北九州市小倉での夜散策。何軒か廻った後に夜の街を楽しもうと更に深部へ足を延ばす。北九州の台所「旦過市場」も夜はもちろんひっそり(写真下左)。そこから脇に入ると何とも雰囲気のある路地があり、両側にお酒の店が立ち並んでいた(写真下右)。LEDの街灯が少し眩し過ぎるが、どこも窓から覗けてしまうような小さい店ばかり。その中の1軒、歴史あるバー「カクテル・しろ」に思い切って入ってみた。
「しろ」は外看板に小倉城らしき絵があったので”城”の事だと思われる。外からドアのカラーガラスを通して中も少し見えたが、やはり初訪のバーは緊張するもの。花や観葉植物が覆っている入口を開けて中へ。中には所狭しとフルーツや小物、グラスなどが並べられたり積まれたりしている。カオス。先客はおらず、名物バーテンダーの老齢のお母さん(御年82歳だそう)1人。カウンター席に腰掛けると目の前には無数の名刺が貼られている。チラッと見るだけで某大企業の社長や重役、某国営放送の女性キャスター、某有名芸能人、など”大物”ばかり。小倉を訪れた際に名物バーに寄っていくのだろう。メニューらしきものは何もないので、何をどう頼めば良いか分からない。とりあえず何か口に入れようと「ギムレット」を注文した。「タンカレー」と「ゴードン」のボトルを取り出したお母さんに「どっちがいい?」と訊かれたので、気分で「ゴードン」をお願いした。
出来上がった「ギムレット」で口を湿らせる。口取りは枝豆。お母さんは特にこちらに話しかけてくる訳ではないので、自分にしては珍しいがこちらから話しかけてみた。この店は創業して60年(昭和34年創業)になるのだとか。沢山あるフルーツを使ったカクテルが主だそうで(そりゃそうだろう)、何でも好きなものを言ってくれればそれに合わせて作るとのこと。これ全部使い切ることが出来るのかと不思議なくらい大量のフルーツの山の中で、グレープフルーツが一番多かったので「グレープフルーツで何かお願いします。」と注文。
特に細々と好みを訊かれる訳でも無くお母さんのカクテル作りが始まる。カットしたピンクグレープフルーツを絞り、サントリーウォッカを足してシェイク。昭和を感じさせるデコラティヴなグラスに塩を付けて注がれ「ピンクソルティドッグ」の出来上がり。まろやかな口当りで香り良く、旨い。スピーカーの調子か時々ステレオになるBGMを聴きながら(笑)美味しくいただいた。「お強いですね。」と言われたので「そうですか?」と答えると、1杯目の呑み方を見て「強くしてるんで。」とのこと。おみそれいたしました。あまりカパカパとカクテルを空けると後が怖いのでこの辺で。いい店があって、酒も肴も旨くて、こんな町に居たらダメになりそうだ(笑)。(勘定は¥2,300)
↓ 門司港近代建築巡りの続き。「三井倶楽部(北九州市旧門司三井倶楽部)」(大正10年・1921・建造)◇。 三井物産門司支店の社交クラブとして建てられた。平成7年(1995)に移設されているので庭や周囲は整然としている。国の重要文化財、近代産業遺産に指定されていて、現在は喫茶やレストラン、展示室などがある。裏手に隣接する建物が完全に和風なのが面白い。
カクテル しろ
福岡県北九州市小倉北区魚町4-2-3
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