不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

大阪の「入れ墨問題」、威嚇はなかった?

2012年06月15日 23時33分39秒 | 政治
 カテゴリーを少し追加して、今まで大阪の情勢について書いたものを「政治(大阪維新の会)」にまとめてみた。今まで「君が代条例」「教育基本条例」などについて書いたことがあるけど、それは「教育」というカテゴリーだったことが多い。都教委に続いて、大阪の教育もとんでもない事態になっているなあ、と東の方から見て考えたことを書いた。しかし、今になってみると、単に教育問題だけではない、「政治運動」になりつつある。「ハシズム」というか、新自由主義というか、極右運動ととらえるか、「日本版ティーパーティ運動」と考えるべきか。まだまだ不定形のモヤモヤとした部分が多く、本人たちも含めて一体自分たちは何をしようとしているのか、わからないところが多いのではないか。

 さて、最近大きな話題になったことに「入れ墨職員問題」がある。大阪市で2月、「児童福祉施設の男性職員が、子どもたちに腕の入れ墨を見せて威嚇していた」という問題が起こった。そもそもどうして問題化したのか、ちょっと調べてみたけれどよく判らなかった。とにかく、その問題を受けて橋下市長は「刺青をしたまま公務員にとどまるのはおかしい」と問題視して、全職員に調査を実施したわけである。

 ところが、この「入れ墨で威嚇」自体がなかったという報道があった。6月9日の朝日新聞(大阪)の記事にあったようで、このブログにある。僕が知ったのは、大阪の教育問題を追及している「教育基本条例NO!」のブログを通して。

 重大な部分を引用してみると、「威嚇の事実、確認できず」とある。
 
 「調査の発端となった児童福祉施設の男性職員のケースはどうだったのか。市は「詳細は不明」としつつ、「公務員になる前の調理師時代の入れ墨ではないか」と説明。調査の過程で「子どもを脅した」とする当初の新聞報道と異なる実態が見えてきたという。市によると、この職員は施設で調理を担当。熱湯が入った大鍋や包丁などが並ぶ調理場で子どもたちがふざけないよう、厳しい口調で注意したという。「入れ墨で威嚇した」という事実は確認できなかった。

 この職員は、危ない職場で子供たちがふざけないように注意しただけで、「入れ墨で威嚇した」ということ自体がなかったというのである。じゃあ、調査だ、答えないのはけしからん、処分だ、などと市長が意気込んでやってきたことは何だったんだろうか。

 そして、この問題は「公務員が入れ墨をしていいのか」という風に報道されているけれど、逆に考えると「一度でも入れ墨をしたことがある人は、公務員試験に合格させてはならないのか」という問題である。この職員の場合、前歴の調理師時代の入れ墨ではないかとのこと。福祉施設の調理員という現場職員に、そういう人が応募してはならないのだろうか。

 だからこそ、解放同盟大阪府連は「重大な人権侵害」と抗議したと記事にある。
 
 被差別出身者が公務員に採用されるに至るまでの経緯をこう説明した。「地区は差別の結果、就職の機会均等が保障されず、不安定な就労実態にあった。安定した仕事もなく貧困のもとにおかれていた」「解放運動の仕事保障運動によって公務員採用の通が開けた」
 大阪府連合会のある幹部は言う。「若いときに粋がって遊び心で入れてしまい、後悔している人が多い。再起を誓い公務員になった人々もいる。(調査は)過去への制裁だ」

 こうしてみると、「公務員が入れ墨をしていいのか」などと短絡的にとらえるような問題ではないことがよくわかる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする