休日の朝、名古屋・栄(さかえ)の中日ビル辺りの地下街「森の地下街」を歩いていた。栄の地下街は時々歩くが、こっち方面には全然来ていない。中日ビルにももう何年も入っていない。まだ早い時間なので当然シャッターが閉まった店ばかり。歩いていても、開いている店は老舗の喫茶コンパルと1軒の食堂ぐらい(正確にはあと1軒あることをのちに知る)。朝食もまだだったので立ち止まり、その食堂「酒津屋中店」へ。その店の片側には今では珍しいミルク・スタンドがあり、瓶に入った牛乳やコーヒー牛乳が並んでいる。もう片側には普通にショーケースがあり、サンプルと品書きの看板が立っていた。そこにはお酒の品書きも。ん?朝から飲めるって事か…。 平日のこの時間だったら店の前はまだ出勤の人が大勢歩いているところだ。せっかくの休日だし、これはひとつ「朝酒」をやってみようかと俄然呑みモードに。思い切って暖簾をくぐってみた。
店の中はごく普通の大衆食堂という感じ。さすがに先客は…と思ったが、いた。しかもビールを召し上がってらっしゃる年輩の方。わぁ、やっぱり旨そうだ(これから呑むんだけど)。なんたって朝だもんな、まだ。給仕のおばちゃんにお酒を頼む。もちろんダメなんて言われない(笑)。ぬる燗も快く引き受けてもらった。品書きには揚げ物、煮物、刺身、いわゆる名古屋メシ、と何でも揃っていて、定食も充実しているようだ。駅地下、しかも改札横のテナントに居る事を忘れそう。つまみにはおすすめと書いてあったまぐろの中落ちを注文。その間にも常連さんがやってきて「おはよー、いつもの」と頼むと、さっとビールが出されている。そうか、みんな朝ここで飲んでいたのか(笑)。
お酒は「白鹿」。銘柄入りの徳利と猪口でちょうどいい温度になって運ばれてきた。一杯やると…効くーっ。まぐろは部位こそ大したことないが、鮮度は充分で旨い。何度も「まだ朝だ…」という嬉しいような、ちょっと悪い事をするような不思議な気分で楽しい。もう、今日一日このお店で終わってもいいか、という邪念もよぎったが、一応行くと決めていたところがあったので、この日は追加を止めておいた。あとで調べると、この店の営業は朝7時から深夜12時までとの事。そういえば壁に終電時間が書いてあった。定食のご飯おかわりは無料とも書いてあるし、中休みも無いみたいだし、朝、昼、夜、深夜と使えそうな凄いお店なのだ。お酒もハイボールはもちろん、モヒートまである。しかもこの古い地下街をもうほんの少し(正味30秒ほど)歩くと、系列の東店があって、そちらもほぼ同内容の店のよう(近過ぎないか…)。それがもうこの場所で60年やっているというのだから凄い。完全ノーマークのお店だった。また行きます、間違いなく。(勘定は¥800程)
酒津屋 中店
愛知県名古屋市中区栄3-5-12 栄 森の地下街南一番街
(酒津屋中店 さかづや なか店 なかみせ)