prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

ドアの外開き内開きあれこれ

2005年03月03日 | 重箱の隅
山田洋次の「虹をつかむ男」で、映画館のドアが内開きになっていたのには驚いた。
映画館に限らず、大勢の人が集まるところのドアは必ず外開きだ。そうでなかったら、火なり地震なりで避難する時、後ろから押し付けられてドアが開かなくなってしまうではないか。撮影所の人間は映画館に行っていないのだろうかと疑ったくらいの凡ミス。

ついでにウンチクをたれますと、銀行の扉は必ず内開きです。強盗が入った時、外開きにしておくと、そのまま扉を突いて開けて逃走してしまいますからね。内開きにして、いったん立ち止まらせて、わずかでも時間を稼ぐようにしているわけです。
先日、落とし物を取りに行って気付いたけれども、警察署もそうだった。

ホテルの客室の扉も内開きです。廊下に向かっていきなり扉を開けたら、誰にぶつかるかわかりませんからね。
ビリー・ワイルダー(合掌)の「深夜の告白」で、外に開いたホテルのドアに人が隠れるシーンがあったけれど、これは知っていてついた映画のウソ。ワイルダー自身、誰も気がつかなかったとうそぶいている。

三谷幸喜の「みんなのいえ」で、デザイナーと大工が玄関のドアを外開きにするか内開きにするかでもめたが(ワイルダーを真似したかな)、なんでそうするのかという理由付けがないので、なんだか物足りなかった。

森村誠一の「東京空港殺人事件」でも外に開いたドアに隠れて隣の部屋に出入りするという場面がありますが、これはまったくの偶然(それも二回も!)という設定なので、ウソがバレバレ。似たような“ミス”であっても、扱い次第でただの欠点か劇的効果を優先したウソか分かれるということになる。