実際問題として、知的障害を抱えた男に性的警戒感を持つ、というのは特に女子生徒の保護者からすると無理からぬところがあるのではないか。知的障害者を天使みたいに扱うのは日本のテレビだけではないらしい。もっとも伊丹十三ですら「静かな生活」で知的障害者に性欲があるところをはっきり描いたら反発をかったものですからね。デリケートな問題ではあるのだけど。
施設に連れて行こうとする役人を悪役がかって描くのもルーティンだけれど、実際にどこまでケアしきれるのか、という問題に映画自体が答えているとはいえない。「感動」して終わりってわけにはいかないはずだ。生活は何十年も続くのだから。
実話ネタで、ラストで本物の「ラジオ」とコーチが出てくるのでなんとなく納得してしまうけれどけれど、「本当かなあ」と思わせる設定に「いや、実話ですから」とエクスキューズできる方便、という印象が強い。
(☆☆☆)