War Ina Babylon / Max Romeo & The Upsetters (1976)
レゲエの歴史を語る上で絶対に外せないアルバムのひとつであるマックス・ロメオ(Max Romeo)の「War Ina Babylon」。表題曲はあらゆるコンピレーション・アルバムに収録されるレゲエのマスター・ピース。自分も数限りなく所有しているはずだが、実はオリジナル・アルバムを丸々聴くのは初めて。もちろんプロデュースは怪人リー”スクラッチ”ペリー(Lee "Scratch" Perry)。ジ・アプセッターズ(The Upsetters)の実態はリー・ペリーのお抱えバンドだったはずだが、メンバーも流動的だったようでこの辺りの話はどうもよく分からない。ま、何しろリー・ペリーの溢れ過ぎる才能を受け止めたミュージシャン達であることは間違いない。
レゲエ・ミュージックはまるで古くからあるジャマイカの民族音楽のように捉えられている場合もあるが、実際はアメリカ南部からのラジオ電波に乗ったソウル、R&Bに影響を受けた60年代以降の新しい音楽。植民地支配や人種差別、宗教、貧困のイシューを歌詞に取り上げ、スカのリズムと結び付いた”反抗の歌”でもある(もちろんそうでないただのラヴ・ソング他もある)。ここで言う「バビロン」も彼らの多くが信仰するラスタファリ思想の対極にある悪徳資本主義を象徴する言葉のはずだ。
(もちろん皆がラスタファリ信仰者ではないだろうが)表題曲もある程度思想的な内容を伴っていると思われるので、宗教に疎い我々日本人にはピンと来ないどころか、さっぱり理解出来ないが、De Police Men(警察官)、De Dreadlocks Man(彼)といったところから想像を膨らませるしかない(話によると英語圏の人達でも何を歌っているかさっぱり分からない場合もあるとか)。何しろ大した語数じゃないのでどれほど歌詞に意味を持たせているのか知らないが、音楽に身を委ねているだけでも気持ちがいいことは確かだ。この頃のリー・ペリー仕事にハズレは無い。
オークションにて購入(¥608)
- CD (1995/4/30)
- Disc : 1
- Format: CD, Import
- Label : ISLAND