音楽殺人 / 高橋ユキヒロ (1980)
テクノ・ポップ全盛の1980年に”高橋ユキヒロ”名義で発表された高橋幸宏のソロ・アルバム。いかにも当時のニュー・ウェーヴらしいジャケットが微笑ましい。80年といえばYMO(Yellow Magic Orchestra)はあの「増殖」を発表した、飛ぶ鳥を落とす勢いのあった時期。自分は小学生だったが、しっかりハマっていた。ただし小遣いの少ないガキにとっては、当時2,000円から2,800円したLPレコードを頻繁に購入することなどもちろん出来ず、YMO本体は何とか購入していたものの、ソロ作品までは網羅出来ず、泣く泣く諦めてそれらは”FMエアチェック”(死語)という前時代的な方法にてカセット・テープで音源だけを所有していたのだった。しかも日立マクセルやソニーなどの一流メーカーのカセット・テープはなかなか買えず、当時ユニー(現ピアゴ)という中部地方のスーパーで売っていた廉価版のテープを使用していた(涙が出てきた…笑)。だから曲順はバラバラだったり断片的だったりして、アルバムをしっかり1枚聴いていた訳ではない。
その後、自分の中にも色々なブームが来ては去っていき、当時買いたかったこのアルバムの事はすっかり忘れていたが、中古店の棚で見つけて、にわかに聴きたくなり購入。参加しているのはYMOのメンバーをはじめ、作詞はYMOではお馴染みのクリス・モスデル(Chris Mosdell )、他にも演奏やコーラスで、大村憲司、松武秀樹、鮎川誠、SHEENA、浅田孟、SANDII、立花ハジメ、久保田麻琴などあの周辺のアーティストが勢揃いといった感じ。YMOほどテクノではないのだが間違いなく当時の音がしていて、YMOで唯1人歌えたユキヒロのあの独特な発音と抑揚のヴォーカルをたっぷり聴くことが出来る。当時一世を風靡していたツートーン・スカ風味のリズムが多用され、モータウンの名曲「Stop In The Name Of Love」もスカっぽい雰囲気にアレンジ。とても軽快で心地良い。そこかしこにYMOでも採用されたアイデアが散りばめられているのでファンには堪らない。小学生の時に聴いておくべきだった…。
中古店にて購入(¥750)
- CD (1995/11/22)
- Disc : 1
- Label : キングレコード