天才か人災か ~泉谷しげるオールタイムベスト~ / 泉谷しげる (2010)
もうすでに彼のベスト盤CDはいくつも持っているのだが、レーベルを跨ったオールタイムベストでDVD付、浦沢直樹氏のイラスト・ジャケットで気になっていた「天才か人災か」をいまさらながらに購入。コンパイルされた40年間(1970-2010)の間に、知っているだけでも6くらいのレーベルを渡り歩いているので、権利関係だろうと思うが今までオールタイムベストが企画されたことは無かったのだとか。自分の聴き始めは’86~91の「LOSER」期だったが、彼らと袂を分かった後もチャリティー活動を含めてコンスタントに活動しているのはさすが。
芸能活動があるので一般的には「キレるオヤジ」のイメージが強いかもしれないが、彼の音楽は、都会に住む人間の嫉妬や、焦燥感、無力感をすくい取った繊細な歌詞と独特の言葉の選び方に特徴があると思う。現在主流の分かり易い”応援ソング”とは違い、切り取った言葉を接いでいるので難解だし、直接的に理解させる歌詞は意外と少ない(かっこつけてるしネ)。でも聴き込んでいくとその”いらつき”がグッとくるのだ。ただし、それも都会(特に東京)在住者限定。自分も東京に居た頃はそういう感覚を感じることが出来たが、田舎に住んでいる今は、正直彼の音楽が沁みてこない。不思議だ。それに彼がそう強調している訳ではないが、やはり泉谷の歌は男の歌だろうと思う(女性ファンも多いんだけどね)。
この編集盤、選曲は無難なものだろう。あれがこれがはあるだろうが、ファンの誰がやっても2枚組だと近い内容にはなるんじゃないか。デジタルリマスターされているという音質の良さは特に感じることは無かったが、こうして改めて並べてみるとLOSERの時期はやはりちょっと毛色が異なる音だったんだなァと再認識する。期待したDVDは何かの番組の企画だろうか、泉谷のインタビュー映像。彼自身が歴史を(真面目に)振り返っているが、尺は充分あるんだから、もっともっと当時の演奏楽曲や映像を挟んで欲しかったなァというのが正直な感想。
オークションにて購入(¥1,510)
- CD (2010/5/26)
- Disc : 3
- Format: CD+DVD
- Label : ポニーキャニオン