作中のラーメン屋で、本当はすごくおいしいラーメンを作れるのに「スパイとして目立たないために」そこそこおいしいラーメンで抑えている、というのが出てくるけれど、この映画もそこそこ面白いが、しかし本当はすごく面白い、とまではいかない。
理屈をつけるのを拒んでいるようでそうでもないので、「普通」と「普通でない」の対立がヒロインのスズメとライバルのクジャクの関係など全編にわたっていろいろと変奏されて、普通のように見せかけたヘンな世界が繰り広げられるのだけれど、本当に普通で平凡なものというのは逆に表現しにくいものではないか。映画に写された途端に「普通」ではなくなるともいえるのだし。だからただヘンなだけ、とも見えて、ついていけない人は置いてけぼりにしてしまう。
(☆☆☆)