尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

肺炎恐るべし-肺炎の原因を探る

2020年03月02日 22時17分12秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 新型コロナウイルス問題を考えるに当たって、ちょっと「肺炎」と「日本人の死因」について考えてみたい。新型だろうが旧型だろうが、要するにコロナウイルスとは「風邪を起こすウイルス」である。「風邪」というのは「上気道のウイルス感染」。咳やくしゃみが出て、発熱・頭痛・喉の痛みなどが起きる。一度も経験してない人はいないだろう。一年に一回ぐらい風邪気味になるもんだ。しかし風邪そのもので生命の危機に陥ることはほとんどない。そのうち自然治癒することが多い。しかし高齢者や他の疾患(高血圧、心臓病、糖尿病など)を持っている場合、重症化して「肺炎」になることがある。

 風邪より重い症状が出るものに「インフルエンザ」がある。インフルエンザウイルスの感染で、症状は風邪と大体一緒だが発熱は40度になったりする。毎年じゃないけど、人生で何回かはかかったことがあるだろう。こっちは肺炎にならずとも亡くなることがある。一年にどれぐらいインフルエンザで死んでいるか。厚生労働省の人口統計を調べてみると、2017年は2569人、2018年は3323人となっている。えっと驚くような数字だ。マスコミは新型コロナウイルスの死者しか報道しない。意識しないだけで、その何十倍かの人がインフルエンザで死んでいる。

 そしてインフルエンザも「肺炎」を起こすことがある。新型コロナウイルスも新型だから免疫がうまく働かず「肺炎」になって死ぬ人がいる。だから問題は「肺炎」なのである。だけど、ここで注意するべきなのは、肺炎はウイルスだけから起きるものではないということだ。というか、諸資料で調べてもはっきりした数字は出て来ないが、ウイルスよりも細菌で起きる肺炎の方がずっと多いとされる。肺炎を起こす細菌は肺炎球菌インフルエンザ菌(ウイルスではない)、黄色ブドウ球菌などである。

 細菌性肺炎の半分は肺炎球菌だというが、マイコプラズマクラミジアの肺炎もある。時々報道される温泉施設でのレジオネラ菌も肺炎の原因である。他に真菌(カビ)や寄生虫による肺炎もあって、ウイルス性肺炎は全体の15~30%程度だとされている。新型コロナウイルスいくら大流行しても日本で1万人が死ぬとは考えられない。しかし、一年間で肺炎で94654人(2018年)が亡くなっている。その相当部分は細菌によるものなのだ。新型コロナウイルスだけを恐れても肺炎は防げない。

 さらに肺炎が恐ろしいのは、「市中肺炎」と「院内肺炎」という違いがあることだ。入院48時間以内の肺炎を「市中肺炎」と呼ぶという。じゃあ「院内肺炎」とは何かというと、病院内で抵抗力が弱った人や人工呼吸器が原因で起きる肺炎だという。「肺炎」を「老人の友」と呼ぶそうだが、入院して体力が弱っている人は元々の入院原因の心臓や肝臓などと別に、肺炎を発症してしまうと取り返しが付かない。

 新型コロナウイルスも若い世代、元気な人が死亡する危険性は非常に低いだろう。しかし、病院や高齢者施設などで「院内感染」が起きたら大変な事態になる。今回も医療関係者の感染が中国でも日本でもかなり見られる。時には学校を閉鎖することもありうるとは思うが、それは若年世代を守るというよりも高齢世代を守る取り組みとしての効果である。学校を一斉に休校することで、医療・福祉関係者の家庭が大変になって医療・福祉の現場がかえって疲弊するという指摘もある。

 もう一つ、肺炎で大変なのは「誤嚥(ごえん)性肺炎」である。死因統計では別立てになっていて、2018年には38462人も亡くなっている。「誤嚥」という言葉も昔は聞いたこともなかったが、最近はよく聞くから大体の人は読めるだろう。物を飲み込む嚥下(えんげ)機能が衰えて、口から唾液や食べ物が食道へ入らず気管に入ってしまうことである。その時に一緒に細菌が入って発症するわけである。若い時はほとんど意識しないだろうが、確かに年齢が高くなると「誤嚥」が多くなる。柔らかいものばかり食べていると、嚥下機能が下がってしまうというから注意。

 今年は暖冬だったからか、あるいは手洗い等をしているからか、自分は例年よりも元気だ。今冬は一度も風邪を引いてない。花粉症も全然ないから、マスクもしない。マスクをすると苦しい。体質的に身につけるものが苦手で、イヤホンや腕時計などもしてない。まあマスクに感染防止の期待はできないが、どうもマスクぐらいしてないと肩身が狭い感じがしてしまう。別に咳もしてないんだから、いいんだろうが。それでも時々咳をしてしまうこともあるが、それは大体唾の飲み込み失敗による「誤嚥」である。自分もまずはそれを気をつけないと。肺炎恐るべし
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