尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「第4波」と「ワクチン敗戦」、効果が薄い「まん延防止重点措置」

2021年04月19日 22時46分53秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 新型コロナウイルス問題をしばらく書いてない。そうなるだろう方向にただ一日一日動くだけで、書く意味を見出せなくなっている。映画館などには行っているが、この間の経験でただ行くだけならほとんど問題はないことが判っている。外食はほとんどしないが、それは何もコロナが怖いからではなく、若い頃のように食べないのである。

 この間、来ると言われていた「第4波」が現実のものとなってきた。特に大阪では過去最高の感染者数を毎日のように更新している。グラフを見れば一目瞭然だが、対応は過去最高になっていない。ちょっと今までの対応を振りかえっておきたい。2度目の緊急事態宣言1月7日に首都圏4都県に出された。その後14日に近畿3府県、東海2県、福岡、栃木にも緊急事態宣言が拡大された。2月8日にさらに1ヶ月延長された。(栃木県は延長せず解除。)
(大阪府の感染者数)
 しかし、首都圏を除く6府県に関しては2月28日に期限を待たずに解除された。首都圏4都県はさらに延長されたが、3月21日をもって解除された。菅首相は記者会見で、「1都3県の感染者数は、1月7日の4,277人から、昨日の725人まで、8割以上減少しています。東京では、2,520人から、本日は323人となり、解除の目安としていた1日当たり500人を40日連続で下回っております」と述べて解除を正当化していた。
(東京の感染者数)
 しかし、東京は4月7日以来、日月を除き500人を超えてしまっている。大阪に至っては最近はずっと1000人を超えていて、人口からして東京の比ではない爆発的感染になっている。すでに「医療崩壊」しているとの声も聞かれる。大阪府では政府に再度の緊急事態宣言を出すと述べている。この間、4月5日から大阪、兵庫、宮城に「まん延防止等重点措置」が発令されている。12日から東京、京都、沖縄に、20日から埼玉、千葉、神奈川、愛知に追加された。

 「まん延防止等重点措置」というのは、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」にある措置で、法律の中で「蔓延」ではなく「まん延」と書かれている。これは一体何だろうかということは今は書かないけれど、大方の人はあまり意味が無いのではないかと思っている。「緊急事態宣言」がある間は、それが「錦の御旗」になっていた。一転して「解除」されたとなると、今度は多くのことがなし崩し的に解禁されてしまった。

 東京では解除時点ですでに感染者数が増加傾向にあった。しかし、解除されたら途端に近くの中学校では部活動が始まり、映画館でも上映時間が繰り下げられた。「まん延防止」が発令されても、何も変わっていない。むしろ「まん延防止」が始まった日から、大手映画館では11時頃まで上映している。解除された時期が、桜が満開になり、年度末の異動、卒業進学の時期と重なる。それは誰でも判っていることなのに、何で昨年と同じように政府は「間違ったメッセージ」を出すのだろうか。「聖火リレー」が始まるときに、「緊急事態」ではまずいということなのか。

 「緊急事態」が解除されると、何もなくなってしまう。本来はそこで「まん延防止」に移り、さらに減れば「まん延防止」が解除になるということでなくてはおかしい。なんでこうダラダラ発令したり、解除したりを繰り返すのか。そのことに政府は何も説明せず、責任を負う人もいない。今回の再度の感染者増加は政治の責任ではないのか。さらにワクチン接種が全く進まない問題がある。ワクチンが来ないということもあるが、仮にワクチンが届いていたとしても人員もそろわず接種が進まなかったに違いない。それはもう確実だ。
(当初のワクチン接種計画)
 4月12日から、高齢者へのワクチン接種が始まった。ということになっている。しかし、それはほんのわずかの例外中の例外の場合で、多くの市区町村では何の連絡も来ていないだろう。そもそも高齢者接種が始まったことが、それに先立つ医療従事者への接種が終わったことを意味しない。12日段階で、2回接種が終わった医療従事者は12%、1回目の接種が終わった人は24%だという。首相が言ってしまったから、12日に一部で高齢者接種を始めたんだろう。だが日本はまだ高齢者への接種に進める段階ではなかったのだ。

 説明もないまま再度の緊急事態宣言が近づいている。国会では野党が何回も「第4波なら総辞職では済まない」と追求していた。僕は常識で判断すれば、こうなることは予想できたと思っている。何もしなくても支持率が下がらない(むしろ上がっている)国では、政府が緊張感を持たずにいられる。国会議員や中央省庁にも年度末に会食する人がいたのも当然だろう。
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