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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

三勝屋 @岐阜県加茂郡八百津町

2014年05月21日 | 岐阜県(中濃・老舗)

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一度、臨時休業で振られた岐阜県八百津町の老舗大衆食堂「三勝屋(さんかつや)」。この日もバイクで出掛けて行く。昭和8(1933)年創業とのこと。正直、店が開くのか確証はなかったが、店の前の広場にバイクを停めると同好の士と思われる数名が待っていたのでそのまま待つ。ほどなくして主人が店の中からこちらをちらりと覗き、待っていた我々数名を手招きして中へ招き入れる。ん…? でも暖簾を上げる様子はない。なんでも、出前だか仕出しだかの注文が入ってしまってすぐには店を開けられないから、いま外で待っている人達だけ店内で座って待ってもらう、との事。でも予め料理の提供が遅くなることは念を押された。意外な展開に、自分を含む数名は閉まったままの店の土間のテーブルに座り、お茶をもらい、とりあえず注文だけ訊かれた。

壁に掛けられた木札の品書きは麺類から飯物からなんでもあり(それでも看板にあった寿司の品書きは見つけられなかった)。その中から、なぜこんな山奥の大衆食堂に?と不思議な名物「パーコー」(排骨)と、なんかの紹介で出汁が自慢と書かれていた「中華そば」を注文。注文をとってくださったのはご高齢だがきっちりとお化粧をして、老いてなお、かくしゃくとしていらっしゃる女将さん。当分料理は出てきそうにないので、女将さんのお話を聞いたり、古い建物を見回したり、はいどうぞ、とリモコンごと渡されたテレビを眺めつつぼんやりと過ごす。

店の中には2畳ほどの小上がりに丸いちゃぶ台が置いてあったり、額に入った賞状や資格証が飾ってあり、昭和のままの風情。いろんな芸能人が残していった色紙、それに記事もいっぱい張り出してある。女将さんによると品書きの木札は開店したころのままのものだとか。店もだいたいそのままとの事。「お客さんがなぶっちゃあかんっていうもんやでねぇ」(お客さんが触っては駄目と言うから)とおっしゃる通り、「ずっとそのまま」であることを期待されてもいるし、古い木椅子を見ても金具で後から補強してあったりと、お店の側もそうやっていこうという意志が見られる。すごいなぁ。品書きに「支度(したく)」という謎のメニューがあったので女将さんに訊いてみると、煮物や煮魚など出来上がったおかずとご飯だそう。「もう支度が出来とるよっていうことやわ」。素敵。

かなり長い時間が経ち(30分以上か)、やっと我々の注文した品に手がつけられ始めたらしく、店のカーテンが開けられ、暖簾が掛けられた。外には店の様子を伺っていただろう客が数名待っていて、「え?何でもう客が入ってるの」的な視線を向けられる(笑)。やっと運ばれてきた中華そばは鰹の風味の効いた出汁であっさりとしており、花麩、蒲鉾、小さい海苔、そして豚バラ肉が気持ち程度乗っている。動物系の出汁はこの豚バラなのかな。色んな店を食べ歩いた元ラーメン好きな自分も、最近はこういう一杯がやたらとうれしい。パーコーは平皿に盛られた豚肉の天ぷらとでもいうべきもので、上にはたくさんの刻み葱が掛けられている。これをテーブルに用意された酢醤油でいただく。チューブのにんにくも置かれたが使うのは止めておいた。ご飯にあうだろうなぁ、これ(ビールか)。

自分がこの店を知ったのは椎名誠の書籍で名前を見つけたから。いやぁ、来てみて(入る事が出来て)良かった。次は隣の人が頼んで旨そうだった丼物を頼んでみたいな。それとも「支度」か。こんな店で一杯やりながら、のどかな休日を過ごしてみたい。日曜も営業しているのは有り難いが、前回自分が遭遇したように、臨時休業や地元の人達の貸し切りがあるようなので遠方から訪れる際には注意が必要です。(勘定は¥1,000)

この後の記事はこちら (2)(3)(4)(5

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 ↓ 写真は三勝屋の向かいにある「玉柏酒造」の建物。突当たりが三勝屋。

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三勝屋

岐阜県加茂郡八百津町八百津4118-1

 

(さんかつや)

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