第37期棋聖戦七番勝負第6局が3月13日、14日に静岡県伊豆市で行われた。結果は井山が張栩に黒番中押し勝ちをおさめ、シリーズ成績4勝2敗でタイトルを奪取し、初の棋聖位に就いた。井山はこれで棋聖・本因坊・天元・王座・碁聖・十段を保持することになり史上初の六冠を達成した。張の4連覇は成らなかった。
(日本棋院HPより抜粋)
「井山、棋聖奪取で史上初の6冠」「張栩、10年ぶりの無冠」
(週刊碁、見出しより)
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歴史的な一局となった第6局、前半から井山さんの自在な打ちぶりが際立っており、終盤も確実な収束でした。
無冠となった張さん、第4局時点では2-2のタイにしたものの、若い井山さんの勢いに押されたようですね。
井山さんの六冠達成でTV、新聞は大変なにぎわいでした。関西では号外も出たとか・・・
若きヒーローの誕生。このニュースを機に囲碁に関心をもつ人も増えるでしょう。
そんな人達のためには、棋院はじめ囲碁関係団体は受け入れ態勢(普及活動)が重要ですね。
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ここまで順風満帆の井山さんですが、挫折もあったようです。
今月のNHK「月刊・囲碁講座」、「シリーズ棋士に聞く/敗れざる棋士たち」で語っていました。
最初の挫折は小学2年、3年で「全国少年少女囲碁大会」2連覇を達成。そのご褒美ということで中国の子供大会に参加、結果は「60人中の29位」という成績でした。
日本の小学生ナンバーワンも中国では平凡な位置、それからは慢心しなくなったそうです。
6冠達成のインタビューで「井山さんにとって囲碁とは?」に対し、「一番自分を表現できるもの」と答えていました。
「一番自分を表現できるもの」このフレーズ、大切にしたいですね・・・
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第6局の対局地は静岡県伊豆市の土肥温泉「玉樟園新井」。昨年の棋聖戦第5局もこの地でした。
日本棋院発行の月刊「囲碁未来」に、昨年4月から1年間にわたり「この宿名勝負」というコーナーが連載され、その第3回がこの宿でした。
囲碁・将棋のタイトル戦が行われる宿として有名で、故・藤沢秀行名誉棋聖との縁も深かったそうです。
宴会場に飾られた秀行師の書「磊磊(らいらい)」は師が好んで書いた文字で、「志を遮るものなし、思いのままに大きく生きる」という意味が込められているとのことです。
秀行師らしいと言えばそんな気もしますが、凡人にはムズな境地のようで・・・