prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「エマニュエル」

2025年01月15日 | 映画
冒頭、飛行機で髭面の東洋人と乗り合わせたエマニュエル(ノエミ・メルラン)がつと立ってトイレに姿を消す。斜め後ろからの顔はよく見えないが、代わりに太腿はよく見える思わせぶりなアングルで撮られていて、半世紀も前の「エマニエル夫人」の飛行機セックスの再現なわけだが、ひょいと場面がとぶともう男はトイレにいてエマニュエルと無機的なピストン運動で交わっている。男がトイレから出るシーンもないので、行為の前後に思わせぶりな前戯、後戯が置かれるということが基本的にない。

男の側の一方的な劣情妄想を切り捨てているフェミニズム的な作りということになるだろうが、女の方の劣情まで切り捨てたみたいで、「サスペリア」のルカ・グァダニーノ 版リメイクみたいに、わざわざリメイクでやらないで別にオリジナルでやればいいのにと思ってしまう。それだと比較対照にならないからではあるだろうが。

土台、今回見てみる気になったのはかなりフェミっぽい匂いがしたからで、これまでシルヴィア・クリステル以外のエマニエルは全部パスしたし、オリジナルの「エマニエル夫人」だともうあからさまに東洋人差別がばりばりに出ていたのだが、そのあたりPC的に遺漏なく収まっているのが逆になんだかむずむずする。

エマニュエルに性的に奉仕する男たちが実行役と指示役とで別になっていてしかも指示役が主というラストの図(つまり直接は絡まない)に、なんだか面倒くさいなあと思う。

どうでもいいけど、ノエミ・メルランは左利きなのね。箸を左手で上手に使っている。