尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

藤田宜永、奈良原一高、梓みちよ、高木守道等-2020年1月の訃報

2020年02月06日 23時03分25秒 | 追悼
 訃報を聞いて思うことは僕の知らない世界が多いなあということだ。宍戸錠の訃報を書いたが、その時点では死亡日時がはっきりしていなかった。1月18日死亡と判明した。

 作家の藤田宜永(ふじた・よしなが)が1月30日没、69歳。肺がん。2001年に「愛の領分」で直木賞を受賞した。妻の小池真理子も直木賞を受賞している。恋愛小説の名手なんて書いた記事もあったが、ミステリーや冒険小説には直木賞が厳しいだけだろう。日本推理作家協会賞を受賞した大冒険小説「鋼鉄の騎士」が最高傑作だと思う。若い頃に在住したパリの雰囲気が濃厚に漂うノワール小説が僕は大好きだった。「探偵・竹花『加齢』なる挑戦」を2015年に書いている。
(藤田宜永)
 写真家の奈良原一高(ならはら・いっこう)が19日死去、88歳。写真家の世界もあまりよく知らないが、名前ぐらいは知っていた。この前見た「窓」展に「王国」(1971)から出展されていて、刺激的だった。修道院や女子刑務所を撮影したものである。軍艦島や桜島を撮影した「人間の土地」(1956)で衝撃を与えた。その後スペインやヴェネツィアなどヨーロッパの写真を多く手掛けた。
 (人間の土地)(王国)
 歌手の梓みちよ(あずさ・みちよ)の訃報が2月に入って伝えられた。1月29日に自宅で倒れていたところを発見されたという。76歳。福岡の高校を中退して宝塚音楽学校へ入学し、在学中にナベプロのオーディションに合格したんだという。1963年に「こんにちは赤ちゃん」が超大ヒット。幼き記憶でも皆が知っていた歌だが、20歳だったので長く重荷に感じることになる。低迷期をはさんで、1974年に「二人でお酒を」がヒットして「大人の歌手」として戻ってきた。その頃は僕もテレビで歌番組をよく見ていて、非常によく覚えている。他に「メランコリー」など。何だか寂しい感じがするなあ。
 (梓みちよ)
 元プロ野球選手の高木守道が17日死去、78歳。中日ドラゴンズで活躍、中日監督も2回にわたって務めた。僕は中日ファンじゃなかったから、あまり覚えていることはないんだけど、もちろん名前は知っている。ベストナインに7回選出され、オールタイムでベスト二塁手と言われることもあるという。僕の子どもの頃は巨人9連覇の時代で、10連覇を阻んだ1974年に活躍した。監督としては有名な1994年の「10・8決戦」で敗れた人である。巨人、中日が同率首位で最終戦を迎えて、最後の130試合目に勝った方が優勝というドラマである。結果は6対3で巨人の勝利。通算安打2274本で歴代16位。
(高木守道)
 元女優の青山京子が死去。1月12日、84歳。1967年に小林旭と結婚して引退した。朝日は「小林みどり」と本名で訃報を報じていた。しかし、三島由紀夫原作の「潮騒」の第一回目の映画化でヒロイン役の初江を演じた人である。後に吉永小百合や山口百恵、堀ちえみなどが演じた役なんだから、女優として記憶されるべきだろう。女優の原知佐子の訃報もあった。1月19日、84歳。こちらは映画監督実相寺昭雄の夫人。テレビで「赤い疑惑」などのシリーズで知られた。50年代末から最近まで映画に出演しているが助演なので覚えてないのも多い。「黒い画集 あるサラリーマンの証言」で小林桂樹の不倫相手役だった。この映画はいかにも松本清張らしいイヤな映画だった。
(青山京子)(原知佐子)
 評論家の坪内祐三が死去。1月13日、61歳。年齢からしてビックリした。文芸を中心に多くのジャンルを越境したエッセイやコラムを書いた。僕は「靖国」を読んだが、全然評価できなかった。
(坪内祐三)
 外国では、アメリカの元バスケットボール選手のコービー・ブライアントがヘリコプターの事故で26日に死去、41歳。NBAの大スターだったと言うんだけど、僕はよく知らない。「コービー」という名前は神戸に由来するんだとか。1996年から2016年までレーカーズで20シーズン活躍した。

 ロッテ創業者の重光武雄が1月19日に死去、98歳。本名は辛格浩。1944年に早稲田実業を卒業し、1948年にロッテを創立した。朝鮮出身者として大製菓会社を成功させたんだから大した実業家だが、1965年の日韓国交樹立後は韓国でロッテ財閥を作り上げた。しかし、晩年には経営権をめぐって長男と次男が骨肉の争いを繰り広げる一方、自らも秘密資金疑惑で横領や脱税で韓国で起訴された。有罪になったが高齢のため収監されず、ソウルの病院で死去。
(重光武雄)

上原正三、2日死去、82歳。シナリオライター。円谷プロで「ウルトラセブン」などを担当。沖縄出身で差別などを取り込む作風で知られた。著書に「キジムナーkids]がある。
大野慶人(よしと)、8日死去、81歳。舞踏家。父は大野一雄。土方巽の「暗黒舞踏」でデビューし、世界で活躍。
田村さと子、19日死去、72歳。詩人・翻訳家。ラテンアメリカ文学を多く翻訳した。
無量塔蔵六(むらた・ぞうろく)、31日死去、92歳。ヴァイオリン製作者。西ドイツでマイスターの資格を取得、1979年に日本で学校を設立。非常に高く評価されたヴァイオリン製作者で、昔は一般的にもかなり知られていたと思う。岩波新書に「ヴァイオリン」がある。
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