ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

ユキ @名古屋市東区・車道 (※移転)

2014年05月07日 | 名古屋(東区・北区)

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中部地方(厳密には東海地方かな)では当たり前なのだが、喫茶店で食事をする文化がある。豪華な「モーニング」で一躍有名になったけれど、朝だけでなく食事をするために家族で喫茶店に行ったりする。あまり他所の土地では見かけないと感じたのは、自分が東京など他所の土地で暮らしたりしてから。でもこの地方では当たり前だった。最近の各種チェーン店をはじめとする飲食店の全国平均化によって以前よりは廃れてしまったと感じるが…。そこで食べるメニューは例えば、「味噌かつ定食」、「親子丼」、「スパゲティー」などと、いわゆる定食メニュー(味噌かつはこの地方だけか)。つまり喫茶店にはこういうメニューが普通にあった。その中に「イタリアン」というメニューがあり、古い喫茶店ではほとんどの場合、熱い鉄板(一般に言うステーキ皿)にのったケチャップ味のスパゲティー(いわゆるナポリタン)を指す。今は「鉄板スパ」なんて呼ばれているが、昔からこんな呼び方だっけ? 特徴的なのは溶き卵が流し込まれていること。その発祥とされる店がここ「ユキ」。

店は大通りから一本入った道にあり、周囲は路面駐車場ばかりが目立つ場所にある。以前は商店街だったようだが、歯抜けになってしまってもうその体ではなくなっている感じ。店頭のガラスケースをはじめ、完全に昭和の喫茶店のお姿。店に入ると右がカウンター調理場、そして店内はビニール生地のいわゆる喫茶店ソファとテーブル。各テーブルに照明がぶら下がっている。壁には雑然と色々なものが飾られて、若干暗めなのも昔ながらという感じ。先客は地元の方が数名。もちろん迷うことなく「イタリアン」を注文。すぐに紙ナプキンが巻かれたフォークと粉チーズ、タバスコが用意された。ご高齢の主人(このメニューを開発した先代主人の奥様)はいらっしゃらないよう。調理を女性の方(娘さんかな)がやっている。

ジューッという鉄板に溶き卵液が流し込まれた音がして、熱々のイタリアンが運ばれた。けっこうな盛り。このメニューを食べるのはずいぶんと久しぶりだ。フォークをさし、クルクルと麺を絡めて口に運ぶ。恐ろしい熱さというのを忘れていた。飲み込めないほどの強烈な熱さに悶絶する。それも含めて懐かしい(笑)。赤いウインナーに玉ねぎ、ピーマン、細切れ豚肉という具材。酸味は控えめ。早くしないと卵が固まってしまうので、大まかに麺と混ぜ、大慌てで口に運ぶ。もちろん麺(あえてパスタなんて言わない)はアルデンテでは決してなく、しっかり柔らかい。 うん、旨い。そして熱い!(完全に口の中、火傷したナ)。一気にかき込んだが、食後にお茶が出されてほっと一息。いやぁ、懐かしかった。この店で初めて作られたオリジナル・メニューが東海地方全域の喫茶店に伝播したなんてすごい事だ。雰囲気と歴史を含めてごちそうさま。(勘定は¥650)

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ユキ

愛知県名古屋市東区葵3-17-42

(喫茶ユキ 鉄板イタリアン 鉄板スパ 鉄板スパゲティー)

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