冒頭で主人公がスクールバスに乗るのと、オタクっぽいところから「電車男」にひっかけたのだろうが、なんてえ邦題だろうね。
原題は「ナポレオン・ダイナマイト」で、なんと主人公の名前。世にも景気のいい名前とは裏腹のさえない男が一念発起「しないで」、そこそこいいところを見せて彼女ができる。
同じようにさえないメキシコ系の友人を担ぎだしたハイスクールの生徒会長選挙演説のあとのショー(アメリカだと選挙とショーが同じものらしい)に出て踊るのがクライマックスなのだけけれど、通常ありそうな伏線やドラマ的な組み立てなしでいきなりそこそこうまくいってしまう。
主演は「俺たちフィギュアスケーター」でオカマ風美青年スケーターをやっていたジョン・へダー。もともと演技でさえなく見せているけれど、主役を張るくらいの役者はとうぜん本当は華があるので、クライマックスも成立する。
ジャイアンみたいな理不尽なマッチョなおじさんが悪役風がジョン・グリース。もっとマッチョな奴にコテンパンにされたりして、見かけほど悪いわけではなくてそれなりにさえなくて苦労しているのがわかる描き方。
やたらチャットをやりすぎて通信代がかかっていけないなんて会話があるけれど、アメリカの田舎町は常時接続じゃないのか。
冒頭のタイトル・デザインからポップな色彩と洒落っ気を見せ、細かいところで飛躍と省略をしかけた編集が冴えている。
(☆☆☆★)