札幌の研修室で、新任の課長さんたちに対する研修講師をしてきました。
テーマは「地方自治体から見た北海道開発局」というもので、地方自治体で国の諸機関を相手にした私の経験から、地方自治体からの信頼を得て共に地域で仕事ができる人材とはどういう人なのか、ということを中心に話をしたのです。
我々転勤族にとってありがちなことは、転勤した先で地域に溶け込んで楽しんだりしようとせず、ただ住まいと職場を往復して貴重な2~3年を過ごすこと。
地域に姿が見えず、今の転勤先を心の故郷として敬愛し理解し、存分に楽しむという姿勢がない人は、与えられている仕事を丹念にこなしていても地域の中で信頼され頼られることはありません。
幼子が嫌な先生を嫌うのに理由はありません。ただ資質を見抜いているだけ。地域を愛していない人を地域の人は見抜きます。
そんな人が信じられることはないし、一緒に仕事をしようという気にならないのも当然です。
マザーテレサはこう言いました。「愛情の反対は憎しみではありません。無関心です」と。
地域に無関心な人は地域に愛情を持っていないということです。
「今仕事をしているところに不満がありますか?今の赴任先は不幸せですか?」
人は未来にも過去にも生きることはできません。今を生きるしかないのならば、喜び溢れて幸せに生きる方が良いでしょう。
そうして地域のファンになり、地域での暮らしをたとえ離れてからでも宣伝してあげればよいのです。「僕は○○で暮らしていたけれど本当に良いところでした」と言えるほどに地元を味わえば良いのに。
そして私が思う「地域に受け入れられる五つの人材像」はこんな感じ。
①好奇心を持って地域をめぐり知識を広げる、②地域に共感し、参加しおもしろがる、③地域に貢献し手伝う姿勢、④一目置かれる何かのある達人になる、⑤別れを悲しんでくれる友人を地元で作る
こういう生き方ができればきっと転勤先は幸せな心の故郷になりますよ。
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なんだか今日はいつもより力の入った講義になりました。
最後に「なにか質問はありますか?」とせっかく時間を取ったのにだれも質問をしてくれなかったのは残念でした。質問は(絶対何か質問をしてやろう)と思って聞いていないとできませんからね。
講義を終えて部屋を出ていくときに何人かから拍手がもらえました。そんなことは初めてだったのでちょっと嬉しく思いました。
さてこれで自らのこれからの生き方が変わる人が何人出るでしょう?それが問題なんですけどね。