アメリカによるシリア攻撃を先に「国際法違反」と書いた。「集団的自衛権」の行使じゃないことははっきりしてるし(アメリカの単独行動だから)、アメリカが攻撃されたわけでもないので「個別自衛権」の発動にもならない。だけど、違法と自ら認めてしまうわけにもいかないから、「化学兵器がアメリカに使われる恐れがある」から「自衛権の行使だ」と言い続けるしかない。
それはともかく、「国際法違反の侵略戦争」だとアメリカを非難している人もかなりいるけれど、それはどうなんだろうか。まあ、国際法違反の武力行使は全部「侵略戦争」だとも考えられる。「侵略」という言葉の定義次第だとも言える。ただ地上軍を送らず、アサド政権打倒をも目指していない(現段階では)ことを考えると、通常の考え方で言う「侵略」とは少し違っている。
アメリカが攻撃したのは、政権の本拠地から遠い軍事基地に限られ、直ちに政権打倒を目指していないことはロシアに対しても明確になっていると思う。じゃあ、何なんだというと、まさに「懲罰的軍事行動」というようなもんだろう。(もちろん、それは「侵略」だとも言えるが。)歴史的に考えると、アメリカのパナマ侵攻作戦とか、グレナダ侵攻。あるいは1979年の中国による「ベトナム懲罰戦争」(中越戦争)もあるだろう。まあトランプが習近平に「国際的前例は中越戦争だ」とは説明していないだろうけれど。
アメリカだけでなく、ロシアも近隣の(自分の方からは)「勢力園」だと考えているところでは、軍事行動を繰り返している。ウクライナ東部の親ロシア勢力には間違いなく軍事援助をしていると思う。またジョージア(グルジア)のアブハジア自治州は事実上「独立」状態にあるが、ロシアの軍事援助がある。それに内戦中のシリアでアサド政権に対して、ロシアが全面的に軍事支援をしていることも「国際法違反」に近い。(アサド政権が「正統政権」であるのは確かだから、必ず違反だとは非難できない。)
しかし、シリアはアメリカの勢力圏ではない。本気でアサド政権打倒まで考えるならば、地上軍を投入してロシアと全面対決する決心がいる。2013年の化学兵器問題の時には、オバマ政権でそこまで行われる可能性があった。中東に関して「より深刻な危機」だったのである。だが、今回は地上軍の投入を考えているとは思えない。ただ、問題によっては「懲罰的軍事行動」を辞さないということなのである。だから、その軍事行動の対象に「北朝鮮」がなってもおかしくない。アメリカから見て「超えてはならないライン」を超えると、懲罰的軍事行動の可能性があるということなのである。
そして、そこにこそ今回のシリア攻撃の一番の問題点がある。ツイッターによる「トランプ砲」では、友好国であれ民間企業であれ、どこが標的になるか判らない。だから友好国首脳であっても、トランプ政権を「忖度」して「戦々恐々」にならざるを得ない。一方、今回の攻撃で反米国では「いつ難癖を付けられて攻撃されるかもしれない」という「恐怖」を植え付けられたのは間違いないだろう。単に「北朝鮮」に止まらず、ベネズエラとかエクアドル(ウィキリークスのアサンジをロンドンの大使館で匿っている)、あるいは内戦の続くイエメンなども標的にされる可能性があるのではないか。
ところで、このシリア攻撃に限らず、それをもたらした化学兵器問題なども、本来は国連安保理で討議して結論を出すべきものだろう。だけど、ロシアが拒否権を使うから何も決定できない。それはアメリカや中国に関しても同様だ。中国は南シナ海での「海洋進出」問題で、国際司法裁判所の判決に従っていない。初めから従う気がないから、国際司法裁判所で自国の主張をしていない。こういう風に、「大国は何をしてもいい」制度はおかしいではないか。
そう思うけれど、拒否権をなくす安保理改革はできない。それこそ拒否権を行使されるから。それに拒否権がないと、国連に入っている必要がないと脱退しかねない。そもそも国際的平和機関から、自分の言い分が通らないから脱退するという先例を最初に作ったのは、日本じゃないかと世界中から言われてしまうのがオチだ。そういう日本のような国を出しては無意味だから、あえて国際連合では拒否権という仕組みを作ったわけである。だから拒否権は当面やむを得ない。
だから、アメリカかロシアか中国が味方に付いてくれれば、何も決まらないことになる。(イギリスとフランスもあるけど、イギリスは通常アメリカと同じ判断に立つし、フランスはアフリカの自国勢力圏以外には軍事的行動をしない。フランスがアフリカ中部でイスラム過激派に軍事行動を起こすのは問題もあるけど、アメリカもロシアも中国も支持してしまうから問題にならない。)
それは国連や国際司法裁判所は、軍事的執行機関がないんだから、他国への強制力を持たない以上どうしようもない。法律は作れても、警察がないのと同じである。では「常設の国連軍」を作ればいいのか。その問題は昔から議論はされるけれど、誰もそのためにお金を出さないだろう。自国に反するような行動を取るかもしれない「常設国連軍」に資金と人員を提供する大国はないだろう。それにそういう組織が、あまりにも強大な力を持ってしまうのも、いいことばかりではないはずだ。
それでも議論の場としての安保理がある限り、詭弁でも何か言わないといけない。それは「ないよりはまし」だと思うしかない。だが、強大国に踏みにじられる側の国、あるいは国家を形成できない少数民族には、この仕組みは納得できないだろう。どうすればいいのか、誰にも答えはない。
それはともかく、「国際法違反の侵略戦争」だとアメリカを非難している人もかなりいるけれど、それはどうなんだろうか。まあ、国際法違反の武力行使は全部「侵略戦争」だとも考えられる。「侵略」という言葉の定義次第だとも言える。ただ地上軍を送らず、アサド政権打倒をも目指していない(現段階では)ことを考えると、通常の考え方で言う「侵略」とは少し違っている。
アメリカが攻撃したのは、政権の本拠地から遠い軍事基地に限られ、直ちに政権打倒を目指していないことはロシアに対しても明確になっていると思う。じゃあ、何なんだというと、まさに「懲罰的軍事行動」というようなもんだろう。(もちろん、それは「侵略」だとも言えるが。)歴史的に考えると、アメリカのパナマ侵攻作戦とか、グレナダ侵攻。あるいは1979年の中国による「ベトナム懲罰戦争」(中越戦争)もあるだろう。まあトランプが習近平に「国際的前例は中越戦争だ」とは説明していないだろうけれど。
アメリカだけでなく、ロシアも近隣の(自分の方からは)「勢力園」だと考えているところでは、軍事行動を繰り返している。ウクライナ東部の親ロシア勢力には間違いなく軍事援助をしていると思う。またジョージア(グルジア)のアブハジア自治州は事実上「独立」状態にあるが、ロシアの軍事援助がある。それに内戦中のシリアでアサド政権に対して、ロシアが全面的に軍事支援をしていることも「国際法違反」に近い。(アサド政権が「正統政権」であるのは確かだから、必ず違反だとは非難できない。)
しかし、シリアはアメリカの勢力圏ではない。本気でアサド政権打倒まで考えるならば、地上軍を投入してロシアと全面対決する決心がいる。2013年の化学兵器問題の時には、オバマ政権でそこまで行われる可能性があった。中東に関して「より深刻な危機」だったのである。だが、今回は地上軍の投入を考えているとは思えない。ただ、問題によっては「懲罰的軍事行動」を辞さないということなのである。だから、その軍事行動の対象に「北朝鮮」がなってもおかしくない。アメリカから見て「超えてはならないライン」を超えると、懲罰的軍事行動の可能性があるということなのである。
そして、そこにこそ今回のシリア攻撃の一番の問題点がある。ツイッターによる「トランプ砲」では、友好国であれ民間企業であれ、どこが標的になるか判らない。だから友好国首脳であっても、トランプ政権を「忖度」して「戦々恐々」にならざるを得ない。一方、今回の攻撃で反米国では「いつ難癖を付けられて攻撃されるかもしれない」という「恐怖」を植え付けられたのは間違いないだろう。単に「北朝鮮」に止まらず、ベネズエラとかエクアドル(ウィキリークスのアサンジをロンドンの大使館で匿っている)、あるいは内戦の続くイエメンなども標的にされる可能性があるのではないか。
ところで、このシリア攻撃に限らず、それをもたらした化学兵器問題なども、本来は国連安保理で討議して結論を出すべきものだろう。だけど、ロシアが拒否権を使うから何も決定できない。それはアメリカや中国に関しても同様だ。中国は南シナ海での「海洋進出」問題で、国際司法裁判所の判決に従っていない。初めから従う気がないから、国際司法裁判所で自国の主張をしていない。こういう風に、「大国は何をしてもいい」制度はおかしいではないか。
そう思うけれど、拒否権をなくす安保理改革はできない。それこそ拒否権を行使されるから。それに拒否権がないと、国連に入っている必要がないと脱退しかねない。そもそも国際的平和機関から、自分の言い分が通らないから脱退するという先例を最初に作ったのは、日本じゃないかと世界中から言われてしまうのがオチだ。そういう日本のような国を出しては無意味だから、あえて国際連合では拒否権という仕組みを作ったわけである。だから拒否権は当面やむを得ない。
だから、アメリカかロシアか中国が味方に付いてくれれば、何も決まらないことになる。(イギリスとフランスもあるけど、イギリスは通常アメリカと同じ判断に立つし、フランスはアフリカの自国勢力圏以外には軍事的行動をしない。フランスがアフリカ中部でイスラム過激派に軍事行動を起こすのは問題もあるけど、アメリカもロシアも中国も支持してしまうから問題にならない。)
それは国連や国際司法裁判所は、軍事的執行機関がないんだから、他国への強制力を持たない以上どうしようもない。法律は作れても、警察がないのと同じである。では「常設の国連軍」を作ればいいのか。その問題は昔から議論はされるけれど、誰もそのためにお金を出さないだろう。自国に反するような行動を取るかもしれない「常設国連軍」に資金と人員を提供する大国はないだろう。それにそういう組織が、あまりにも強大な力を持ってしまうのも、いいことばかりではないはずだ。
それでも議論の場としての安保理がある限り、詭弁でも何か言わないといけない。それは「ないよりはまし」だと思うしかない。だが、強大国に踏みにじられる側の国、あるいは国家を形成できない少数民族には、この仕組みは納得できないだろう。どうすればいいのか、誰にも答えはない。