木内一裕原作の「アウト&アウト」がきうちかずひろ監督の脚本、監督で映画化された。つまり作者本人である。「木内一裕」は小説家で、映画化された「藁の楯」など10冊以上の犯罪小説がある。「きうちかずひろ」(1960~)は漫画家で、一世を風靡した「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の作者である。1991年には映画監督に進出し、「BE-BOP-HIGHSCHOOL」(1994)などを作った。

「アウト&アウト」が長編6作目になるが、今までの作品はほとんど知らなかった。東映Vシネマなどはなかなか劇場で見る機会がない。その中では、「鉄と鉛」(1997)を渡瀬恒彦の追悼特集で見た。探偵とヤクザの渋いつながりにしびれる映画で、こんな和製フィルムノワールがあったのかと驚いた。今度の「アウト&アウト」もあまり大きな公開じゃないけど、たまたま地元近くでやってたので、ぜひ見たいなと思った。今度も渋い設定にうなる傑作ノワール映画だ。
主役の探偵矢能を演じる遠藤憲一が実にはまり役。ちょっと前まで有力暴力団の幹部だったという経歴から、今も警官に付きまとわれている。何か事件があって、訳ありで預かっている小学2年生の「栞」(しおり)が事実上探偵事務所の受付をしている。そのアンバランスさが魅力的で、子役の白鳥玉季が可愛い。重い過去を背負いながら気丈に矢能を心配している姿に心動かされる。
ほとんど仕事もないような探偵だけど、知り合いの暴力団長や情報屋が出入りしている。ある日、「取引」の現場に立ち会って欲しいと依頼され、指定された場所に出向くと依頼人は殺されていた。現場にはマスクをした犯人がまだ現場に残っていた。事情も判らないまま殺人事件に巻き込まれた矢能は、謎を探り始める。殺された男が名乗った名前を調べると、去年カンボジアで交通事故死していた。次第に政治家の影が見えてきて、謎めいた道場主とその弟子が浮かび上がる。
主筋は案外あっさりと割れるけど、他の話がいろいろと混入してきて、一体どうなるかと思うとアッというラスト。まあこれは無理筋だと思うが、娯楽映画には許されるか。こういう映画は「探偵」役の作り方に成否がかかる。日本じゃ「私立探偵」にリアリティがない。離婚調査や保険会社の調査員ならともかく、殺人事件を探偵が解決するというのは無理だ。「ヤクザ」が絡んでくるのも難しい。この映画では「不愛想な元ヤクザ」という設定で、いかにもそれっぽい遠藤憲一が存在感を発揮。なぜ女の子がいるのか、事情を想像しながら見ていると、次第に何となく判ってくる。

「アウト&アウト」が長編6作目になるが、今までの作品はほとんど知らなかった。東映Vシネマなどはなかなか劇場で見る機会がない。その中では、「鉄と鉛」(1997)を渡瀬恒彦の追悼特集で見た。探偵とヤクザの渋いつながりにしびれる映画で、こんな和製フィルムノワールがあったのかと驚いた。今度の「アウト&アウト」もあまり大きな公開じゃないけど、たまたま地元近くでやってたので、ぜひ見たいなと思った。今度も渋い設定にうなる傑作ノワール映画だ。
主役の探偵矢能を演じる遠藤憲一が実にはまり役。ちょっと前まで有力暴力団の幹部だったという経歴から、今も警官に付きまとわれている。何か事件があって、訳ありで預かっている小学2年生の「栞」(しおり)が事実上探偵事務所の受付をしている。そのアンバランスさが魅力的で、子役の白鳥玉季が可愛い。重い過去を背負いながら気丈に矢能を心配している姿に心動かされる。
ほとんど仕事もないような探偵だけど、知り合いの暴力団長や情報屋が出入りしている。ある日、「取引」の現場に立ち会って欲しいと依頼され、指定された場所に出向くと依頼人は殺されていた。現場にはマスクをした犯人がまだ現場に残っていた。事情も判らないまま殺人事件に巻き込まれた矢能は、謎を探り始める。殺された男が名乗った名前を調べると、去年カンボジアで交通事故死していた。次第に政治家の影が見えてきて、謎めいた道場主とその弟子が浮かび上がる。
主筋は案外あっさりと割れるけど、他の話がいろいろと混入してきて、一体どうなるかと思うとアッというラスト。まあこれは無理筋だと思うが、娯楽映画には許されるか。こういう映画は「探偵」役の作り方に成否がかかる。日本じゃ「私立探偵」にリアリティがない。離婚調査や保険会社の調査員ならともかく、殺人事件を探偵が解決するというのは無理だ。「ヤクザ」が絡んでくるのも難しい。この映画では「不愛想な元ヤクザ」という設定で、いかにもそれっぽい遠藤憲一が存在感を発揮。なぜ女の子がいるのか、事情を想像しながら見ていると、次第に何となく判ってくる。