岐阜県に点在する様々な珍しいカツ丼を”亜種”と勝手に名付けて食べ歩いている。特に中山道沿いの宿場町には、大まかに言って中津川の「醤油かつ丼」、瑞浪の「餡かけかつ丼」、土岐の「てりかつ丼」など、峠を越える度にそれぞれ違う特徴があったりして面白い。そしてその土岐の隣、多治見にも面白いかつ丼があると知って車を走らせた。それが市役所の西、新町にある「みかわ屋」。真向いは車がひっきりなしに停まる老舗人気和菓子屋「梅園菓子舗」だ。多治見橋の北詰にもこちらと同じ屋号の店舗跡が残っているけれど関係あるのかな? 暖簾をくぐって店の中に入ると、丸椅子のカウンター席、土間にはテーブル席が2つ、小上がり席が3つ。小上がりの方だけは少し新しいようだが他は年季の入った佇まい。調理場には主人が1人。カウンターの上には黒い木札に白文字で品書きが並んでいるが、麺類は少なく酒肴が多い。定食が少なく単品中心なのは呑む人が多いのだろうか。選んだのはもちろん「かつ丼(並)」。
テレビの音だけする店内で粛々と調理が進み「かつ丼」が運ばれた。こちらの「かつ丼」には、薄めのロース肉のかつの上からデミグラスソースがたっぷりとかかっている。他には何も入っていないごくシンプルな姿。少しとろみがあるソースはあまり複雑な味ではなく、昔ながらの少し酸味のあるタイプ。表現する語彙の少なさのせいで”古い食堂や洋食屋で時々巡り合う味”としか説明出来ないが…。ピリッとする辛味は胡椒由来だろうか。これも面白い、そして旨いかつ丼だ。同じようにソース(てり)のかかった土岐の「ちゝや」や「旭家食堂」のようにケチャップ寄りの風味はあまり感じられない。自分の経験でいくと粘度こそ違うけれど岡山の「野村」や「やまと」に味の方向性が似てるかな(ずいぶん前に食べたっきりなのであまりあてにならないが)。いやぁ面白い、岐阜県のかつ丼。(勘定は¥650)
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↓ 近くの「銀座商店街」◇。以前はアーケードにラジオか何かがかかっていたが、それも無くひっそり静か。平日はもう少し開いている店もあるのかな。
↓ スナックが並ぶ「銀座センター」◇。どうも営業している店は少なそう…。
↓ 「旧・衛生湯」(昭和26年・1951・建造)◇。明治13年に開業して平成17年までやっていたそうだ。かなりしっかりとした建物で保存状態も良さそうだが中を見てみたいナ。
↓ 町の洒落た建物といえば写真館。こちら広小路の「小川寫眞館」(建築詳細不明)◇。広く取られた窓と、玄関周りのタイル仕事が素敵。ショーウインドーに薄っすらと逆読みの屋号が見える。
お食事処 みかわ屋 (みかわ屋新町店)
岐阜県多治見市新町1-10-3
( 多治見 たじみ みかわや 三河屋 みかわ屋新町店 大衆食堂 麺類食堂 かつどん カツ丼 デミかつ丼 ドビかつ丼 てりかつ丼 近代建築 銭湯 )