日暮里駅の東、谷中墓地から跨線橋を跨ぎ、芋坂を下りたところにある、創業が文政2年(1819)という「羽二重団子」。夏目漱石をはじめとする文豪達の作品にもその名前が出てくる由緒ある店だ。駅から近い場所にも関わらず、周囲には寺もあるし、住宅が多いせいか、のんびりとした雰囲気の感じられるところ。建物の傍には史跡を示した立て札などがいくつも並んでいる。平日の午前とあって店の中もまだ静か。庭の見えるテーブル席に案内された。品書きから煎茶セットを注文。店内では課外授業だろうか、近くの中学生らしきグループが当主を囲んで店の取材中。色々な質問をしていたので、興味深く聞かせてもらった。おっとりとした感じの主人は、「大切にしている事は?」という問いに、「変えないこと」と答えていらっしゃったが、ただ変えないだけでは200年も店が続く訳はない。様々な努力あっての「変えない」なんだろう。
程なくしてお茶と団子が運ばれた。皿の上にのった2本の団子は、1本が醤油味で焼いたもの、もう1本が餡子で包んだもの。どちらも平べったい形をしており、串に4つづつ刺さっている。醤油の方は焼きたてという感じではなかったが、とても柔らかい口当たり。餡子の方は淡い色のこし餡で、甘さは控えめでとても柔らかい。さすが「羽二重」と名のつくだけはある。こりゃ、旨い。
店内には古くから使用された道具や帳簿類、歴史的な遺物などが飾られているスペースがある。上野戦争では敗走した彰義隊が店に侵入したそう。その際に置いて行った武器なども展示されている。すごい。そろそろ何組か客が入ってにぎやかになってきた。お勘定をしてもらっていると、主人から中学生諸君に団子が振舞われていた。今の中学生は団子好きかな。自分が中学生の頃っていうと…、全然好きじゃなかったなァ(笑)。(勘定は¥540)
東京都荒川区東日暮里5-54-3
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