限りなくドキュメンタリーに近い劇映画。犬と赤ちゃんには誰もかなわない、という格言を地でいったよう。主人公一家は、どう見ても本物の家族にしか見えないと思ったら、本物の家族でした。
ビャンバスレン・ダバー監督の前作「らくだの涙」は未見だったので、まったく白紙の状態で見た。調べてみたら、女性監督なのでなるほどと思う。癒し系という言葉は安直な感じがして好きではないが、わざとらしさがまったくないゆったりとした感触。粘って対象からさまざまな表情を引き出しているのが見ていてわかる。
ラスト、また遊牧の旅に出た一家の前に、地区の住民に選挙の投票を呼びかける車が通りかかる。遊牧民に「地区」など関係ないのに。
昔、受験勉強で国家の三原則として、主権・領土・国民なんて覚えさせられたものだが、考えてみるとこの定義は近代以降主流になった国民国家だけの話。遊牧民みたいに土地に縛られていない(つまり政府が管理しにくい)民は、もともと今の国家体制にそぐわない。だから、クルド人やバスク人のように問題になる。
主人公一家の前途も、必ずしも今までどおりの暮らしができるかどうか、微妙。内モンゴルでは、だいぶ遊牧生活が廃れてきているという。
モンゴル語(縦書きなのね)と、ドイツ語が並んで出てくるオープニング・タイトルが不思議な感じだったが、監督はモンゴル人だがドイツに留学して映画を学んで、撮影以外はドイツで作業したからこうなったという。
(☆☆☆★★)
天空の草原のナンサ - Amazon
ビャンバスレン・ダバー監督の前作「らくだの涙」は未見だったので、まったく白紙の状態で見た。調べてみたら、女性監督なのでなるほどと思う。癒し系という言葉は安直な感じがして好きではないが、わざとらしさがまったくないゆったりとした感触。粘って対象からさまざまな表情を引き出しているのが見ていてわかる。
ラスト、また遊牧の旅に出た一家の前に、地区の住民に選挙の投票を呼びかける車が通りかかる。遊牧民に「地区」など関係ないのに。
昔、受験勉強で国家の三原則として、主権・領土・国民なんて覚えさせられたものだが、考えてみるとこの定義は近代以降主流になった国民国家だけの話。遊牧民みたいに土地に縛られていない(つまり政府が管理しにくい)民は、もともと今の国家体制にそぐわない。だから、クルド人やバスク人のように問題になる。
主人公一家の前途も、必ずしも今までどおりの暮らしができるかどうか、微妙。内モンゴルでは、だいぶ遊牧生活が廃れてきているという。
モンゴル語(縦書きなのね)と、ドイツ語が並んで出てくるオープニング・タイトルが不思議な感じだったが、監督はモンゴル人だがドイツに留学して映画を学んで、撮影以外はドイツで作業したからこうなったという。
(☆☆☆★★)
天空の草原のナンサ - Amazon