先日、某所で病理医の集まりがあったとき、この間出版した私の本の話となった。というか、その本を話題にしていただいた。その病理医の中にはその本の中で扱った狭い領域に興味のある若い病理医がいて、熟読してくれたとのことだった。ずいぶんとほめてくれて、私も嬉しかった。
そんなことがあり、やっと自分の本を読む勇気が湧いた。ようやく拙著を紐解くと、一章一章、一文一文、症例ごと、疾患ごとにいろんなことが思い出された。とくに症例の診断記載用紙のテンプレートのページを開いたときには、そこに自分の病理医としての半生を見たような気がして、コロ健不覚ながらほんの少し涙ぐんでしまった。書き上げることができて本当によかった。支えてくれた関係者の皆さまに改めて感謝したい。
その若い病理医のほかにも、教室でまとめて買って下さった先生とか、上司がさっそく病理診断科の本として購入してましたよ、と伝えてくれる先生などいて、多少は世の中のお役に立つ本ができたのかと胸をなで下ろすことができた。
診断技術の向上は診療技術の向上に