は寛容も知性もかなぐり捨てて,何よりも大切な生命の防衛のために、暴力を揮って不寛容の泥沼に堕ちる。12/20

 

労働生産性が低すぎるから、なんとかせんといかんという議論を聞いいていると、そうかい、そうかい、元気で頭のいい人はせいぜい頑張ッとくれ。でももうそんなこたあもうどうでもええじゃんか、という捨て鉢な気分がやってくる。12/21

 

三井住友愚銀行に来年のカレンダーをもらいにいったら、「今年は、或いは今年からは、作らないことになりました」と受付嬢が言うたが、さすが大阪。ドけちな銀行じゃのう。横浜銀行のをもらったから別にいいけど。12/22

 

それにしても維新と国民民主党が目障りじゃ。ていうか、ああいう存在が嫌いなんだよね。12/23

 

MRIの洞窟に入ったのはこれで3回目。今回はスチーヴ・ライヒの轟音音楽を楽しむつもりだったが、だんだん堪えられなくなって、最後の電撃ミサイル21発連射で轟沈せられてしまった。蒙御免ずら。12/24

 

NHKの「その時歴史が動いた」で時折鋭い発言をしていたが、トンでも無い女性差別発言で下ろされた呉座勇一選手を、いつもどうでもいい脳科学?的な莫迦話をしてお茶を濁している中野某女に替わって、また出場させて欲しいものだ。12/25

 

そもそも保険証があれば、マイナンバーカードなんか要らない。見境なしの鳴り物入りキャンペーンの裏には必ず政府自民党の陰謀がある。12/26

 

おらっちが通っている大病院の掛かり付けの医者は、世間的にはある程度名の知れた老医師なのだが、病院内の後輩のだれかれをおとしめるような発言を一患者であるおらっちに洩らしてくれる。どうにも厭な感じだ。12/27

 

猛烈な勢いで回転する2021年製の絨毯に敷きこまれそうになって、その瀬戸際でやっとこさっとこ持ちこたえているおらっちであった。12/28

 

江戸文学専門の神保五弥氏の講義を聞いたことがあるが、全部忘れてしまって、ただ彼が戦地から戻って電車に乗っていた時の、負傷した脚のギプスの中のノミが大暴れして血を吸いまくるのに一掻きもできない搔痒の苦しみの話だけを覚えている。12/29

 

デルタが出ると、なんちゃらかんちゃら、オミクロンがでてくると、またなんたらかんちゃら。毎度お馴染みの自称専門家たちが、今日も我々シロウトと同じレベルの、毒にも薬にもならない「解説」をしてるずら。12/30

 

「津久井やまゆり園事件」に触発されて次男が亡きおばあちゃんチで企画した「佐々木健個展・合流点」が、美術、障害者、福祉にまたがる大勢の方々の好評を得るという思いがけない反響をもたらしたことは、今年の我が家の一番の事件であり喜びだった。感謝、感謝。12/31

 

 

  正月の病院はどこも混んでいてロクソニン飲んで患者は堪える 蝶人

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なにゆえに第94回~西暦2021年師走蝶人花鳥風月狂歌三昧

2022-01-03 14:50:49 | Weblog

ある晴れた日に第666回

 

なにゆえに残ったジュースを飲んぢまう自販機のゴミ箱のペットボトルの

 

なにゆえにいますぐリハビリに来いという指定時間は11時なのに

 

なにゆえにクロネコヤマトはAIが出るもう受付嬢をリストラしたのか

 

なにゆえに急にこんなに寒くなる時代も人も寒いので

 

なにゆえに「敵基地叩け」と馬鹿がいうそんなことしたら戦争になるぞ

 

なにゆえに橋上女は引越ししちまった形見のわが詩「橋上女」を残して

 

なにゆえに天はわれらの長寿を許す心ゆくまで悔いさせるため

 

なにゆえに真珠湾で騙し討ちにした武士にあるまじき卑劣な行為

 

なにゆえにコウ君はすぐにパニクるまずおらっちがパニクったので

 

なにゆえ神奈川新聞が売り切れている朝一番で買い占めた奴

 

なにゆえに洗濯機のドアが開かないやっぱ東芝は駄目なのか

 

なにゆえに阿呆莫迦主治医を忌避できないのか大病院の権威主義め

 

なにゆえに人の運命はがらりと変わる思いつきを実行するのよ

 

なにゆえにすべてが夢と思えてくるこの世がほとんど幻なので

 

なにゆえに今日まで峠に来なかったモミジはそろそろ終わりじゃないか

 

なにゆえに神田沙也加は飛び降りた岡田有希子を思い出したぞ

 

なにゆえに人は最期に宙を飛ぶ神田、岡田、藤圭子

 

なにゆえに月は刻々姿を変える付きの名前は知らないけれど

 

なにゆえに幸せを感じる君が傍にいてくれるだけで

 

なにゆえにこの頃のCDに不良品が多い買う度の交換が面倒くさい

 

なにゆえに薬局で保険証を見せろという第2の医院に成り変わろうとして

 

なにゆえにガラケーの機種が選べない世界的な半導体不足で

 

なにゆえに年末年始の実感がないカレンダー通りの日々が流れて

 

なにゆえに息子の気分は急変する余計なことをおらっちが言うから

 

なにゆえに温かい記事を書いてくれた記者の家族には障害者がいた

 

なにゆえに吉沢亮は若いのか渋沢栄一は老人なのに

 

なにゆえにただ1冊も見つからない書評委員も我も読みし本

 

なにゆえに2つの施設の連絡が悪い依然組織が縦割りなので

 

なにゆにえに主人公の名前が覚えられない5冊を同時に読み進めるので

 

なにゆえに「世田谷殺人事件」が登場するもはや歳末の季語のごとくに

 

 「生命は自分で守って下さい」と言われて思う縄文の頃 蝶人

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なにゆえに第94回~西暦2021年師走蝶人花鳥風月狂歌三昧

2022-01-03 14:06:12 | Weblog

る晴れた日に第666回

 

なにゆえに残ったジュースを飲んぢまう自販機のゴミ箱のペットボトルの

 

なにゆえにいますぐリハビリに来いという指定時間は11時なのに

 

なにゆえにクロネコヤマトはAIが出るもう受付嬢をリストラしたのか

 

なにゆえに急にこんなに寒くなる時代も人も寒いので

 

なにゆえに「敵基地叩け」と馬鹿がいうそんなことしたら戦争になるぞ

 

なにゆえに橋上女は引越ししちまった形見のわが詩「橋上女」を残して

 

なにゆえに天はわれらの長寿を許す心ゆくまで悔いさせるため

 

なにゆえに真珠湾で騙し討ちにした武士にあるまじき卑劣な行為

 

なにゆえにコウ君はすぐにパニクるまずおらっちがパニクったので

 

なにゆえ神奈川新聞が売り切れている朝一番で買い占めた奴

 

なにゆえに洗濯機のドアが開かないやっぱ東芝は駄目なのか

 

なにゆえに阿呆莫迦主治医を忌避できないのか大病院の権威主義め

 

なにゆえに人の運命はがらりと変わる思いつきを実行するのよ

 

なにゆえにすべてが夢と思えてくるこの世がほとんど幻なので

 

なにゆえに今日まで峠に来なかったモミジはそろそろ終わりじゃないか

 

なにゆえに神田沙也加は飛び降りた岡田有希子を思い出したぞ

 

なにゆえに人は最期に宙を飛ぶ神田、岡田、藤圭子

 

なにゆえに月は刻々姿を変える付きの名前は知らないけれど

 

なにゆえに幸せを感じる君が傍にいてくれるだけで

 

なにゆえにこの頃のCDに不良品が多い買う度の交換が面倒くさい

 

なにゆえに薬局で保険証を見せろという第2の医院に成り変わろうとして

 

なにゆえにガラケーの機種が選べない世界的な半導体不足で

 

なにゆえに年末年始の実感がないカレンダー通りの日々が流れて

 

なにゆえに息子の気分は急変する余計なことをおらっちが言うから

 

なにゆえに温かい記事を書いてくれた記者の家族には障害者がいた

 

なにゆえに吉沢亮は若いのか渋沢栄一は老人なのに

 

なにゆえにただ1冊も見つからない書評委員も我も読みし本

 

なにゆえに2つの施設の連絡が悪い依然組織が縦割りなので

 

なにゆにえに主人公の名前が覚えられない5冊を同時に読み進めるので

 

なにゆえに「世田谷殺人事件」が登場するもはや歳末の季語のごとくに

 

 「生命は自分で守って下さい」と言われて思う縄文の頃 蝶人

 

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