prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「座頭市」

2003年10月12日 | 映画
時代劇、とか、座頭市といった枠が決まっているから、いつものたけし映画のように脚本を作らない作り方でもそれほどバラバラにはならないが、敵の黒幕の正体がミエミエで通すのかと思うと無理にひねったり、ラスト市の目が…というのは感心しない。時代劇には(定型)(御存知)の楽しみというのも大きいと思うので。

現代劇でのドンパチと違ってチャンバラだと、タメがなくていきなり斬り合いが始まって終わる、というのだと、どうも気がいかない。血しぶきはCGだろうか、今まで見たことのない効果があがっていた。人体に突き刺さっている刀の合成の出来は今一つだが。刀を抜いた拍子や持ったままおじぎしたりして隣の人間を切りそうになったりするのが、リアルかつ可笑しくていい。

朝日新聞の読者欄の投書で、百姓の鍬の使い方が変、あんなに高く鍬は振り上げないという、およそ見当はずれのが載っていた。鍬を振りおろすリズムが、ラストのタップダンスにつながっているので、それにケチをつけるのはミュージカルをリアルではないというようなものだ。そういうのを載せる方も載せる方。もっとも考証とは別に、店の者を皆殺しにする押し込み強盗(急ぎばたらき)をするのに下調べに七年もかけるのは変とか、気になるところは多々ある。

一説にはタップダンスの縦の動きは狩猟民族の追跡の動きで、農耕民族の日本の踊りは摺り足が基本になるというのがあったが、ハズすというより逆らっているということになるか。